インスタント麺
「ほれ、できたぞ。インスタントの麺だがな」
「こっちもできたよー」
「そうか、じゃあこれ食べたら始めるか」
「インスタント麺だね、もう食材結構使ったの?」
「いや、夕食は基本豪華に行こうと思ってるからな。最後の晩餐かもしれないしな」
「なるほどね!」
「そう考えると、なんだかとても重要に思えるねー」
「そういえば、今までは普通に食べてたけど、こうなって初めてありがたみがわかるね」
「今までいただきますなんて言ってたかも覚えてないしな」
「言ってても何も考えてなかったねー」
「そう考えると、最後がインスタント麺じゃなんか嫌だね」
「外を見た感じだと、今晩は迎えられるだろ」
「でも、ああやって頑張ってる人たちを見ると、私たちこんなのでいいのかなあって思うね」
「いいんだよ、私たちが何しようと結果は同じだ。無駄に死に急ぐことも無いだろ」
「そうだねー」
「むしろ諦めて人間同士で争ってるやつらのほうが問題だろ」
「こんな時でさえひとつになれないんだもんねー」
「所詮人類なんてそんなもんだよ」
「滅んでも仕方ないねー」
「そうだな」
「それじゃあ、伸びる前に食べちゃおうか」
「そうだな」
「それじゃ、たかがインスタント麺ではあるが、感謝を込めて」
「いただきます」と三人は声を合わせ、手を合わせた。