第四話:教室の視線
教室のドアを勢いよく開き、岩崎さんを確認する・・・が、いない。
「いつのまにか追い抜いたっけ?」
「『いいえ。それはないと思いますが・・』」
「いったいどうなってんだ?」
二人で顔を見合わせ、?マークを浮かべていると、
「どうなってるのかはこっちが聞きたいが?」と奏真が声を掛けてきた。
気が付くと奏真とシンが俺達の前に立っていた。クラス全員の視線を背後に携えて。
ヤバイ!何にせよ目立ち過ぎたか。
そう思い美花の顔を伺うと同時に
「おっはよ〜!!」と挨拶しながら教室の後方のドアが開かれ、目標の人物が顔を出した。
「ん?何?どうしたん??」
今度は俺達も含めて全員の視線を集めたのは岩崎さん。驚いてる顔もまたかわいい。
「さ『桜井さん』、岩崎さん見つかったよ!じゃあ俺はここで。」(美花、岩崎さんは頼む!俺はクラスのみんなを何とかする!)
「『え、ええ、助かりました。ありがとうございます。』」(OK悠司!)
口と目の会話をすると
「『岩崎さ〜ん!少しよろしいですか』」と駆け出して行った。
何か二人で話していると、無事に連れ出す事が出来たようだ。
さて、と・・・
「なにがあったんだ?」
奏真が聞いてきた。多分他のみんなも同じ事を考えていると思う。
「いや〜、朝『桜井さん』から電話あって岩崎さんを探してって言うんだよ〜。なんか先生から電話があったらしく・・俺もクラス委員だから。」
「なんだ、そんな事か」とゾロゾロと俺から視線を外し、いつもの空気に戻る。
シンも奏真もつまらなそうに席へ帰って行った。
みんな単純で助かった。なんとか誤魔化せたようだ。
しばらくすると舞ちゃんが来て出席を録り始めた。直後、岩崎さんと美花が教室に入ってきた。
美花が席に付くのを見ていると目が合い「バッチリよ!」とウインクしてきた。
またそんな事すると・・・
「悠司、本当に何もなかったのか?」
ボソボソとシンが聞いてくる。
ほら、お隣さんがいらん誤解を招くだろうが!
「ないない。な〜んもないよ」
「じゃあなんで悠司に向かってウインクしたんだよ」
「さぁ? お礼のつもりじゃない?」
「あやしいな〜・・・」
もうブツブツ言うモンだから聞こえないフリしました。




