デートしたいなら“イケメン男性”貸し出しますよ。
私は、39歳というのに、、、。
恋愛経験もないし、男性と一度も付き合った事もないのよ!
私の名前は、『水島 あさみ』 スーパーでレジや在庫整理の仕事をしているわ。
職場の人たちには、元気で明るいパートのおばちゃんと思われているみたい!
39歳で独身っていうのが、なかなかいないモノでね...。
私と同じ歳ぐらいの女性は、みんな結婚して子供もいるから。
みんな旦那の愚痴や子供の話をしているのよ。
『ねえねえ! 聞いて~聞いて~! 今日、わたしの旦那が朝からお小遣い
が足りないから少し、多くしてほしいって言ってきたのよ~!』
『じゃあ~もっと! 稼ぎをよくしてって! 言ってやったら、、、?』
『うんうん!』
『“あぁ、もういいよ!” だってさ~!』
『お小遣いを多くあげたくても、子供のこれからの事やいろいろとお金もいる
から~給料が上がれば、少しはお小遣いもあげてもいいんだけどねぇ~!』
『そうそう! そうなのよ~!』
『今あげてるお小遣いだって! 結構、多い方だと思うのよねぇ~!』
『えぇ!? 奥泉さんは、旦那さんに月のお小遣い幾らあげてるの?』
『3万円かな!』
『えぇーーーえええ!? そんなに、旦那にあげてるの?』
『小川さんは?』
『うちは、1万5千円よ!』
『えぇ!? 少なくない?』
『だって! うちの旦那は、お酒もタバコもギャンブルもしないし! お昼も
私が毎日、お弁当持たせてるから!』
『・・・それなら、足りるのかな?』
『まあ、私に直接! 不満は言ってないわよ~!』
『ウチの旦那にも、お酒やタバコ、ギャンブルやめさせようかしらねぇ~!』
『アハハ~それがいいんじゃない!』
▽
・・・まあ、こんな感じで、、、!
私は、話の中に入っていけないの、、、!
今想えば、、、?
私は中学から高校卒業するまでずっと同じ男の子が好きだったのを
突然! 思い出したわ、、、!
私と同じ学年で、同じクラスになった事もあった男の子なのよ。
凄く、優しくて爽やかで部活もサッカー部で女の子にモテてた男の子
だったな~!
大学に行ってからは、、、?
会う事もなくなって、何処で何をしてるんだろうって思うのだけど、、、?
きっともう、結婚してイイお父さんしてるんだろうな~!
『私も、早く結婚したい、、、!!!』
▼
私は、スーパーの仕事の帰り道。
何時も通る道で、何時もあった中華料理屋さんのお店が工事中になってて!
今日は、新しく出来たお店が【OPEN】していたのよ!
そのお店がなんと、、、!?
『デートしたいなら “イケメン男性” 貸し出しますよ。』とでかでかと看板に
書かれていたのを見てしまったの、、、!
【イケメン男性を貸し出します、、、?】
・・・私は、思わずお店に入ってしまったわ、、、!
そうすると、、、?
外観は、狭いお店に見えたけど、、、?
中は結構広くて、、、。
イケメン男性の人間そっくりのラブラドールの人形がギッシリと左右に
置かれていたのよ!
どうやら、、、?
頭に、AI(人工知能)を入れているから、、、!
どんどん、記憶量も増えてくらしい。
でも、値段をみてびっくり、、、!?
どれも、1000万円以上するらしいわ、、、!
【私の給料で、こんな高い買い物出来ないわよ...。】
・・・私がそう思っていると、、、?
お店にいた女性が私に話しかけてくれたの、、、!
『今日は、初日なので無料で1年間貸し出しますよ! 使ってみて、、、!
良ければ、ローンで返していけばいいと思いますよ!』
『えぇ!? 本当に1年間無料で貸し出してくれるんですか、、、?』
『はい! しかも、、、! 1年間は、全て無料で! 機械の故障やメンテナ
ンスも致しますし、24時間何時でも何処でもトラブルが起きれば電話で対応
致します、、、!』
『本当ですか、、、!?』
『何かあれば、そこまで行って対処もいたしますが、、、!』
『凄いですね!』
『どうですか? 試しに、、、!!!』
『・・・はあ、』
『失礼ですが、ご結婚やお子様はいますか?』
『・・・いいえ、未婚です。ずっと彼氏を作った事がなかったもので、、、。』
『それなら、尚更! お客様のような方に使っていただきたいと思っています!』
『・・・でも、』
『もし、、、? 使っていただけるなら? 詳しくあちらでご説明いたしますよ!
さあさあ~!』
『・・・ははい、』
少し、強引にお店のお姉さんに奥に連れられて説明を聞く事にしたのよ!
『このラブラドール人形は、限りなく人間に近づける事が出来ます! 今は少し
見た目も人形ぽい感じですが、AI(人工知能)を入れるとグンと人間ぽさが増し
ますので、心配ご無用です! 他の人から見ても人間として見えますから、、、!
それと、好きな顔や体型とかありましたら? 出来る限りのご要望にお応え致しま
すので、、、。』
『・・・好きだった男性でもいいんですか?』
『勿論です! 写真か何かありましたら、見せていただけますか?』
『はい! 携帯に写真が、、、!』
『心配ご無用と言ったのは、、、? ちゃんとAI(人工知能)を入れた彼らには
戸籍や身分を証明をするモノがあると言う事です。違法な形ではなく、国がそれを
認めているので、心配ありませんよ。』
『・・・でも、私がもし、、、? 1年間が過ぎて買い取らなかったら、、、?
どうなるんですか、、、?』
『それも、心配ご無用です! ちゃんと次の事も考えていますから、、、!』
『・・・そうなんですか?』
『どうなされますか? 1年間レンタルされますか、、、?』
『・・・ははい! お願いします!!!』
『じゃ、書類作成しますので、ここでもう少しお待ちいただけますか、、、?
書類にサインをしてもらって、3日以内にお届けいたします!』
『ありがとうございます。』
『では、素晴らしいラブラドールとの人生を、、、!』
『はい!』
・・・という事で。
私はラブラドールとの人生を選んだのよ!
▽
・・・そして!
3日以内に、あのお店からラブラドールが送られてきたの、、、!
しかも、、、?
機械音痴の私でも、物凄く分かり易い説明書で、、、。
あっという間に、彼が目を覚ましたのよ。
説明書には、、、?
1ヶ月間は、いろいろ覚える時間だと書いてあったわ、、、!
分からない事があれば、教えてあげてくださいと書いてあったの、、、!
彼は、どんどん人間ぽくなっていったの、、、!
見た目も、中身も年相応の男性人間みたいにね、、、!
私が、彼と一緒に歩いているだけで、スーパーで一緒に働いているパートの
おばちゃんたちも、私にどんどん話しかけてくるし、、、!
今が、とっても幸せだわ!
イケメン男性と一緒に歩いているだけで、こんなに優越感を味わえるなんて、、、!
私の人生の中に、一度もなかった事だったもの、、、!
スーパーの休憩時間。
『ねえ、水島さん! あんなにイケメン男性と何処で知り合ったの、、、?』
『めちゃめちゃカッコイイはよねぇ~!』
『付き合ってるなら、、、? 結婚も考えているの?』
『背も高くて、爽やかでカッコイイ旦那が欲しかったわ~!』
みんなに、私が初めて羨ましいがられているのよ。
こんな事、この職場に来て、、、! 初めての事よ。
最後までお読みいただきありがとうございます。