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プロローグ 戦い終わって-2



「ん~……。さすがにブラはまだ早いかなあ……」


「もう少し育ってからかしらね」


 ユウがリエラと話し合いをしている、同時刻。


 本日はほぼ開店休業状態の麗しき古硬貨亭では、カレンとおかみさんが風呂場でティファを囲んで、実に真剣な表情でそんな相談をしていた。


 昨日の夜、ティファとカレンが一緒に風呂に入った際に、ティファに第二次性徴が始まっていることが発覚したため、現在改めて現状を確認しているのである。


「えっと、あの……」


 カレンとおかみさんの言葉に、戸惑いと恥ずかしさをにじませながらおずおずと口を挟もうとするティファ。


 先ほどまで服を脱がされてあちらこちらを確認、計測され、そのうえで出てきた言葉がそれだったのだから、ティファの性格的に考えてこの反応は仕方がないだろう。


「ティファちゃんが言いたいことは分かるよ。もうちょっと遅かったとはいえ、私も最初お母さんに相談して同じことされたときは、恥ずかしかったしここまでやらなきゃいけないのかって戸惑ったしね」


「そうなんですか?」


「うん。ただ、育ち始めると結構あっという間に膨らんできてるのが分かる程度に育つから、早めに準備しておくに越したことはないんだよ」


 ティファの初々しい反応に頬が緩みそうになるのをこらえながら、自分もそうだったことを告げるカレン。


 もっとも、カレンのこの言葉をミルキーが聞けば、育ち始めて三年経つのに触らなきゃ膨らんできてるのが分からない自分は何なのかと吠えそうではあるが。


「あと、ティファちゃんは毎朝走っているでしょう? ちゃんとしておかないと、大変なことになるわよ」


「大変なこと、ですか?」


「ええ。胸が膨らんできたらちゃんとした対処なしのままで走ると、大きさで度合いの差はあれどどうしても揺れるのよ」


「というか、今でも走ってるときに乳首が擦れて痛いんじゃない?」


 おかみさんの言いたいことを補足するように、カレンが疑問になっていることを聞いてみる。


 カレンの言葉を聞いたティファが、大変なことの内容を察して現在どうしているかを答える。


「最近ちょっと痛かったので、龍鱗で防御してました」


「えっ、あ、あ~! なんかものすごく技の無駄遣いっぽい感じだけど、ティファちゃんだったらそういう手も使えるか~……」


「えっ、えっと、普通はどんなふうに対処するんでしょうか?」


「普通は、擦れて痛くなった時点で、密着するタイプの下着をつけるんだけどね。そっか~、龍鱗か~……」


 ティファがとっている対処法を聞き、盲点を突かれた、という顔で頷くカレン。


 現時点ではよく見れば膨らんできているのが分かる程度でしかないティファの場合、この件における本質的な対処方法は龍鱗で防御するのと変わらない。


 が、カレンほどとまでは言わなくとも、手で寄せれば谷間ができる程度まで育てば、その程度の対処では済まなくなってくる。


「とりあえず、いつでも龍鱗が使えるわけじゃないと思うし、とっさの時にそっちまで意識割かずに済ませるためにも、今からちゃんとした下着を買いに行こう」


「えっ?」


「こういうのはたしなみとして習慣化しておかないと、本当に必要になった時に身についてなくて苦労するからね」


 本当に必要なのか、という表情を隠しもしないティファに対し、そうきっぱり言い切るカレン。


 その隣では、おかみさんも真剣な顔で頷いている。


「あ~、ついでだし、新しい服とかも一緒に買っちゃおう。私も一緒に行って見立ててあげるから」


「カレンだけだと意見が偏りそうだから、アイネスちゃん達も連れて行けばいいわ」


 こういう時に意見を聞くと絶対遠慮して話が進まないと分かっていることもあり、ティファの意思を無視して本日の予定を勝手に決めるカレンとおかみさん。


「さあ、今日はショッピング三昧だ!」


「えっ? あの、そんなにいろいろ買わなくてもいいのでは……」


「私も買いたいし、ティファちゃん最近ちょっと服に無頓着になってきてる感じだから、ちゃんと買ってしっかりおしゃれもしなきゃダメ」


「はうっ」


 自分でも自覚がある部分を指摘され、思わずうめいてしまうティファ。


 このカレンの厳しい指摘もあり、結局ティファは自分が着せ替え人形にされる運命から逃れられなくなるのであった。





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