謝罪と怒りと涙
ものすごく短いです。
「ごめんなさいなの。アイはもうここから去るの。戦場には今回の魔獣大群の素材が全部置いてあるの。お詫びの印なの。それじゃあ…。」
少女が兵士達の元に戻り、悲しげな笑みを浮かべながら謝っていると一人の女の声が響く。
「アイちゃん!」
「カレンさんなの?カレンさんもごめんなさいなの。知らせに行った兵士さんからもう聞いてると思うの。アイがこの町に居たから魔獣大群が来たの。だからごめんなさいなの。町の皆にも伝えて欲しいの。」
少女は頭を下げながら言った。
この国では頭を下げるという行為は王様など見上の人間にしかせず、ここで頭を下げるという事は自分が格下だと言っている事になる。
少女もそれは知っていたが【忌み子】は悪。
まず、人権がないのだ。
そんな事はもう生きてきて分かっていた。
「ぜえぜえ。っ…」
(あれ?殺気や怒りの気配がしないの。)
「アイちゃん…。顔、上げな。」
(あ、やっぱり怒ってるの。)
【気配察知】によりその事が分かった少女は殴られるのかと恐る恐る顔を上げる。
「アイちゃん!無事で良か…ったよ。」
しかし、女は予想と反して抱きついてきた。
「か、カレンさん?」
「アイちゃんが【忌み子】だなんて関係ないよ。私は、町の皆はアイちゃんの事、娘や孫みたいに思ってるんだ。」
「…。」
「アイちゃんは強いのかもしれない。でも、無理しないでおくれ。私達は心配で心配で仕方ないんだから。」
「あ、アイちゃん!だ、大丈夫だったか?はあはあ、ぜえぜえ。おのれ、カレン羨ましいぞ!ぜえぜえ。」
「町長…。」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「アイちゃん!」
「皆…。」
少女の目から涙が零れ落ちる。
一滴、二滴、三滴。
「ど、どうしたのじゃ!何処か痛いのか?」
「そうじゃないね。嬉し泣きに決まってるだろう?」
「えぐっ、うっ、うぅ。」
そんな会話に少女は―――【忌み子】アイ・ギバイツ・クリスティンは、更に涙を流したのだった。
…短かったですね。
仕方ない何か書きますか。
という事で
ミミの気持ち!
アイはどこでも快適です。
頭の上も、肩の上も、腕の中も。
今日は肩の上でくつろいでいました。
すると、何処からか大きな声が上がり周りがうるさくなったのです。
どうやら魔獣大群がやってきたらしいです。
そう言わらればもうここに来てから半年を超えていました。
いけませんね。アイが忘れてしまったのならミミがしっかりしないと。
ただ、同じ魔獣とはいえこのミミのアイを食いに来るとは許せません。
同じ魔獣と言いましたが、そもそも種類が違うのですが。
本能を理性で抑えられない低級な(それでも人は討伐難易度・上級と言っていますが)魔獣などこのミミが蹴散らしてやりましょう。(同じ超高位魔獣でも食いに来た馬鹿な奴もいましたが)
ですが、アイは自分でお仕置きするそうです。
まぁ、それもいいでしょう。
でも聖気でここを覆うだけで戦闘に参加できないのは悔しいです。
ですが、これも立派な役目。
これがきちんと出来なくてはもっと沢山の馬鹿どもがやってきてしまいます。
ミミは物分りがいい子なのです。
きちんと端で待っています。
ただ戦闘が終わった頃には変身しないで出せる最速の速さで走りましたが。
変身すると肩に乗れませんから仕方ありません。
アイは町の人々に謝るそうです。
謝る際には降りなくてはなりませんからミミは反対ですが。
それに、殴られたり石を投げられたりするのなら断固反対です。
ただアイにはこれを言っても止まってくれませんからもしもの時、直ぐに庇えるよう準備しているしかありません。
悔しい限りです。
ミミにはアイが何を言っているのかなんとなく分かるのでどうアイが謝っているのかはよく分かります。
ただ相手の言っている事は分からないので意味がありませんが。
ですが、今回は優しい人だったようです。
アイが幸せならミミも幸せです。
アイの嬉し涙が止まったらこの幸せな気持ちのまま、またアイの肩に乗りましょう。
頭もいいかもしれません。
いや、やっぱり今日の気分は肩です。
取り敢えずアイは早く泣き止みなさい。
スリスリ。
ミミのスリスリで直ぐに泣き止む筈です。
ほら泣き止みました。
やっぱりアイの肩の上は最高です。
読んでくださってありがとうございました。
次は30日に投稿しようと思います。