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第4話 発動体の前加工と冬のバカンス 2



「生産施設の一番いい部屋が空いていて助かりました。さすがに他の部屋では、機材や設備の性能面で不安が大きすぎましたし」


 リエラがホテルに到着してから十五分後。ティファの宝石を見たリエラは、ユウ達全員を問答無用で生産施設に連れ込んでいた。


「念のために確認しておくが、素材は全部足りているのか?」


「正直に言えば、本当に必要な分は揃っていません。ただ、今回行うのはいわゆる下加工です。そこまでならば、今手元にある分で十分可能です」


「そうか。俺達にできることは?」


「当事者であるティファにはもちろん手伝ってもらいますが、他の方には基本的にやっていただけることはありません。ただ、作業中は無防備になりますので、ユウ殿とバシュラム殿、ベルティルデさんには何かあった際に、その対処をお願いします」


「だろうな。まあ、任せてくれ」


「私達はむしろ、その手の緊急対応こそが専門だしね」


「危険だと判断したらすぐに対処をするから、リエラ殿はティファのことを頼む」


 バシュラムとベルティルデの反応に合わせ、全面的にリエラに委託することを告げるユウ。


 ユウ達の言葉に一つ頷き、魔法陣が刻み込まれた台の上に様々な道具を並べていくリエラ。


 部外者には何に使うか分からない数々の道具を並べ終えたところで、ティファに向き直る。


「ティファ。魔法陣の中心に宝石を置いてください」


「はい」


「ロイド、ミルキー。今回に関しては、あなた達にできることは何もありません。ですが、今から行う作業はめったに見る機会がないものです。今後あなた達が使う機会があるかは分かりませんが、それでもちゃんと見ていれば得られるものがあるはずです。盗めるものは、しっかり盗んでおきなさい」


「「はいっ!」」


 立場的には孫弟子になるであろうロイドとミルキーにそうはっぱをかけ、ティファと台を挟むように移動するリエラ。


 そのリエラの動きを見て、即座にノートを取り出して記録を始めるロイドとミルキー。


 二人がまだティファは習っていない記号や略号を山ほど使って現状を記録したところで、リエラが作業を開始する。


「まずは変化を一時停止させるフィールドを張ります。細かい制御は私がやりますので、ティファは今流せる一番少ない量の魔力を手元のマギロッド――ではまだ一年のティファには分かりませんね。その一番手前にある金属の小さな棒に流し込んでください」


「はい!」


 リエラの指示に従い、言われたとおりに手元にある小さな金属棒に魔力を慎重に流し込むティファ。


 ティファの魔力に反応して、魔法陣の上に並べられた様々な機材が光を帯びる。


「上手く行きましたね。では次に、魔法回路を定着させるための土台を組み込みます。ティファは私の指示に従って魔力の量を調整してください」


「あの、多すぎたり少なすぎたりしそうなんですけど、大丈夫ですか?」


「そのあたりの微調整はこちらで行いますし、そもそも今回の作業は、そこまで精密に魔力を調整する必要はありませんので安心なさい」


「分かりました!」


 リエラの言葉にほっとした様子を見せ、すぐに表情を引き締めるティファ。


 そのティファの様子に小さく微笑むと、持ち込んだ素材からいくつか取り出して魔法陣の内側に入れる。


 リエラが取り出した素材はもちろんユウ達が夏に集めたもので、その中でも特にレアリティが高かったり扱いが難しかったりするものが主体となっている。


「ティファ、まずは今の倍まで魔力を増やしてください」


「はい! ……これくらいですか?」


「ええ。次は合図をしたらさらに五割増やして、もう一度合図をしたら一気に最初の量まで減らします。……増やしてください」


「はい!」


「……五、四、三、二、一、戻しなさい!」


「はい!」


 リエラの指示に従い、慎重にかつ迅速に魔力量を調整するティファ。


 今までティファはこんなにせわしなくかつ細かく魔力の量を調整したことなどなかったので、一瞬たりとも気が抜けない。


 普通の魔法使いからすればせわしなくはともかく決して細かくはないのだが、ティファの魔力量を基準にすれば水滴を何滴落とす、というレベルの調整である。


 リエラがフォローしてくれるとはいえ、非常に神経を使う。


「魔力量を変えるのは次で最後です。合図をしたら十倍まで一気に増やして、それを変化が終わるまで維持してください」


「はいっ、頑張ります!」


 三十分ほど素材の追加と魔力の増減を続け、宝石がペンダントトップのような形になったところで、握りこぶし大の素材を入れたリエラが最後の指示を出す。


 それを受け、そろそろ集中力の限界に達しつつあったティファが、最後の気力を振り絞って指示を待つ。


「今です!」


「はああああああ!」


 リエラの合図を受け、気合いの声とともに一気に魔力を増やすティファ。


 もっとも、ティファが気合いを入れたのは、魔力を絞り出すためではなく出しすぎないようにするためであり、声の印象とは裏腹に魔力の変化自体は実に静かでスムーズなものだったりする。


「……そこまでです。少し休憩しましょう」


「……はふぅ……」


 リエラにOKを出され、気の抜けた声とともにその場に座り込むティファ。


 絶対量的にはともかく、比率の上ではかなり絞り込んで魔力を放出し続けたのだ。


 ここまで長時間限界近くまで魔力を絞り込んで放出した経験などないティファにとって、その疲労感は初めてユウと一緒に走り込みを始めた時に匹敵するものがある。


 当時に比べて圧倒的に体力がついているから眠り込んだりはしないが、正直しばらくは指一本動かしたくないほど疲れている。


 今までになく負荷が大きい作業だった影響か、変なところに力が入っていたらしく、あちらこちらが妙に軋んだりしびれたりしている。


「お疲れさまでした。反応が終わって次の工程に移れるまで十分程度はかかるでしょう。それまで、しっかり休憩してください」


 可哀想なほど疲れ果てているティファに優しくそう言うと、変化を見守りながら魔法回路を設計するリエラ。


 そんなリエラの言葉に返事する気力もなく、いつの間にか後ろに来ていたユウにぐったりとその体を預けるティファ。


 ティファの様子に軽く眉を顰めると、ユウは唐突にティファの背中に手を当てる。


「わひゃっ!?」


「少し体力を回復してやるから、体を楽にしろ」


「はっ、はいっ!」


 いきなりのユウの行動と言葉に、思わず一瞬身を固くするティファ。


 そんなティファの様子に、仕方がないなと言わんばかりの態度で、自分の気をティファの中に通し、二人分の気を循環させ始めるユウ。


 最初は何やら完全に固まっていたティファが、風呂にでも入っているかのように気持ちよさそうな表情を浮かべリラックスし始めた。


 ティファが今にも寝落ちしそうになったところで、ユウが気功をやめる。


「少しは楽になっただろう?」


「はい、ありがとうございます!」


 すっかり元気になって、ユウに一つ頭を下げるティファ。


 その回復の速さに若さを感じ、バシュラムとベルティルデ、リエラの三人が目を細めているのはここだけの話である。


「ねえ、ティファ。せっかく回復してもらったんだから、あまりはしゃいじゃ駄目よ」


「そうね。このあともまだ、ティファちゃんの出番はあるのよね?」


「ええ。そろそろ反応が終わりますので、準備をしておいてください」


「あうっ、ごめんなさい……」


 ミルキーとベルティルデにたしなめられ、リエラに準備を促されてややしょんぼりしながら次の作業のために呼吸を整えなおすティファ。


 その背中が妙に煤けて見えるのが、何となく哀れを誘う。


「次が今回の作業の最後の工程となります」


「なあ、リエラ殿。俺の目にはさっきガンガン突っ込んだ素材が、非常に雑な感じにくっついてるだけに見えるんだが、本当に次で終わりになるのか?」


「バシュラム殿の疑問はもっともですが、別に形がこのままで終わるわけではありませんから安心してください」


 バシュラムの質問に、次の作業の準備を進めながらそう答えるリエラ。


 リエラの言っていることがピンと来ず、どういうことだと訝しげな顔をするバシュラム。


 そんなバシュラムに意味ありげな笑顔を見せると、リエラはそのまま淡々と次の工程を進めていく。


「最後の工程ですが、私が手を出せるのは最初だけです。あとはティファが自分の力で成し遂げなければなりません」


「えっ?」


「もっと正確に言えば、あの土台部分に書き込んだ魔力回路にティファの魔力を接続したあとは、私にできることがないのです。心配しなくとも、一度魔力が流れてしまえば、あとはどうすればいいのか宝石自体が教えてくれるでしょう」


 そう言って、ティファの背中をポンと叩くリエラ。


「ここまでできたのです。勇気を出して最後の仕上げをするだけです。今日までずっと頑張ってきたティファなら、問題なくできることです」


「はい……やってみます」


 リエラに励まされ、深呼吸を一つして頷き、そう宣言するティファ。


 ティファの宣言を受け、嬉しそうに微笑んで元の立ち位置まで戻るリエラ。


「やることは先ほどまでと変わりません。ティファは最初と同じように、マギロッドに一番小さい魔力を流し込んでください。その魔力を私が魔力回路に接続しますので、あとは感じるままに魔力を流せば終わりです」


「分かりました!」


 リエラの説明を受け、最初と同じようにマギロッドに魔力を流し込むティファ。


 ティファの魔力を受け取り、魔力回路に接続してからその場を離れるリエラ。


 ティファの魔力が魔力回路に流れ込んだところで、宝石と土台のパーツがどんどん変形していく。


「……こういうことか!」


「ええ。どういじっても適正な形状にできそうになかったので、ティファ本人に決めさせることにしました」


 納得の声を上げたバシュラムに対し、穏やかな表情でそう説明するリエラ。


 そもそも限界までティファに合わせてチューニングしている代物なのだから、ティファ以外が形状を決めようとしてもうまくいくはずがないのだ。


「リエラ殿、一応確認しておきたいのだがいいか?」


「なんでしょう?」


「あれはまだ、発動体までは至らないということでいいのだな?」


「ええ。現時点では、その前段階ですね。ちゃんとマジックアイテムとして機能はしますが、それもアミュレットとして防御力や魔法抵抗を強化する程度です。ティファに本当に必要な魔力制御の補助機能も魔力回路に組み込んでいますが、使った素材を考えると現段階では気休め程度でしょう」


 ユウの確認に、非常に不安になる回答をするリエラ。


 魔力を流し込むのがティファだという事実を忘れた、もしくはその事実から目を逸らしているとしか思えないリエラの回答に、絶対に何か予想外のことが起こると内心で身構えるユウ。


 今までのティファの実績と、今現在仕上げに使われている、下手をすればアルトクラスの都市で一日に使われる魔法や魔道具をすべて賄えるほどの量の魔力を踏まえると、あまりにもその見解は楽観的に過ぎるように思えてならない。


 そんなユウの心境を知ってか知らずか、ティファの魔力をたっぷり吸った宝石は、今から羽化するぞ、とばかりに光の繭を作り出す。


「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」


「ねえ、ユウ。さすがにそういう方向で物騒なものにはならないと思うのだけど……」


 非常に物騒なことを言いながら警戒するユウに対し、念のために同じような警戒をしつつも一応突っ込みを入れるベルティルデ。


 リエラが言うほどおとなしいものになるとはかけらも思っていないが、ティファのための魔道具である以上、自分達に直接害をなすようなものにもならないとだけは信じているのだ。


「そろそろ完成しますよ」


 そんなユウ達のやり取りに軽く横やりを入れつつ、魔道具の状態から目を離さないリエラ。


 リエラの言葉に呼応するかのように、光の繭がひび割れて中から完全に形状を変えた宝石が姿を現す。


「……ちょっと待て、嘘だろ、おい? 可愛らしいアクセサリなんて……どういうことだ?」


 ハート形に小さな羽のようなパーツが付いた、非常に可愛らしいアクセサリーに化けた宝石を見て、思わずバシュラムが呆然とつぶやく。


 青いハートというのにやや違和感があるものの、言うまでもなく見た目だけならティファによく似あう。


 が、今までティファは、宝石や小物類に興味を示したことが一切なかった。


 欲しいのに我慢しているとかではなく、その手のものに対しては見ても可愛いとかほしいとか思うほどの情緒が育っていないのである。


 かろうじて髪を束ねるためのリボンだけはちゃんと考えてお洒落をしているようだが、恐らくそれはユウがプレゼントしたからである。


 そんなティファが、実用性のかけらもない可愛らしい形状のアクセサリーを作ったのだから、バシュラムが驚くのも無理はない。


「あの、バシュラムさん。さすがにその反応はないと思うんだけど……」


「いや、だってな、ティファの嬢ちゃんだぞ? 深紅の百合やカレンの嬢ちゃんが必死になって教育してるってのに、いまだにお洒落に興味が薄くて小物やアクセサリー類には一切関心がない、あのティファの嬢ちゃんだぞ? どこからあんな可愛らしいデザインが湧いて出たのか、本気で正体不明すぎてなあ……」


「あ~……、でもバシュラムさん。ティファだって、一応可愛いものはちゃんと好きよ? 例えば近所のお姉さんが抱っこしてる赤ちゃんとか、小さくてモフモフしてる子犬とか子猫とか」


「生き物に対してはそうでも、ああいうのに関しては全然なんだよ」


 必死になってフォローするミルキーに、渋い顔でそう現実を突きつけるバシュラム。


 それでも諦めきれずに反論しようたミルキーだが、ピンとこない様子で首をかしげながら宝石を見ているティファの姿を見て諦める。


「何やら腑に落ちない様子だけど、何か問題があったのか?」


 バシュラムとミルキーが妙なやり取りをしている間に、付与魔法使いの見習いとしていろいろ記録していたロイドが、その記録の延長線上の話としてティファに声をかける。


 ロイドに問われたティファが、少し考えこんで言葉を探す。


「えっと、この形ってどこから出てきたのか、とか、この形に何か意味があるのか、とかが分からなくて……」


「いや、普通に可愛いデザインだと思うんだけど……」


「可愛い、ですか?」


 ロイドに言われ、心底不思議そうにそう返すティファ。


 どうやら単純な話として、ティファには宝石やアクセサリーを可愛いと思う感覚が分からないようだが、それだけになかなか問題としては深刻である。


 見ると、ティファの反応にがっくり来たように、誰も触っていないはずの宝石が傾いている。


「……この宝石、意思のようなものがあるっぽいなあ……」


「えっ?」


「いや、ティファに可愛いのかと疑われて、この宝石誰も触ってないのに傾いたから」


「……あっ」


 ロイドに指摘されて、最初おかれていたのと角度が変わっていることに気がつくティファ。


 ここまでのやり取りで、ようやくその場にいる全員が宝石のデザインの出所に確信を持つ。


「もともと正体不明だったから仕方がないが、やはり平気で予想を超えてきたな」


「ねえ、ユウ。それで済ませていいの?」


「害がないなら、その程度の話だ」


 意思を持っているアイテムなどというとんでもないものの製作に立ち会ったというのに、特に感動も驚きも見せずにどうでもいい結論で終わらせるユウ。


 もしかしたらこのまま知性ある武器インテリジェントウェポンになるかもしれず、そうなれば歴史に残る偉業なのだが、ユウにとってはどうでもいいことのようだ。


「ティファ……あんた女の子としてその反応は、さすがにあんまりにもあんまりよ」


「え? そ、そうですか?」


「そうよ。普通女の子はこういう宝石見たらキャーキャー言うものだし、こんなに可愛いアクセサリーが自分のものになったら、もっと喜ぶものよ?」


「えっと、奇麗だとは思うんですけど、宝石が可愛いっていうのがよく分からなくて」


「これを可愛いと思わないのなんて、多分ユウさんくらいよ」


 ミルキーの断言に、他の人間が全員頷く。


 ユウやティファほどではないが、あまりこういうものに詳しくもなければ興味もないバシュラムとロイドまで頷くのだから、普通の感性をしていれば十分可愛いものなのだろう。


「つうか、ティファの嬢ちゃん、クマのぬいぐるみとか子猫の絵とか普通に可愛いって言ってただろ? なんでどこまでも宝石は別枠なんだ?」


「えっと、宝石って、魔法を込めない限り結局単なる石だとしか思えなくて……」


「そこだけあくまでも実用重視なのね……」


「あと、宝石って重いわりに、換金してご飯を買わない限り持っててもお腹膨れませんし、ぬいぐるみみたいに抱っこしても気持ちよくないですし……」


 バシュラムとベルティルデの言葉に対し、完全にトドメを刺すようなことを言うティファ。


 ティファの分からなくもないがそれはどうなのか、という感想に、生まれたばかりのアクセサリがどんどん煤けた雰囲気をまとい始める。


 いい加減アクセサリーが哀れになってきたのか、ユウがその話に割って入る。


「俺が言うのもなんだが、去年の頭ぐらいまで食い詰めていたティファのその手の感覚が、一朝一夕で変わるわけもなかろう。極論実用上問題がなくてかつ極端に不細工な形をしていなければ、デザインの話よりこいつがどんな性能をしているかを確認するほうが重要だ」


 フォローするのかと思わせておいてオーバーキル気味に追い打ちをかけたユウの言葉に、ショックを受けてしおれたような雰囲気を漂わせるアクセサリー。


 所詮、どこまでいってもユウはユウである。


「確かにユウ殿の言うとおり、どんなものに仕上がったのか確認する必要はありますが、どうやってそれを確認するかが問題ですね」


「さすがにここでは狭い上に、壊しちゃまずいものが多すぎるからなあ……」


 いろいろ諦めて話題転換に乗ったリエラの言葉に、どうしたものかとバシュラムが応じる。


「この部屋は機材や設備が整っているのだから、試しに付与魔法を使ってみるのもありではないか?」


「そうですね。一度簡単なものを……、いえ、下手に簡単なものだと必要な魔力量が少なすぎて逆に危険ですので、難易度ではなく必要な魔力量を基準に試すものを決めましょう」


 ユウの提案に乗って、実験内容を決めるリエラ。


 そのまま、何がいいかを考えて一つひらめく。


「そうですね。練習用に低倍率のアイテムバッグを作る予定でしたし、それで試してみましょう」


 ほどほどに要求される魔力量が多く、倍率が低いうちは付与も簡単という、今回の案件にぴったりの代物。


 それを実験台にすることを決めるリエラ。


 幸いにして、必須素材故に練習する上でネックとなりがちな無機物系スライムの魔石は、レアメタルスライムのものが山ほどある。


 爆発さえしなければ失敗しても特に問題はないので、試すにはちょうどいい。


「まずは見本を見せなければいけませんね。付与するカバンはどうしましょう?」


「昨日拾った素材を詰め込んであるこのカバンを使おう。こいつは見たままの大きさだから、中身を全部出しても置き場所に困ることもない」


「分かりました。……ふむ。取り出した中身だけで、十分付与ができそうですね。とりあえず、今後のこともありますし、バシュラム殿が持っているくらいの物を作りますか」


「いいのか?」


「ええ、問題ありません」


 そう言って素材を手に取り、カバンとともに作業台の魔法陣の中心に配置するリエラ。


 そのまま自身の荷物から愛用の発動体を取り出して右手に、空いた左手には魔力補充用の大容量魔石を持って、非常に複雑な魔法回路を己の魔力だけで描き上げる。


 書かれた魔法回路がカバンに吸い込まれ、リエラから供給される大量の魔力をエネルギー源にしてカバンを作り替えていく。


 十分ほどで、ユウのカバンはアイテムバッグになっていた。


「さすがに最新の設備は違いますね。私の魔力だけで十分足りました」


 アイテムバッグの出来を確認しながら、そんなことを言い放つリエラ。


 リエラのそのセリフに、思わずユウが不思議そうな顔をする。


「設備の質によって差が出るのは分かるが、ここのほうが学院より設備がいいのか?」


「残念ながら、アルト魔法学院といえど、すべての設備を最新鋭で最高峰のものにするというわけにはいきません。何せ学科が多いので、その分必要となる設備の種類も膨大になりますから」


「なるほど、言われてみれば道理だ」


 リエラの説明に、あっさり納得するユウ。


 本来なら設備の話より、素材が揃っていて魔力が満タンなら十分少々で回復時間も要せず倉庫クラスの容量を持つアイテムバッグを作成可能、という点に突っ込むべきだ。


 が、そのあたりの感覚がもともと一般人とかけ離れているユウだけでなく、この場にいる他の人間も最近はティファの影響でいろんなことについてマヒしてきている。


 やったのが大英雄の一人であるリエラだったこともあり、これがとんでもない偉業であることを、リエラ本人も含めて誰も気がついていなかった。


「さて、それでは、ティファもちょっとやってみましょうか。まずは練習ということで、倍率四倍、重量四分の一のものを付与しましょう。回路はこれを使ってください」


「はいっ!」


「失敗して効果の低い付与が定着してしまっても、ここの設備ならば簡単にはがすことができますので気楽に挑戦してください」


「分かりましたっ!」


 リエラの言葉に元気にそう答え、中身をすべて出した自分のリュックサックを作業台の中心に配置し、リエラがやったように素材を載せる。


 その後、リエラが要してくれた手本を見ながら、魔力粉で魔法回路を描いていくティファ。


 さすがにティファの技量では、リエラがやったように純粋に魔力だけで魔法回路を書き上げるような真似はできない。


 なお、アイテムバッグの魔法回路は、一番基本で容量五割増し、重量三割減で満タンまで入れた際に若干重くなる仕様だ。


 そこからどんどん容量を増やしていくパターンと重量を軽くするパターンに分かれるのだが、カバンという都合上、どちらか一方だけというのは一定の規模に至ると、実用性の問題で頭打ちとなる。


 今回リエラがティファに挑戦させた倍率四倍、重量四分の一というのは、大体一般人に手が出せる上限であると同時に、魔力量だけであまり細かい制御をせずにゴリ押しができる限界でもある。


 初めてやるには難しい代物だが、ミルキーが練習している容量二倍、重量半分のものではティファの魔力量では逆に危険だと判断したのである。


「魔法回路はこれでよし、あとは魔力を注いで……、って、えっ?」


 魔法回路の準備が終わり、いつものやり方で回路に魔力を注ぎ込もうとしたところで、先ほど作ったティファのアクセサリーがティファの周りを飛び回り、自分を使わずに付与を行おうとするティファの妨害を始めた。


「……リエラ先生、どうしましょう……」


 そうやっても出し抜くことができず、情けない顔でリエラに助けを求めるティファ。


 その様子を見守っていたリエラが、心底困ったという表情でため息をつく。


「正直、どうなるか分かりませんが、諦めてそのアクセサリーに魔力を通して付与を行ってみてはどうですか?」


「……それ、大丈夫なんでしょうか?」


「分かりません。が、そこまで躍起になって妨害してくる以上、それしか方法がないのでは?」


「あう……」


 リエラのどこか投げやりな言葉に、心底困ってうめいてしまうティファ。


 発動体といえるほどの機能はなさそうだという話のあとで、発動体のように使えと言われたのだから、ティファとしては不安で仕方がない。


 そもそも、正体不明のアクセサリに魔力を通して付与を行うなど、どう考えても無謀極まりない。


 自分の魔力の性質的にも、良くないことが起こる気がしてならない。


 そのあたりの不安を殺しきれずさらに一分ほど悪あがきをし、どうにもならないと諦めてアクセサリーをつかむ。


「あの、何が起こるか分からないので、何かあった時はよろしくお願いします」


「分かっている。思いっきりやれ」


「はい」


 申し訳なさそうなティファに対し、いつものノリで背中を押すユウ。


 ユウの言葉で腹をくくり、まずは感覚をつかむためにアクセサリーへ魔力を流し込む。


「……ん~……」


 何とも手応えもつかみどころもない感覚に、不安になりながらもどんどん魔力を流し込んでいくティファ。


 それなりの量の魔力を流し込み、何となく魔力の流れが分かったところで、宝石の中心部分から魔力を伸ばして魔法回路へとつなぐ。


 魔法回路に魔力が流れ込んだ瞬間、ティファの手からアクセサリーがすり抜け、空中で静止して凄まじい量の魔力を回路に流し込み始める。


「えっ? えっ?」


 ティファが戸惑っている間にも、宝石から流れ込む魔力の量は順調に増え、ついには光線系の攻撃魔法のごとくバチバチと火花を飛ばしながら回路に突撃していく。


「あ、あの……これ、大丈夫なんでしょうか!?」


「分かりません。分かりませんが、暴走しているわけではない以上、こちらからうかつに手を出すことはできません」


 怯えて叫ぶティファに対し、どこか達観した様子でどうしようもないことを宣言するリエラ。


 その間にもいったい何を作る気なのかといいたくなるほど大量でかつ高密度の魔力は流れ込み続け、圧倒的なエネルギー量にリュックサックの周りの空間がゆがみ始める。


「ティファ、魔力は大丈夫か?」


「えっと、だいぶ減ってはききましたけど、まだ全然余裕です……」


「そうか……」


 先ほどアクセサリーを仕上げた際に使った魔力を思い出し、念のために確認するユウ。


 そのユウの質問に、泣きそうな顔でそう言い切るティファ。


 残念ながら、現在の消費量は対トライホーン・ドラゴディス戦でアルトに結界を張った時と同じかやや多いくらい。


 その後増えた魔力量のおかげで、無視はできないが余裕は十分ある、という程度になってしまっている。


 そんなことを言っている間に、唐突に魔力の照射が止まり、空間の歪みが収まって変わり果てた姿になったリュックサックの全貌が衆目にさらされる。


「……なんですか、これ……」


「あら、可愛らしい。ティファちゃんが背負うとすごく可愛くて素敵な姿になりそう」


「まあ、ティファには似合うわね、ティファには」


「なあ、ミルキー。偉そうに言ってるけど、背負った時の印象は大差ないからな。つうか、自分が似たような容姿で部分的に見た目年齢負けてるって自覚あるか?」


「うるさいわね!」


 完成したリュックサックの見た目に呆然とするティファを横目に、そんなことをこそこそ言い合うベルティルデ、ミルキー、ロイド。


 ティファが呆然とするのも道理で、冒険者用の安いリュックサック、それも中古品でだいぶくたびれていたはずのものが、白くてきれいで可愛らしい、子供向けのデザインに変わっていたのだ。


 特に可愛らしさを強調するのが、劇などで子供の天使が背負っているような小さな一対の翼。


 自身の造形にもモチーフとして取り入れているあたり、どうやらティファのアクセサリーはとことんまで天使推しらしい。


「それで、正直ここまで見た目が変わってしまうと、そのまま使って大丈夫なのかが不安だが、仕様や性能をどうやって確認する?」


「ダンジョンドロップじゃねえから、鑑定アイテムで鑑定はできないだろうしなあ……」


「恐らく普段使いしてもティファに対して直接的な不利益はないでしょうけど、性能によっては大っぴらに使ってしまっておかしな人間に目を付けられないとも限りませんからねえ」


 どう考えても当たり前のアイテムバッグとは思えないリュックサックを前に、どうやって詳細を確認すればいいのかと頭を抱えるユウ、バシュラム、リエラの保護者組。


 ユウがそんなまともなことを気にしているという状況からも、今回の出来事がどれほどイレギュラーか分かろうというものである。


 その会話を聞いていたのか、リュックの中に入っていた鑑定用ルーペに対し、魔力を一瞬照射するアクセサリー。


 それに気がついて眉をひそめながら、魔力を食らったルーペを手に取るユウ。


「どうしました?」


「いや、先ほどアレがこのルーペに魔力を叩き込んでいてな。どうせこれで確認しろ、ということなのだろうが……」


「……鑑定できてしまえばそれはそれで厄介な話になりますし、内容的にもあまり見たくはない気がしますが……」


「逃げたら逃げたで碌なことにならんだろう。腹をくくって確認するぞ」


 リエラにそう宣言して、ティファのリュックだったものにルーペを向ける。


「……ふむ、やはり表には出せんな……」


 ルーペを向けた瞬間、全員の目の前に映し出された鑑定結果に、重々しくそう漏らすユウ。


 ティファのリュックは特に危険な要素だけでも、


・容量無限


・重量ゼロ


・内容物の状態完全固定(個別に適用するか選択可能)


・生物の収納及び自力での出入り可能


・ティファ及びその子孫とユウ以外使用不可


・通常の手段での破壊不能


 という、知られてしまったらいろんな意味で破滅確定の代物になり果てていた。


「考えるまでもなく、この鑑定結果が表に出た時点で、嬢ちゃんの身の安全は保障できんなあ……」


「……本当に、前政権の時でなくてよかったわね。もし万が一に漏れても、今の政権はそこまで一足飛びに無茶はしないでしょうから」


「というより、トライホーン・ドラゴディスの時のこともあるので、むしろ軍部は万一の危険もないように徹底的にティファを囲い込もうとする可能性のほうが高いでしょう」


 リュックの持つえげつないにもほどがある性能に、遠い目をするしかないバシュラム、ベルティルデ、リエラ。


 この件に関して一番の問題は、知名度を別にすればティファ自身はどこまでいっても単なる貧乏な子供にすぎない点であろう。


 いかにバシュラムやベルティルデの社会的な立場が高かろうと、一冒険者にできることなどたかが知れているし、ユウに至っては一目置かれるようになったと言えど新参者なのは変わらない。


 かろうじてリエラが地位も発言力も国に対抗できるものを持ってはいるが、これも限界がある。


 場合によっては国家間の戦争にも発展するレベルのアーティファクトを前にしては、それほど頼もしいものでもない。


「正直、私達までこんなことに巻き込むのはやめてほしかったわ……」


「誰も悪くはないけど、俺達みたいな何の力もない見習いに、こんな知っただけでも命にかかわりそうな秘密を共有させないでほしかったよなあ……」


「ホントそれ。でも、よく考えれば今回やったことって基本的にいずれ学院でやる内容だから、結局私達は巻き込まれるんじゃないかしら」


「だなあ……」


「考えようによっては、まだ隠そうと思えば隠せる分、実習でやらかすよりはましだったかもしれないわね」


 ミルキーの最期の一言に、言われてみればという表情を浮かべる大人達。


 ただし、この場合大人達、それも特にユウとリエラが考えたのは『まだ隠蔽できる形でやらかしてくれてよかった』ではなく、『今後どうやって同じことを起こさないようにすればいいか』だ。


 学校である以上、ティファだけ一切実習なしとはいかないのだから、当然だろう。


「むう……」


 そんな中、ティファはそのあたりの会話に一切参加しようとせず、とことんまで不満げに鑑定結果を睨み続ける。


 その様子から、たいそう不機嫌なのが持て取れる。


「それでティファ、恐ろしく不機嫌そうだが、何が不満だ?」


「全部です」


「ふむ?」


「わたしの気持ちを完全に無視してこんな身の丈を超えるものを勝手に作って、こんな今だけしか背負えそうにない恥ずかしいデザインにして、説明文で勝手な愛情を押し付けてきて、挙句にアイテム名まで恥ずかしいじゃないですか!」


 ユウに問われて、珍しく早口で興奮しながらまくしたてるティファ。


 その言葉に、ショックを受けたようにポトリと落ちるアクセサリー。


「まあ、確かに今のティファには似合うけど、ベルティルデさんとかカレンさんとかが背負ったところをイメージするとかなり微妙よね……」


「名前もラブリーエンジェルティファズオンリーエンジェルボックスとか、センスのかけらもない上に長くて意味不明だもんなあ。エンジェルかぶってるし」


「性能にばかり目が行ってたが、自分の名前勝手に使われた挙句にこんな意味不明で恥ずかしいアイテム名にされちゃあ、ティファの嬢ちゃんが怒るのも当然か……」


「ティファちゃんのための宝石を加工したんだからティファちゃん大好きなのは当然でしょうけど、この愛し方はねえ……」


 ティファの魂の叫びを受け、性能のヤバさに飲まれてあえて話題にしなかったそのあたりについて思ったことを口々に漏らすミルキー達。


 その一言一言にグサッと着た様子でぴくぴく痙攣するアクセサリー。


 そこにトドメを刺すように、ユウが極論じみたことを言う。


「いっそ、その宝石を破壊するか?」


「えっと、できるならそのほうがいいような気がするんですけど、ユウさんならできますか?」


「道連れにするつもりでやるなら、確実にな。そうでない方法に関しては、いろいろ試してみねば分からん」


「……こんなもののためにユウさんに死んでほしくないので、今は保留にさせてください」


「分かった」


 とことんまで嫌っているかのようなティファの言葉に、重々しく頷くユウとショックで真っ白になるアクセサリー。


「が、師として弟子の害になると分かっているものを放置する気はない。あまりに目に余るようなら、それこそ刺し違えてでも破壊する」


 念を押すように、ユウがティファとアクセサリー両方にそう宣言する。


 その言葉に、嫌いを通り越して憎しみさえこもった視線をアクセサリーに向けるティファ。


「にしてもティファ、このアクセサリーが完成した時もそうだったけど、こういう天使的なデザインを妙に嫌がるわね。こういうの嫌い?」


「別に好きでも嫌いでもなくて……というより、普段はどうでもいいと思うんですけど、今回に関しては馬鹿にされてるような気がすごくして……」


 ミルキーに問われて、何が気に食わないのかを正直に答えるティファ。


 どうも今回に関しては、ティファの心の底に眠る、本人にもまったく覚えのないコンプレックスか何かを的確に刺激している感が強い。


 そのティファの答えに大慌てで浮かび上がって、そんなことはないと言わんばかりに飛び回るアクセサリー。


 その必死な様子に、ティファも渋々といった様子で矛を収めることにする。


「次からは……勝手なことはしないでください」


 ティファに冷たくそう言われ、必死に頷くように上下に動くアクセサリー。


「ティファ、今後勝手なことをさせないためにも、名前を付けて強制力を強化しなさい」


「リエラ先生、分かりました! ……ちゃんと考えるのも何となく抵抗があるので、ブルーハートでいいですよね?」


「はい。呼びやすくて相手をねじ伏せやすければ、どんな名前でも問題ありません」


 リエラの太鼓判により、アクセサリーの名前はブルーハートに決定する。


「あとは、下手に荷物などに入れるとそれはそれで面倒そうなので、適当に鎖でもつけて首から下げられるようにしますか」


「そうだな。確か、ドロップアイテムにちょうどいいものがあったはずだ」


 そう言って、アイテムバッグ作成のために外に放り出したドロップアイテムをあさるユウ。


 三十秒ほどで目的のものを見つけ、ブルーハートは無事にペンダントへと加工されてティファの首から下げられることに。


「しっかし、怒って当然の面はあったとはいえ、こんなに態度の悪いティファを見ることがあるとは思わなかったわ」


「えっ!? あっ、その、ごめんなさい!」


「いいのよ。単に、ティファにもそういう面があるんだな~、ってちょっと新鮮だっただけだから」


「つうか、ティファがいい子過ぎてそういうイメージがなかっただけで、嫌な相手にああいう態度になるのは普通のことだからなあ」


「むしろ、人間らしくていいんじゃない?」


 ミルキーの言葉に、ブルーハートが起こした一連のあれこれの、何が一番嫌だったのかに思い至るティファ。


 何となく無機物にまでいい子のイメージだけ押し付けられたのが、それまでこっそり積み重なってきたいい子ちゃんな自分に対する不満と結合してあふれ出してしまったのだ。


「さて、一応落ち着くところに落ち着いたようだし、リュックに関しては外に漏らさぬようにだけ気をつけて、細かいことは今後の課題ということにするぞ」


「そうだなあ。一番いいのは壊しちまってなかったことにすることだろうけど、普通にやっても壊せねえとなるとなあ……」


「なに。最悪、古巣を頼れば、壊すだけなら何とかなる。この手の危険物を破壊する部署があって、な。発見した危険物を回収してきてそこに預けるのも、俺達の任務だった」


 ユウの言葉に、最初からそうするのもありかと、ちらっと考える一同。


 もっとも、鉄壁騎士団を頼るにしても、今日明日でどうにかなるわけでもないので、この場では隠しておくことしかできないのだが。


「あとは、このリュックが人目につかないよう、何とか偽装して運び出せればいいんだがなあ……」


「恐らく無理だとは思うが、リエラ殿に作ってもらったアイテムバッグに入るのなら、加工に失敗して消失したで押し通せるか?」


「いや、だったらミルキーの嬢ちゃんか坊主のリュックに入るか試したほうが確実だろう。悪いが、二人ともリュックを貸してもらえるか?」


「もちろんいいわよ」


「それだけでこの急場をしのげるんだったら、リュックぐらいいくらでも提供しますよ」


 バシュラムの提案を受け、進んで中身を全部ユウのアイテムバッグに移してリュックを提供するミルキーとロイド。


 結局、ギリギリではあるがどうにかミルキーのリュックに収まったため、それをティファが背負って運ぶことで事なきを得るのであった。





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