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忌み子〜魔獣を呼び寄せる少女〜  作者: もち猫
第二章 学園へ
16/18

獣人の国 ジュナード ⑤

明けましておめでとうございます。


遅くなってすみません。

とりあえず今回の過去編はここまでにしようと思います。

「あ、アイちゃん。おはよう」


アイが起きると昨日とは違い、もうすでにみんなが起きていた。

一番初めにテントからでてきたアイに気がついたのはシニーと遊んでいたアーニャだ。


「あ、アイ、おはよう」


「おはよう。アイ」


「おはよう。アイちゃん。もうすぐ朝ごはんも出来るから座って待っててね」


「おはよう。アイちゃん。夜はよく寝れたかな?」


アーニャの声によってアイに気がついた皆も挨拶をしてくる。

メイ達はもう光の玉からいつもの姿になって五人でまた神経衰弱で遊んでいる。

どうやら神経衰弱にハマってしまったようだ。

トランプをつくるのにアイの魔力が使われるのだがアイにとってはそれほどの量ではないし、補給する事も出来るのでそれほど気にしていない。


「ありがとうなの。ちゃんと寝れたの」


アイはカルルに返事をしながらメアリー達とアーニャの間に座る。

皆の位置は昨日のお昼の時と同じだ。

因みに、毎回リナしかご飯をつくっていないのはメアリーも手伝うと言ったのだがリナが断った為である。


「はい。それじゃあ……」


「「「「「「この世の恵みに感謝します」」」」」」


リナが皆の前に食事を置き、カルルの隣に座ると皆で食事の前の挨拶をしそれぞれがそれぞれの朝ごはんを手に取り食べ始めた。



「…ちょっと寒くなってきたわね」


たわいもない話をしながら楽しく朝ごはんを食べていた所に、びゅー、っと風が吹き、ぶるりと体を震わせたメアリーがポツリと呟く。


「確かにそうだな。北に近づいてきたか?」


メアリー達は比較的に暖かいルラミカーニャにいたため薄着である。

カルル達も薄着で、全身毛で覆われている訳でもなくただ人に獣耳と尻尾が生えているだけなのだがジュナードにある町を拠点としているので少しの寒さなら平気だ。

また、アイは【最適化】により寒さに強い体に自動的になっている為あまり寒いとは思わない。


「確かにもう少しで町につきますからね。後で上着を三枚お売りしますよ」


ここで、あげる、と言わずに、売る、と言う所がカルルが商人である証拠である。


「確かにシニーに会えたって事は何もなければ今日中に町につきますからね。端とはいえジュナードの町ですから慣れてなければちょっと寒いかも知れませんね」


アーニャと一緒になってシニーにパンをあげていたアイをアーニャが何故か撫でながらそういった。


「そういえば町についた後はどうしますか?僕達は七日程町で商売や仕入れをしたらまた別の町に出ますけど」


カルルが思い出したようにメアリー達に問いかける。

アーニャの、今日中に町につく、で思い出したのだろう。


「うーん、そうだな。メア、どうする?」


「そうね…。残念ですけどその町まででお願いします」


「そうですか…。じゃあアイちゃん、そこまで仲良くしようね」


耳を立ててメアリーの言葉を聞いていたアーニャは耳をペタンと倒し、尻尾をしゅんと垂らし悲しみを体全身で表していたが無理矢理笑顔をつくってアイの頭を撫でた。


アーニャも行商人の娘である。仲良くなった人との別れはよくあった。なので、自分達には自分達の事情があり相手には相手の事情があり、どんなに泣き喚いても無駄だと、それならその時間も楽しく過ごした方がいいと、理解しているのだ。


「……ちょっと、寂しいの…」


アイが泣き喚かないのはメアリー達の今までの会話から別れるのは自分の所為だとなんとなく分かっていたからである。


「私もそうだけど別れるまでの間、悲しんでるよりも笑っていた方が楽しいでしょ?」


「分かったの…」


アイは渋々といった感じでうなずくと残り少なくなっていた朝ごはんを一気に口に入れた。

やけ食いというやつである。

量は増えてはいないが。


「大丈夫。いつかまた、会えるよ」


そんなアイを見てアーニャは優しくそういった。


「ゴクン。…そうなの。またいつか、会えると嬉しいの」


アイはそういうとアーニャに笑顔をみせた。

その笑顔は二歳の子供には似つかわしくないどこか悲しげな笑みであった。



ーーーーーーーーー



「アイ、ちょっといいかしら?」


アイがそうメアリーに呼ばれたのは朝ごはんも食べ終わりそろそろ出発しようかとなっている時だった。


「どうしたの?」


アイがそういって駆け寄るとメアリーは、微笑みながら小さな上着をアイに着せる。

ご飯の時に話していた上着だろう。


「さっきカルルさんから買わせてもらったのよ」


「あったかいの」


メアリーはそう言うアイの頭を撫でてから腰をかがめてアイと目線を合わせると口を開いた。


「あのね、アイ。話があるの。聞いてもらえるかしら?」


真剣な顔でそう言うメアリーにアイはゆっくりとうなずく。


「ありがとう。もう少しで町に着くでしょう?町に入ったらたくさんの人に会うと思うのよ。そこでね、お願いがあるのよ」


「お願い、なの?」


「そう、お願い。誰かに名前を聞かれたらファーストネームだけで、ファミリーネームは言わないで欲しいのよ。それでどうしてもファミリーネームを言わないといけなくなった場合は……そうねフィリップ、アイ・フィリップって言ってくれないかしら?」


何故名前まで変えなかったかと言うと、まだアイの事をアイと名付けた事を誰にも話していない事、それにメアリーはアイが嘘を上手くつけない事を知っているからである。


逃げる時に咄嗟に名前を呼んでしまったがそれはもう仕方ない。

宮廷魔導師長が覚えていない事を願うしかないだろう。


「? よくわからないけどわかったの。クリスティンは封印するの」


そういってアイは口の前に指でバッテンをつくるとニカッと笑った。


「ありがとう。後、お母さんとお父さんが違う名前を名乗っても気にしないでね?」


「わかったの!」


「ありがとう。それじゃあ皆の所に行きましょう?皆、待ってるわ」


メアリーはそういって立ち上がるとアイの手を握り、馬車に向かって歩き始めた。





ーーーーーーーー





「あ、アイちゃん。町がみえてきたよ」


昼過ぎ、アイの隣で馬車の屋根に座るアーニャが遠くを指差してそういった。


あの後、アイはアーニャと共に屋根に登り馬車は出発した。アーニャやシニーと遊びながら馬車は進み、お昼の休憩もちゃんと取り、まるで森を避ける様な曲がり角を曲がるとその町は急に姿を表した。


魔獣避けの壁に覆われたその町はどうやら入る事に検査などは無いようで列もなくこの距離ならばすぐに町に入る事はできそうであった。


「そういえばあの町はジュナードの町って言ってたの。昨日のお話だとジュナードには獣人さんが沢山いるはずだったの。あの町にはアーニャお姉ちゃんみたいな人が沢山いるの?」


町をみてアイがふと気になった事を聞いてみる。


「そうだね。いるのはほとんどが獣人だけどあの町は確か狐の獣人が多かったと思うから私とは違って耳と尻尾が狐みたいで毛の色も白色かな」


「そうなの?」


「うん。あ、もうそろそろシニーともお別れだよ?」


近付いてくる町を見てアーニャがそういった。


「え、そうなの?…シニー、バイバイ」


「うん。シニーはいつも町に入るとお別れなんだ。…シニー、バイバイ。また会おうね」


二人がシニーを撫でるとシニーは気持ち良さそうに目を細め、それから翼を広げ空へ飛びたった。


それからすぐに馬車は町に入り止まった。

アイ達とアーニャ達は行く先が違く、ここでアイ達を下ろす為だ。

これを提案したのはメアリーである。


「じゃあアイちゃん。行くよっ」


アーニャは例のごとくアイを抱きあげると屋根から飛び降りた。

メアリー達も降りている。


着地するとアーニャはアイをおろし、一番最後にでてきたカルルの隣に行くと親子揃ってイタズラっぽい笑みを浮かべて口を開いた。



「「ようこそ。獣人の国、ジュナードへ」」

【凶報】

私は学生で親にインターネットを使う事を禁止されてしまった為、次いつ投稿できるか分かりません。

すみません。




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