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番外編 公爵令嬢エヴァーレットによる義実家訪問①

日刊異世界(恋愛ジャンル)10位

ブクマ500突破御礼申し上げます!


御礼代わりに番外編を掲載させていただきます。

3話完結予定です。

「どどどどどどどうですかしら?ちゃんとわわわわたくし、きちんとした令嬢にみえますかしら?!」

「え、エエエヴァ、様!おおおおおちついて!」

「いえ、お二人共落ち着いてください。とりあえずそのバイブ機能切ってください」

 レナの声が切って捨てると、主人の顔はみるみる涙目になった。

「うううううだけどレナああ〜…!」

「お嬢様の御不安は分かります。ベタ惚れしているお相手へのご実家へのお宅訪問ならびに婚約打診…緊張しますよね」

「レナ…!」

 ちなみにこの間うしろでモブロフが「べっベタ惚れ?!」と顔を赤くしている。通常であればそれで興奮状態に入る主はそんな余裕もないらしい。(後日「惜しいことした…!!」と叫ぶことになるが)

「その上お嬢様は初対面ではまず『顔が派手』『性格キツそう』『傲慢そう』『金遣い荒らそう』と印象を持たれる方…」

「れ、レナ?」

「……ベタ惚れ…(かああああ)」

「お嬢様」

「な、何?」

「断られないといいですね」

「レ、レナのばかーーー!」




 —王国の薔薇、エヴァーレット・ウルム・フォンディナート公爵令嬢はモブロフ・ガヤーリン子爵令息と交際している。


 そんなセンセーショナルな話題は社交界及び野山を駆け抜け、常日頃であれば王都の話題が一ヶ月遅れでとどくガヤーリン子爵家領地にも珍しく一週間で到着し、電撃を落とした。


 すると来るわくるわ両親からの心配の手紙、兄弟からの面白がる手紙、遠い親戚からの融資を打診する手紙、誰か思い出せない親戚を名乗る人からの融資を打診する手紙…

 …とりあえずモブロフは後半は見なかった振りをした。


 しかしどうしたものかと悩むモブロフを見逃すエヴァでもなく。

 あっさりと悩みを白状させられ。


『ご実家が心配なされるのは当たり前のことですわ。そうですわね…一度わたくし、ご挨拶に伺いましょう』


 と麗しく微笑まれた。

 とんでもない!とモブロフは言った。

 そもそも遠方にすまう貴族の場合は、婚約打診から調えるまで書面で済ませてしまうものだ。

 もしくは格下の方が訪問するか。

 格上、というより最上といっても差し障りない公爵令嬢が子爵家に足を運ぶ等、儀礼的にもアウトすれすれだ。

 だがそんな心配を他所に。


『ご両親が心配されるのもごもっともですもの。それに私自身がお会いしたいのですわ…モブロフ様を産んでくださったご両親やご家族。育たれた領地を…』


 ぽっ。


 そういって顔を赤らめる恋人を誰が止められようか。

(エヴァ様可愛すぎる……!!)と内心モブロフは叫んでいた。


 ちなみにエヴァは

(ついに聖地巡礼チャンスきたーーー!!幼少期の絵姿とかあるかしら?模写の打診は行ってすぐ許される?モブロフ様のお話たくさん聞けるかも!あ、昔のお洋服とかあったら…たはーーー!!あーーーーんたのしみぃーーーーきゃっふーーーーーーーー!!!!)

 などと脳内で叫んでいた。

 いつものごとく、ハイテンションになっていた。

 ゆえにこの時は忘れていた。



 自分の第一印象というものを。





 気づいたのは訪問用のドレスを用意している時だ。

 カタログや生地を並べる。

 イメージを固めてからデザイナーに造らせる予定なのだ。

(ふふふふ!ご実家訪問〜♪そうだ!せっかくなのだから…)

『お色は訪問するということであれば、落ち着いた色がいいですね。長旅でドレスって訳にも行きませんし。移動中はワンピースかツーピースがいいですね』

『レナ!それであればモブロフ様の髪と目の色で合わせたいわ!』

(モブロフ様の薄茶の髪と…焦げ茶の麗しい目…きゃっ!)


『似合いません』


『え』


『似合いません』


『えと』


『お嬢様は、地顔が派手すぎるので、似合いません』



 ズガアン!と。


 もし心が天空を操れるのであれば、辺り一面に被害が出せるくらいの雷だっただろうな、と。

 呆然と、思った。



 その後、『そんな事ないレナの馬鹿!』と言えば『じゃあ当ててみてくださいよ』と言われた薄茶と焦げ茶の生地は泣けるほど似合わなかった。

 顔に対しての違和感(ギャップ)が凄いのだ。

 今まで顔について、散々『迫力がありすぎて怖い』と言われてもまったく気にしていなかった。

 どうでもいいとすら思っていた。

 でもこの顔のせいで推し(モブロフ様)の色が似合わないなんて…なんてこと…!

 それに…この顔のせいで万が一にも、『婚約させない』なんて事になったら……


『削ぐ』


『は?』


『削ぐわ!この無駄に高い鼻をそいで低くしたらまだチャンスがあるかもしれない!!』


『ないです!やめてくださいちょっと!』


 ぎゃあぎゃあ二人で揉めていると、元々約束していたモブロフが、あまりの騒ぎにマナーを放って駆けつけた。


『ちょ、何事ですか?!わぁちょっとお二人落ち着いて!!』


 経緯を聞かれたが流石に『削ぐと言って暴れた』とは正直に言えず、この容貌がご実家に受け入れられるか不安であること、モブロフの色が自分に似合わなくて嘆いたことを(大分オブラートに包んで)伝えた。


『エヴァ様…うちのものは小心者が多いので、失礼がないかと挙動不審になるかもしれません。でもエヴァ様を受け入れないはずがないです』

『モブロフ様ぁ…』

『それに…』

『…?』


『あの、エヴァ様はきっ…綺麗なので!…僕に拘らず、一番自信の持てる服を着てください』


 はにかみながら、頬を赤らめながらそんなことを言うものだから


(もうしゅきいいいいいいいいいいい!!私をどうされたいのぉぉおおおおお!!!)


 エヴァは無事死んだ。

 死因は勿論尊死である。





 というやり取りはしたものの、いざ出発直前となると、緊張してくるというもの。

 エヴァはすっかり令嬢の皮が破れ、モブロフはもらい緊張をしている。

 ちなみにモブロフの緊張は


(王都から領地まで一週間半…そっそのあいだエヴァ様…とほぼふっ…ふたり、きりとか…!うわぁー!あんな可愛い人とずっと一緒とか!)


 という如何にも思春期少年らしいものだった。


「もう、どうでもいいんでさっさと行きますよ。ほら早く乗る。了承貰うにしても断られるにしても行かないと話になりませんよ」

「ねぇ待って?私主人よね?なんで先に乗ってるの?というか断られるのを選択肢に入れないで!」

「え?あ!乗ります乗りますだから押さないで!」


 こうやって主要人物二人は荷物のように公爵家侍従に押し込まれ。

 エヴァいわく『聖地』へとやかましく出発をした。

すいません。

連日更新したかったのですが、怪我をしてしまったため、続きは書け次第掲載致します。


時間軸は

本編9-10の間、モブロフの成長前です。

まだ呼び捨ては出来ません(笑)

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