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忌み子〜魔獣を呼び寄せる少女〜  作者: もち猫
第二章 学園へ
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掃除と笑顔

遅くなりました!

ごめんなさい!

「んんー。もうそろそろ時間なの。起きなきゃなの」


夢から目覚めたアイは伸びをすると歩きだす。

歩きながらも体は光り、小さな五歳の体から十三歳の緑色の髪をした姿に変化した。


「うーん、急に見える高さが高くなるのはやっぱり慣れないの……あっ」


そこまで言ってアイは口をおさえた。

小さい頃の夢をみていた所為か、ついルラミカーニャ語で喋っていたのである。


「これからは気をつけないといけないの」


コツンと軽く頭を叩くと今度はきちんとシュワリューズ語でそう呟く。


一応アイはシュワリューズ生まれシュワリューズ育ちという設定なので、ルラミカーニャ語が全国共通語とはいえもし気が抜けて外国人でもない人にルラミカーニャ語で話しかけてしまったらおかしくなってしまうだろう。

流石にそこからアイの正体がバレるということはないだろうが怪しい要素は少ない方がいいに決まっている。

まあ、色々な国の人がいるらしい学園なら平気かもしれないが。


アイはそんな事を考えつつ出てきそうになったあくびをかみ殺すと部屋に備え付けの流し場に向かう。


「…もし寝言でルラミカーニャ語を喋ってたらどうしようなの」


流し場にある小さな鏡にうつるまだ見慣れていない自分の深緑色の髪をみて呟く。


アイはそのまましばらく考えると何も思いつかなかったのか諦めた様な顔をしてやっと顔を洗った。


「まあ、その時はその時で考えればいい事なの」


早くも考える事を放棄したアイは寝ている間はどうしようもないのだと言い訳をしながら部屋を出て階段を降りる。


メイ達はまだ光の玉のままだがその状態でもアイについてくるようになっているので問題はない。


「あ、アイちゃん。おはよう」


階段を降りて食堂に向かうともうマルシアが起きて散らかったままになっていた食堂を掃除していた。


「おはよう、なの。マルシアさん。アイもお掃除、やるの」


「ありがとう。それじゃあ、あっちの方をお願いできるかい?」


「分かったの」


いざ、掃除!と、なり、よく見て見るとそこはかなり酷い状態であった。

食べ残しこそないものの、かなりの食べこぼしにゴロゴロと転がる酒瓶。料理を取る用の小皿は積み重なり塔を築いている。


アイ達が片付けをしている時はそこまでではなかったのだが、アイ達が片付けをやめて食べる方にまわってから、酒が初めよりまわった事もあり、この状況に至ったのだろう。


「…………とりあえず、食器を片付けるの」


考えるのはそれからだ、と、積み重なった小皿を待ちあげ流し場に運び、再び食堂に戻るとまた別の小皿の塔を流し場に運ぶ。


しばらくそれを繰り返し、任された範囲に小皿がなくなると、今度は料理が入っていた大皿を集めて運ぶ。


皿がなくなり、今度は机の上にたくさん置いてあるコップを運んでいく。


「ふぅ…………、え、っと…しょ、食器を洗ってくるの…」


ついに任された範囲から食器は全て消えたものの、食堂に戻り一息ついて、きちんと見てみれば、酒瓶、酒瓶、酒瓶、酒瓶、倒れた椅子、割れた酒瓶、食べこぼし、飲みこぼし、食べこぼし、飲みこぼし、食べこぼし、飲みこぼし…………………。




…………アイは、流しに溜まった小皿や大皿を先に洗う事を決めた。


逃げではない。

実際問題、流しにはアイが運んだ皿やコップ、それにもともとあった皿やコップ(きっとマルシアが運んだ物だろう)が山のようにあり、もう他の皿も入らないくらいにいっぱいいっぱいなのだから……これは、やらなくてはいけない事なのだ。


クルッと回って元来た道を戻る。


改めて目にした食器の多さに一瞬怯むもすぐに食堂の惨状を思い出し、こっちの方がマシだと食器を洗うようの水と洗い終わった食器を拭くようの布を用意して食器を洗いはじめた。



ーーーーーー



「キュッキュッキュッキュッキュッキュッキュッキュッ」


全ての食器を洗い終わったアイは最後の皿を入念に、いや必要以上に、拭いて、いやもはやもう磨いていた。


「はぁ…」


アイはピカピカに磨き上げられた皿をみて、もう逃げられない事を悟るとため息を吐いてそれを棚に仕舞う。


「…あんなにたくさんあった食器も結構早く洗い終わったの。なら、食堂もやってみれば意外と簡単に終わるかもしれないの」


そう言って自分を鼓舞してみる。…が、あまり効果はなさそうだった。


「はぁ…」


まだ、皿の汚れならアイも平気だった。だが、床にある色々な人に踏まれた食べこぼしは精神的に受け付けなかったのだ。


「覚悟、するしかないの」


アイはそう言って思いっきり流しの扉を開く。


「うわっ」


「あ!マルシアさん、ごめんなさいなの!」


扉を開くとそこにはちょうどマルシアがいたようで、ドンッと思いっきり扉をぶつけてしまった。


「いや、大丈夫だよ。アイちゃん。私は昔から、体だけは丈夫だからね。それにしても、なかなか食堂に帰ってこないと思ったら厨房にいたのかい。なにをしていたんだい?」


「ちょっと、お皿を洗ってたの。」


アイがそう言って食器棚を指差すとマルシアは少し驚いたような顔をする。


「食器を洗ってくれたのかい?ありがとうね。でも、それならダニーがやるからやらなくてもよかったんだけど…」


「そうなの?」


「あぁ。…そうだね、それじゃあこうしよう。食堂の掃除の残りはダニーにやってもらうとして、アイちゃんは開店まで休んでていいよ」


マルシアは少し悩んでからそう言った。


「……!!ありがとうなの!」


その言葉にアイはこれ以上にない最高の笑顔をみせるのだった。

やっと携帯が帰ってきて、「さぁ、続きを書こう」と今までの話を読み返してみたら、あまりの酷さにびっくりしました。

これからいろいろと修正しようと思います。

もしかしたらはじめの村のくだりが消えるかもしれません。

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