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第2話 バカンス-2

第2話 バカンス 2


「う~ん、やっぱりこのタイプだとちょうどいいサイズのはないなあ……」


 翌日、昼過ぎ。


 子供向けの水着を睨みながら、カレンがうなる。


 現在、ティファとカレン、およびカレンの友人のエレナは、明日の水遊びで着る水着を買いに来ていた。


「あの、カレンさん。やっぱり持ってきてた水着で……」


「ダメだよ、ティファちゃん。あれ、どう見ても窮屈だったじゃない。泳ぐ練習もするんだし、もう少し大きいのにしないと」


 ティファの申し出を、さっくり却下するカレン。


 そう。インフィータに来る前に買っていたティファの水着は、二週間ほどで体に合わなくなっていたのだ。


 ダンジョンで暴れまくっている影響か、それとも成長期に入ってこれまでの遅れを一気にカバーしようとしているのか、身長が一センチ近く伸びていたのが致命的である。


 背が伸びて胸も増えたのだから、もともとギリギリ適正サイズだったワンピースの水着が入らなくなるのは当然だろう。


「ねーねー、カレン。どうせ育つの分かってたんだから、ワンサイズ大きいのじゃダメだったの?」


 その話を聞きながら一緒に選んでいたエレナが、誰もが抱くであろう疑問を率直にぶつける。


 その疑問に対し、カレンが困ったような表情を浮かべて答える。


「今探してるの見てて分かるように、もう一個大きいと割とぶかぶかなんだよね」


「あ~、確かに」


「で、アルトだとセパレートの水着は大人向けのしかなかったから、ティファちゃんに着せるにはちょっと、ってデザインのやつばっかりで」


「水着とかちゃんと見たことなかったけど、案外種類ないもんなんだね~」


「そうなの。まあ、そもそも水着着て遊ぶこと自体、そこそこ生活に余裕がある人しかしないし。私達だってあんまり海とかで泳いだりしないでしょ?」


「だねえ」


 カレンに言われ、確かにと納得するエレナ。


 実際、最近かなり身近なものになったとはいえ、海水浴のような水辺のレジャーはまだまださほど一般的ではない。


 アルトは海に近く、危険生物が出てこない浜辺が頑張れば歩いていける場所にあり、一応海水浴場として多少は開発されている。


 泳ぐのに費用がかかわるわけでもないので、カレンやエレナも夏場に一度ぐらいは行くこともある。


 が、開発されているといっても浜辺に更衣室などがあるわけでもなく、遊び終わったあとの身づくろいがなかなか大変なこともあって、ガラガラではないがアルトの人口を考えれば、到底にぎわっているとは言えない程度の人しかいないのだ。


 それでも季節商品として並べておけば一応は売れるため、子供向けも含めて最低限の選択肢があるくらいには水着も売っており、年々バリエーションも増えている。


 現状がそういう感じなので、ティファのような年頃の子供だと、合うのがなければ適当な服か下着で泳げ、と言わんばかりの多数派向けの物しかないのだ。


 かなり珍しいパターンとはいえ、ティファのように体格は子供だが胸は見て分かるくらい大きくなっている女の子にとっては、なかなか無体な環境だと言える。


「にしても、セパレートタイプの水着は充実してるけど、ワンピースのはびっくりするぐらい少ないなあ……」


「そもそも、持ってきたのと同じサイズのものすらありません」


「だよねえ……。よし、ティファちゃんには悪いけど、ワンピースタイプは諦めよう」


「ええ!? そんな……」


 カレンの無情な結論に、思わず抗議の声を上げるティファ。


 体にぴったり張り付いた薄衣一枚で人前に出る、というだけでも恥ずかしいのに、へそまで丸出しになるのだ。


 ティファの感覚的に、それではもはや下着と変わらない。


「恥ずかしがるのも分かるんだけど、ティファちゃんはこれから縦にも横にもどんどん大きくなっていくんだから、ね」


「そうそう。ミルキーちゃんだっけ? あの子と違って、ティファちゃんはどう考えてもカレンと同じぐらい胸も育つだろうし」


「あのさ、エレナ。ティファちゃんがワンピースタイプが厳しいのは、現時点では胸の問題じゃないんだけど」


 ニヤニヤ笑いながら余計なことを言い出したエレナに対し、ジト目を向けそう突っ込むカレン。


 カレンとティファの会話からも分かるように、インフィータの水着は文化の問題か『上下が分かれているもの』、という価値観で生産しているとしか思えないくらい、ワンピースタイプのものがない。


 申し訳程度に売られているものも、最低でもユウくらいの身長とフィーナ以上のバストがないと着られないような大きなものか、逆に二年前のティファならちょうどいいのでは、という小さなもの、あとはこれを着るくらいなら下着姿のほうがまし、というような、とがりすぎたデザインの物しかない。


 どう考えても、売れ残りをそのまま陳列しているだけである。


 この店だけなのか、ほかの店も似たようなものなのかは分からないが、誰に聞いても一番品揃えが豊富だと言われた店でこうなのだから、他をあたっても時間の無駄だろう。


「まあ、上下が分かれてるってだけで普段着とあんまり変わんないのとかもあるし、あんまりエロかったりセクシーすぎたりするのを避ければいいんじゃない?」


「そうだね。年齢的にも体型的にも、そういうのはまだ早すぎるもんね」


「あたし的には、カレンとお揃いでセクシー路線もありだと思うけどね。主にあたしの目の保養のために」


 カレンの胸元を凝視しながら、笑ってそんなことを言い出すエレナ。


 その視線に反射的に胸をかばいながら、カレンがジト目でにらみつける。


「私だって、エレナが喜びそうな水着は着る気ないからね。恥ずかしいし」


「え~? 学校でも一、二を争う立派でエロくてセクシーなそのお胸を活かさないなんて、少なくともミルキーちゃんに対しては冒涜だからね?」


「いや、ミルキーちゃんは身長はともかく、胸ないのはそんなに気にしてない感じだったけど。っていうか、昨日初対面だったのに、やたらしつこくミルキーちゃんをいじりたがるよね……」


「あの子は、こういうネタでつつくと輝くタイプだと思うから、ちょっとワクワクしてる。ティファちゃんなら、水着のデザインくらいはともかく体型そのものをいじると生々しくなってシャレにならないから、ちょっと気を使うし」


「あの……、それをわたしの前で言うのって、どうなんでしょうか……」


 言いたい放題言ってのけるエレナに対し、困った顔で控え目に突っ込みを入れるティファ。


 麗しき古硬貨亭に出入りする冒険者の場合、なんだかんだ言ってこういう話をあまりしないので、ティファにとってはこの手の欲望ダダ漏れタイプはほとんど接点がなくて対応に困るのだ。


「……セクシー系の水着がどうあっても似合わない寸胴の幼児体型で、悪かったわね……」


 そこに、いつから聞いていたのかミルキーが割り込んでくる。


 後ろにはロイドも一緒だが、ミルキーとロイドは基本ワンセットなのでこれは特に不思議な話ではない。


「おや、ミルキーちゃんにロイド君。君達も水着選びかい?」


「そうよ。私も持ってる水着が結構ぎりぎりのサイズだったから。場合によってはユウさんが修行モードに入るかも、って考えたら心もとなかったのよ」


「まあ、ティファちゃんとミルキーちゃんはほとんど体格が同じだから、ティファちゃんがぱっつんぱっつんだったらミルキーちゃんもきついのは当然か」


 エレナの言葉に、すっと目を逸らすロイド。


 実はミルキーの持ってきた水着はティファと同じものの色違いだったのだが、ティファと違って普通に水遊びをする分にはさほど支障が出ない程度のフィット具合だったのだ。


 その差が胸のサイズによるものなのは、考えるまでもない話だろう。


「一応言っとくけど、私だって完全に洗濯板ってわけじゃないから……」


「そうだよな。一応下着がいる程度にはあるもんな。水着になっても下手したら平らに見えなくもなゲフッ!」


 ささやかなプライドを持って反論したミルキーをいじって、わき腹に結構いいのをもらってうめくロイド。


 最近走り込みなどで体が鍛えられていることもあり、以前の感覚で突っ込みを入れると結構いい威力になってしまうのだ。


「ふむ、ちょっと失礼して」


「え? ひゃん!? ちょ、ちょっと、いきなり何するのよ!?」


「いや何。水着選びの参考に、具体的なサイズを測らせてもらおうかと思ったんだよ」


 いきなり胸を優しく揉んできたエレナに、全力で抗議をするミルキー。


 ミルキーに吠えられて、にやりと笑みを浮かべながらしれっとそんなことを言うエレナ。


 なお、揉めるほどあるのかという点に関しては、ミルキーの名誉のために辛うじて高低差ができるくらいはあるので揉めなくはない、とだけ記しておく。


「確かに、見た目の印象よりはあるね」


 大真面目にそんなことを言いながら、水着に目を向けるエレナ。


 正直な話、見た目よりはあるのは確かだが、薄着の夏服でもちょっとゆったりしたものを着ると完全に隠れてしまう程度だ。


 ロイドが言ったように、下手をすると水着を着てもあるのが分からない可能性すらある。


 はっきり言って、胸を強調するタイプのものはなまじ平坦ではないだけに、余計物悲しいことになりそうだ。


 こういう時は、あってもなくても分からないデザインの水着でごまかすのが一番である。


「よし。ティファちゃんともども、こんな感じのがいいんじゃないかな?」


「また、露骨に体型ごまかすデザインっすね……」


「一目でそれを見抜くとは、ロイド君はなかなかのむっつりだね」


「いやいやいや。むっつり云々に関係なく、そんだけ胸元に大量にフリルつけてりゃ想像つきますって」


 むっつりスケベの疑惑をかけられて、慌てて説得力のない言い訳をするロイド。


 たとえお約束のやり取りになっているとはいえ、常日頃からミルキーのことをさんざん洗濯板だの幼児体型だのとからかっているのだから、どう言いつくろったところで厳しい。


 そもそもの話、思春期の男子なんて、アルベルト達のようにその日の食事を心配しなければいけない立場でなければ、普通性欲と女体への好奇心が普段の思考の八割を占めているものだ。


 カレンもエレナも客商売の家で生まれ育っているので、そのくらいのことは常識として理解しており、むしろロイドのようにごまかそうとするほうが見苦しく見えていたりする。


「まあ、むっつりのロイド君は置いとくとして、ティファちゃんもミルキーちゃんも、一度着てみたら?」


「あの、水着って試着しても大丈夫なんですか?」


「大丈夫だから、試着室があるんだと思うよ」


 肌に直接身に着けるものだから、という理由で不安そうに質問したティファに対し、分かりやすい事実をもって大丈夫なはずだと告げるエレナ。


 そこに、カレンが待ったをかける。


「ちょっと待って。デザインはそれでいいんだけど、ティファちゃんは一度ちゃんとサイズを測ってもらったほうがいいよ。たった二週間でこれだし」


「それもそうだね。ついでに、もうちょっと調整しやすいデザインの、って、もう今年は多分着る機会ないかあ……」


 カレンの指摘に納得し、ついでに次の機会のことも考えて、というところで、重大な事実に気が付き天を仰ぐエレナ。


 今年はもう着る機会はない。


 しいて言うなら、ティファ達がインフィータにいる間、もう一度くらいは水遊びをする可能性があるだろうが、アルトに帰ってからはまず着ないのは間違いない。


 が、このペースでティファが育った場合、どう考えても来年は今年の水着など着用不能だ。


 それは何も胸だけの話ではなく、背が伸びて体格がよくなれば、自然ともう少し肩幅や胴回り全体も大きくなる。


 セパレートの水着といっても、横への許容範囲はそんなにすごくはないのだ。


「すいませ~ん」


 うだうだ言っていても仕方がない、ということで、


「はい、どうしました?」


「あの、この子のサイズを測っていただきたいんですけど、お願いできますか?」



「はい。それではお客様方、こちらへどうぞ」


「「えっ? えっ?」」


 声をかけた店員に、割と強引に別室へと連れていかれ、戸惑いの声を上げるカレンとティファ。


 この話の流れで、、頼んでいないはずのカレンのサイズまで測るとは思っていなかったのだ。


 そのまま手際よく脱がされてサイズを測られること約五分。


 カレンがショックを受けた表情で別室から戻ってくる。


「どうだった?」


「……ワンサイズ分、お肉が逃げてた……」


「うわあ……」


 カレンの報告を聞き、やや引きながら同情の声を上げるエレナ。


 本来胸につくはずの脂肪が背中や脇腹などに逃げるのは、本来のサイズより小さいブラをつける最大のリスクであろう。


 カレンほどのサイズだと、ワンサイズ分の肉というのはなかなかすさまじい量になる。


 ショックを受けるのも当然だろう。


「というか、ティファちゃん。多分だけど、私の胸の肉が逃げてることに、だいぶ前から気が付いてたよね?」


「えっと、大きくなってることには気が付いてたんですけど、そもそも胸のお肉が逃げることを知らなかったので……」


「ああ、そっか。そうだよね……」


 ティファの正直な答えに、それもそうかと納得するカレン。


 そもそも、ティファがこの手のことを教わりだしてから、まだ二カ月ほどしか経っていない。


 知らないことのほうが多くて当然である。


「にしても、予定外の出費が痛い……」


「あの、お客様。当店では、手頃な価格のランジェリーも多数取り揃えておりますので……」


「……そうだね。ティファちゃんの分も買い替えになるから、もう私の分もまとめて揃えちゃおう。多分、水着も含めて結構な数買うことになるから、その分割引してくれると嬉しいかな」


「もちろんです。どなたか、高ランクの冒険者の方にお知り合いはおられますか?」


「冒険者? そういえば確か、この街だと無限回廊をどこまでく略したかによって、いろいろと便宜を図ってもらえるんだっけ?」


「ええ、そうです」


「だったら、今この街に来てる知り合いで一番深い階層に潜ってるのは、多分バシュラムさんかな? あと、ティファちゃんも結構深いところまで潜ってたよね?」


 少しでも出費を抑えようと、思いつくままに名前を上げるカレン。


 カレンが出した名前を聞いて、店員が胡散臭いものを見るような表情を浮かべる。


「えっと、こういう時は、カードをお見せすればよかったんでしたっけ?」


 そういう部分には妙にさといティファが、店員の態度からいろんな意味で疑われていることを察して、金の縁取りがある青いカードを取り出しながらおずおずとそう申し出る。


 そのカードを見た店員が、驚きの表情を浮かべる。


「……あ、あの。カードの情報を拝見してもよろしいでしょうか?」


「はい」


 店員の言葉に頷き、素直にカードを渡すティファ。


 ティファからカードを受け取り、緊張の面持ちでつばを飲み込みながら攻略履歴を表示する店員。


「!!」


 そこに記されたとんでもない攻略履歴に声を上げそうになり、寸でのところで叫び声を飲み込む。


「……えっと、何かおかしなところ、ありました?」


「……正直に申し上げますと、カードの動作が正常であること自体がおかしいと申し上げたいような履歴しか……」


 店員の言葉に、ティファとエレナ以外の全員が「やっぱりか」という表情を浮かべる。


 無限回廊を一緒に攻略しているミルキーとロイドはもちろんのこと、アルトに来てからずっとユウとティファのコンビと接してきたカレンにとっても、その程度のことでは驚くに値しなくなって久しい。


「えっと、あたしにはよく分からないんだけど、ティファちゃんのカードってそんなに変なことになってるの?」


「はい。恐らく冒険者ではないお客様はこのカードについて詳しくはないでしょうから、簡単に説明しますと、青いカードというのは中堅を卒業する四十層をクリアした冒険者のものになります」


「へえ、そこそこすごいってことでいい?」


「はい。ですが、実は青いカードを得るだけならば、四十層のボスを倒したあとに出現する帰還ゲートもしくは次の階層へ行くためのゲートをくぐればいいだけなので、冒険者ではない方でもやり方によっては不可能ではありません。実際、調査や採取のためにもっと上のランクの冒険者を雇って、四十層までをクリアしている方もそれなりにいますし」


「それだけを聞くと簡単そうに思えるけど、どうなの?」


 店員から説明を聞いたエレナが、正直な感想をもとにティファ達に意見を求める。


 そのエレナの問いかけにどうだろう、という表情で首をかしげるティファの横で、ミルキーとロイドが必死になって首を左右に振って否定する。


「下手したら流れ弾であっさり即死しかねないエリアなんだから、守られる作法を知ってなきゃあっさりあの世行きよ」


「そうそう。護衛される側だからっていっても遊んでられるようなぬるい環境じゃないし、邪魔にならないように守りやすさを考えて立ちまわりながら、可能な限り魔法とかで支援しないと駄目だ」


「なるほどね。まあ、考えてみれば、モンスターがいるのが分かってるところに無防備に突っ込んでいかれたら、いくら凄腕でも守りようがないか」


 ミルキーとロイドの説明を聞いて、物語などでよくあるシーンを引き合いに出して納得するエレナ。


 そこまで極端ではなくとも、飛び道具を持っている敵がいれば遮蔽物を探して身を隠す、といった、戦闘経験がなくとも少し考えれば思いつくようなことでも、素人だととっさにできないのが普通だ。


 が、普通の冒険者がそのレベルの素人を守りながら無事に突破できるほど、四十層の難易度は低くない。


「あの、それで、わたしの履歴って何がおかしかったのでしょうか?」


「厳密に言うと、縁取りが金色のカードとしてはまったくおかしなものではないのですが、お客様の年齢でとなるとちょっと、というのが正直な感想でして……」


「というと、サイクロプスとかの討伐履歴が付いていることでしょうか? でも、あれはチュートリアルダンジョンのもので、しかも基本的にはユウさん――わたしの師匠が仕留めたものなんですけど……」


「攻撃を完全に無力化する、何発も入れれば仕留められる程度のダメージを与えている、など、決定打になっていなくても討伐にプラスの影響を与えていれば、討伐履歴に記載されます。恐らくですが、他に一緒に攻略された方には、特にそういった履歴は残ってないのではないのでしょうか?」


 店員に問われて、真顔で頷くミルキーとロイド。


 基本的に二人とも、あってもなくてもまったく影響のない補助や妨害しか行っていないため、討伐履歴はティファと比べても一割程度しか記載されていない。


 それでも、採取専門の人物が持つ青カードに比べれば、一桁違う討伐履歴が残っているのだから、ユウとティファが行っている素材集めがどれほど過酷なものか察せよう。


「金縁がどういう意味を持ってるのかとかいろいろ気になるけど、そのあたりを聞いてるときりがないから置いとくとして。結局のところ、師弟揃って魔神殺しなんだから別に不思議でも何でもない、ってことでいい?」


「……魔神殺し、ですか!?」


「うん。半年ぐらい前に、堕ちた遺跡で魔神出て騒ぎになってたんだけど……」


「……そうですか……。あのティファ・ベイカー様、でしたか……」


「あっ、やっぱり知ってた?」


「はい。あのニュースはこのインフィータでも、かなり大きな話題になっていましたから。ただ、こちらのティファ様に関しては、正直同姓同名の別人かと思っていました……」


 エレナが漏らした重大な情報に、ようやく腑に落ちたという表情を浮かべる店員。


 実際問題、ティファ・ベイカーという名前は、それほど珍しいものではない。


 しかも、ニュースで流れた情報は、ティファの名前とアルト魔法学院の初等科に通っているということだけ。


 外見に関する情報は一切なかったのだから、今のティファを見てそんな偉業を達成した人物と一発で結びつけるのは、この異常な内容のカード情報があったとしても難しい。


「委細承知いたしました。先ほどまでの失礼な態度のお詫びも兼ねまして、お客様方には最大限の便宜を図らせていただきます」


 いろいろ納得したところで爛々と目を輝かせ、やたら力強く断言する店員。


 この後、店の全面的な協力の下、ティファとカレンだけでなく、全員の下着と水着を新調することになり、


「……やっぱり、ティファちゃんとミルキーちゃんはこういうのが一番似合うよね」


「うん。あたしとしては、ティファちゃんはもうちょっと冒険してもよかったと思うけど、これはこれで天使みたいで非常にプリティ」


 全員でティファの水着選びに力を入れすぎた結果、ミルキーも巻き込んでどれが一番可愛らしいかをファッションショーもどきで徹底検証する羽目になる。


「けど、さっきからびっくりするぐらい目の保養にならないなあ……」


「悪かったわね! 目の保養にならない幼児体型で!」


「ロイド君。そういうのはカレンに求めなさい」


「いや、私に求められても……。っていうか、そういうのは言い出しっぺのエレナが何とかしてよ」


「あのねえ、カレン。思春期の性欲モンスターな男子にとって、あたしみたいな貧相なのはお呼びでないの。この時期の男子は基本乳尻太もも、肌色面積が正義で谷間と食い込みが至上なんだから、最低限お湯に浮くくらいでないととても目の保養には……」


「え~……」


 ロイドのボヤキを端に発したエレナの演説に、思わずドン引きするカレン。


 エレナの言い分に頷きかけ、鋭い眼光でミルキーに睨みつけられて慌てて目をそらすロイド。


 なお、自分のことを貧相というエレナだが、ミルキーのようにコンプレックスを持つほど平坦でも幼児体型でもない。


 確かに胸は小ぶりだが普通の範囲であり、この中で一番背が高いこともあって、カレンとは違う意味でスタイルがいい女の子だ。


 正直なところ、エレナが自身を貧相というのは、カレンがある種恵まれた体型を活かそうとしないことなど比べ物にならないくらい、ミルキーに対して喧嘩を売っている。


「で、ティファちゃんはどれが気に入った?」


「えっと、水遊びはこれでいいとして、それとは別に水の中で激しく動いても大丈夫な水着って、あります?」


「もちろんございますが、具体的にはどの程度を想定なさっていますか?」


「シーサーペントと戦闘するくらい?」


「そ、それは……」


 カレンに問われてとりあえず最後に着た水着を指定しつつ、ついでに訓練で着るのにちょうどよさそうなものがないかを確認するティファ。


 ティファの求める水準を聞いて、思わず絶句しつつ頭の片隅で納得する店員。


 師弟揃って魔神殺しなのだから、水中戦を念頭において水着を選ぶのは何らおかしなことではない。


「……そうですね。正直なところ、性能以外の面で少々お勧めしづらい品ですが、条件に合うものが一つだけございます」


 そう言って、バックヤードから一着の黒い水着を持ってくる。


 その水着は、ある意味では何ということのない品であった。


「一見して、普通の水着に見えるんだけど……」


「肩ひもがないのがちょっと気になるけど、あっちに並んでるのよりは普通だよね」


「ねえ、エレナ。それを私に無理やり着せようとした件について、あとでじっくり話し合いたいんだけど、どうかな?」


「確かに、さっきカレンさんが着せられそうになってた水着はすごかったわよね。私だったら、何重かの意味で死ねそうなくらい。あれに比べりゃこの水着は普通、っていうかトップスに関しては、普段着からこういう感じの人、シーフのお姉さまとかには結構いるわよね」


「つうか、あの辺の見たあとだと、どんな水着でも普通に見えるよな」


 正直な印象をそう語りつつ、広げて何度も確認するカレンとエレナ。


 それを見ながら、同じような感想を口にするミルキーとロイド。


 実際、ミルキーが言ったように、シーフや踊り子の中には、普段着が上半身は胸に布を巻いただけ、というような恰好をしている人物が結構いる。


 そういう人材を見慣れていると、この水着は水着という前提なら普通に見える。


「……えっと、あの……。なんだかこの水着、普段訓練しているときにつけてる下着と変わらない感じなんですけど……」


「あ~、そっか。ティファちゃんが訓練してるときにつけてるやつ、鎖骨をみえるデザインにすればこれと同じになるよね」


 ティファのコメントに言われてみればと納得しつつ、これはダメかなと考えるカレン。


 先ほどまで試着していたものと違い、普段つけている下着によく似ているとなると、水着だからという割り切りは難しくなる。


「まあ、ティファが恥ずかしがるのは分からなくもないけど、これくらいだとお勧めしづらいしなっていうにはちょっと弱いわよね。見て分からないところで何かあるの?」


「それに関しては、恐らく試着していただかないと納得していただけないかと……」


 ミルキーの当然の疑問に、本気で言いづらそうにそう告げる店員。


「つまり、人身御供が必要なわけだけど、ティファちゃん向けに持ってきたってことは、あたし達だと入らないかな?」


「この水着ですが、実は無限回廊の四十層で時折産出するスポーティビキニアーマーという魔法の防具でして……。防御のための魔法や自動修復の魔法以外にも、着用した方に自動でサイズを合わせてぴったりフィットさせる魔法がかかっています」


「魔法がかかっているのは気が付いてましたけど、他にもそういう水着や下着があったので、そんな珍しいものだとは思ってませんでした……」


「……だね。で、私、何となくだけど理由が読めたよ……」


 どっちを人身御供にすべきかとティファとミルキーに目を向けたエレナに対し、店員がそんな補足をする。


 それを聞いたティファが目を丸くし、何やら察したカレンが何となく遠い目をしながらぼやく。


 ぴったりフィット、という単語に、いやな予感しかしない。


「あたしは冒険者じゃないからよく分かんないんだけど、マジックアイテムの類なのに売れ残ってるってことは、かなり問題があるってことだよね?」


「正直、試着された方の九割は、これなら普通のビキニアーマーのほうがましだ、と言い切っておられまして……」


「なるほど。よし、カレン。人身御供に……」


「絶対いや」


「って言いたいところだけど、ここは素直にティファちゃんが試着したほうがいいかな。あたしやカレンだと風紀的な意味で大問題になりそうな気がするけど、ティファちゃんだったらまだ大丈夫な範囲かもしれないし」


 最後まで言う前に拒否の言葉をかぶせてきたカレンを見て、いたずらが成功したという表情でそう続けるエレナ。


 そもそも、この水着が必要なのはティファなのだから、ティファが試着するのが普通である。


「……分かりました。覚悟を決めて試着してきます」


 そう言って、水着を受け取って更衣室に入るティファ。


 その後、十分以上経ってもティファは更衣室から出てこなかった。


「……うん。正直予想はついてたけど、相当みたいだね……」


 再び遠い目をしながら、いつまでたっても出てこないティファに同情するようにそうつぶやくカレン。


 そもそも、いつの間にか客の数が増えているので、問題がありそうな水着を着ているティファをうかつに外に出すわけにもいかない。


「……ねえ、カレン。ちょっと代表して確認してきてくれない?」


「……そうだね。気が進まないけど、ちょっと見てくるよ」


 エレナにふられ、仕方がないと様子を見に行くカレン。


 常日頃の関係を踏まえても、こういうことをこじらせずに行えるのはカレンしかいない。


「……ティファちゃん。もう着替えた?」


「えっと、あの、着替えましたけど……」


「多分、外に出ていくのははばかられる状態だと思うから、私にだけちょっと見せてほしいんだけど、入っていいかな?」


「あっ、はい」


 カレンの申し出を素直に承諾し、ほんの少しだけ試着室の扉を開けるティファ。


 ティファに招き入れられて中に入り、全身を見た瞬間に絶句するカレン。


 魔法の水着は、ティファのボディラインを余すことなくきれいに寸分たがわず露わにしていた。


「……うん。これは確かに、普通のビキニアーマーのほうがはるかにまし、だよね……」


「……はい……」


「っていうか、乳首が浮いたりとかしてないだけで、実質的に裸と変わらないよね、これ……」


「胸とかお尻とかの形を整える効果もあるみたいなので、考えようによっては裸より恥ずかしいかもしれません……」


「あ~、なるほど」


 ティファの言葉に、思わず納得してしまうカレン。


 先ほどサイズを測った時は、ごく浅くだがはっきりと谷間がある程度だったティファの胸が、形を整えたことで頑張れば何か挟めそう、くらいにサイズを強調されている。


 そのおかげで、基本的な体形が子供であることも災いし、何とも言えない背徳感あふれるヤバい色気がにじみ出ている。


 容姿が整いすぎていることもあり、この水着で外に出れば変質者を一山いくらで釣り上げそうだ。


「っていうか、それだったら他にも変な効果ありそうだよね」


「えっと、分かってる範囲では、胸が揺れても痛くなかったです……」


「……つまり、油断してると揺れてることが分かんない、と……」


「はい……」


 ティファの報告に、遠い目をしてしまうカレン。


 かろうじて揺れはする程度のサイズがあるから分かったことであろうが、正直下着ならともかく水着ではありがたくない。


 とことんまで、人目のあるところで着用するのに、向いていない水着である。


「これ、上に何か着てごまかしたりとか、できないのかな?」


「それをすると、一時的に魔法の効果が切れるみたいです。とりあえずパーカーぐらいは大丈夫だったんですけど……」


 どうやら、一応鎧だけあって、外套以外の防具を上に重ね着することはできないようだ。


「多分、ユウさんは今のティファちゃん見ても特に反応はしないと思うけど、さすがにこれはダメだね……」


「はい……」


「じゃあ、さっき選んだ水着で何とか頑張って」


「頑張ってみます」


 お互いに結論の一致を見て、アウト判定をするカレンとティファ。


 これ以上更衣室の中で引っ張るのもよろしくないので、さっさと着替えて皆の元に戻ることにする。


「どうだった、って聞くまでもないか」


「うん。あれ着てうろうろできるのって、相当レベルの高い変態さんだよ」


 出てきてすぐにぶつけられたエレナの問いに、自信を持ってそう断言するカレン。


 それを聞いたミルキーが、ふと重要なことに気が付く。


「そういえばさっき、試着した人の九割は、って言ってたわよね?」


「はい」


「ってことは、高レベルの変態が一割はいるってことなの?」


 店員に対して実に真剣な表情で、まだ見習の年齢でしかない女の子がするのはどうかという質問をするミルキー。


 そのミルキーの質問に、思わず顔を引きつらせてしまう店員。


 一応客のことなので答えづらい、というのもあるが、見た目は見習いにも達していない幼い少女に対しては、非常に話しづらい内容が多いのだ。


 はっきり言って、店員自身が忘れ去りたい話ばかりである。


「えっと、一割が変態……というわけではないと申しますか、大部分は女性だけのメンバーだとか夫婦だけで潜っているからとの割り切りの上で、ダンジョンの水中フロアを攻略するために購入していかれた方ですね」


「それ聞くと、ますますそうじゃない購入者ってのがどんな変態なのか気になるわね……」


「そのままうろうろして公権力につかまるような真性は、今までで二人だけでした」


「二人もいたの……」


「残りは防具としての効果を失わず、かつ公権力につかまらないギリギリを狙ってコーディネイトされる方でして……」


「公権力につかまらないっていうのは分かるとして、防具の効果を失わないっていうのは?」


「一応これは鎧扱いなので、上に重ね着をする、もしくは下に水着より面積の広い下着などを身に着けるとすべての付与効果が一時的に失われまして……」


「ああ……。自動調整が消えるから、脱げちゃうか破れるかするわけね……」


「一応、マントやサーコート、パーカーなどは大丈夫なのですが……」


「パーカーはともかく、マントとかコートだとそれはそれで、変質者っぽいわね……」


 ミルキーの実に正直な感想に、非常に酸っぱい表情で頷く店員。


 余談ながらこのスポーティビキニアーマー、四十層という浅い階層でそれなりの数産出するのに性能は七十層クラスという、非常に強力な防具である。


 なので、唯一にして最大のデメリットである見た目をどうにかしようと、様々な特殊装備を試している冒険者もいる。


 最近では重ね着可能で水着部分がほぼ隠れる衣服系の装備もいくつか発見されているが、それこそ七十層以上で産出するものなので、スポーティビキニアーマーに比べると産出量がはるかに少なく値段も相応である。


 少なくとも、ティファ達に手が出せる値段ではない。


「とりあえず、運動用の水着は諦めます……」


「そうですね。まことに申し訳ありしませんが、単に泳ぐ練習をするだけならともかく、戦闘行為に近い訓練をするとなりますと……」


 ティファの出した結論に、本当に申し訳なさそうに頭を下げる店員。


 客の出してきた要望に応えられなかったことが、割と本気で悔しかったらしい。


 もっとも、今回に関しては一般人向けの服屋に防具を探しに来ているのと変わらないので、むしろ応えられないのが普通ではあるが。


「で、買う分はこれで全部かな?」


「多分? っていうか、カレンとティファちゃんの下着はそれで十分?」


「ここにいる間の分はね。それ以上は、帰ってからの調達かな?」


「あ~。まあ、ここであんまりたくさん買っても、持って帰るのが大変だしねえ」


「そもそも手持ちも厳しいから、そんなにたくさんは買えないし」


 各々が自分の分の水着を選び終えたのを見て、支払いに移るカレン達。


 言うまでもないことだが、カレンとティファの分が一番多い。


 その量は普通に暮らしている分には、なかなか買うことがないものになっていた。


「……あれ? こんなの選んでたっけ?」


 店員が包んでいる下着を見て、思わず首をかしげるカレン。


 清楚で上品だがこれといって特徴のないそのブラは、恐らくアルトでも普通に買えるからという理由で割と早い段階で候補から外したものだった。


「こちらは、わたしからの個人的なプレゼントということで、お願いします」


「えっと、そこまでしていただく理由がないというか……」


「もちろん、条件というかお願いがございまして……」


 と言いながら、店員がどこからともなく取り出したのは、カレンが最後まで葛藤した末に羞恥心に負けて買うのをやめた、割と大胆な赤いビキニ。


 大胆と言っても常識の範囲ではあるが、思春期の少女にはなかなかハードルが高い水着である。


「できれば、一度でいいのでこれを着て、ティファ様と一緒に湖で遊んでいる写真を撮っていただきたいのです」


「…………え~と、なぜに!?」


「それは当然、当店の宣伝に使うためです!」


「却下!」


「もちろん、この水着だけとは申しません! 引き受けてくださればさらに定価から三割ほど割引をいたしますし、それとは別にティファ様とカレン様のために我々がチョイスした下着類を無料でアルトまで配送させていただきます!」


「うっ、それは魅力的すぎる……」


 店員の口説き文句に、思わずぐらっと来るカレン。


 プロがチョイスした下着、というのも心が動かされるが、それ以上に定価から三割引きを追加、というのが大きい。


 ティファのおかげで四割ほどすでに割引されている。


 そこから三割というと、ほぼ仕入れ原価だろう。


 そこまで下げてもらうと、かつかつだった小遣いにだいぶ余裕が出てくる。


「でも、私だけならともかく、ティファちゃんも巻き込むのはなあ……」


「……あの、カレンさん」


「どうしたの、ティファちゃん?」


「わたしなら、カレンさんと一緒に写真に写ってもいいです」


「でも、水着だよ?」


「ちょっと恥ずかしいですけど、せっかく遊びに来ているのに、お金がなくてカレンさんが旅行を楽しめないのは寂しいですし、わたしの分の下着も割引に入ってますし……」


 ティファのけなげな申し出に、思わず目が潤みそうになるカレン。


 気を使わせた挙句の果てに、我欲のために妹分を売り渡すような真似をしそうになった己が情けなくてしょうがない。


 ここは断ろう、と思ったところで、そのやり取りを見ていた店員が追撃を入れてくる。


「お店の宣伝だけでなく、皆様の思い出に残るプライベートな写真も、当店のプロカメラマンの手によるベストショットを提供する予定です」


「やります!」


 店員の追撃に、カレンより先にティファが食いついてしまう。


 どうやら、みんなで写真を撮る、というイベントが非常に魅力的だったらしい。


「それでは、お値段はこちらのほうになります。お買い上げ、およびご協力、ありがとうございます」


 言質を取ったとばかりに、満面の笑みでさっさと割引した値段で決済を済ませる店員。


「ティファ、あんたちょっとチョロすぎない?」


「えっ?」


「この店にずっとポスターが残るってのに、私達と遊んでる写真撮ってもらうってだけでOKしちゃうとか、ちょっとチョロすぎて将来が不安になってくるわ……」


 あまりに純粋なティファに対し、呆れながら問題になりそうなことを指摘してやるミルキー。


 ミルキー的には、ティファとカレンのポスターならもっと条件を釣り上げるべきだと言いたくてしょうがない。


「まあ、もう報酬の一部を先に受け取っちゃってるんだから、明日は頑張って撮影に協力しなさいな」


「うう……。なんだかごめんなさい、カレンさん……」


「いいよいいよ。二人で頑張って胸張れるポスターを作ってもらおう……」


 ミルキーにトドメを刺されて、自分のやらかしに気が付いて涙目になるティファ。


 そんなティファに対し、何となく罪悪感を覚えてそんな決意をするカレン。


 こうして、麗しき古硬貨亭の面々は、インフィータでも名前を売るきっかけを得てしまうのであった。


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