1-68:79年目の夏です
ミ~ンミンミンミ~、暑い夏の到来を感じている樹です。
夏と言えば蝉ですよね?でも、この世界には蝉が居ないので樹が代わりに鳴いてみました。
え?音として出てないです?だって口無いですから鳴けるわけ無いじゃないですか?
貴方達、何を変なこと言ってるのですか?
むむ?子供達がなんかイライラしてますね?どうしたのでしょう?
暑さが問題なのでしょうか?今生は樹のせいなのかこれくらいの暑さはありがたいのですが、子供は違うのでしょうか?まぁ所詮わたしの劣化コピーですしね。
ふふん!優秀なのはわたし一人なのですね!
ん?何か皆さんの視線が生暖かく感じますよ?
それはともかくとして、今年の夏の目標は、慈愛溢れる樹さんがコンセプトなのです~~~!
え?突然何を言い出すのかですか?
それはですね、エルフっ子2号の御蔭で色々と発覚したのです!
そう、人族の食糧事情がですよ!
なんと、なんと~~!料理方法が煮る、焼く、燻製くらいしかないのです!
しかも、焼くは殆ど棒に差したり、吊るしたりして焼くのです!
どうやら油の使用が制限されているみたいなのです。
その他にも、衣服がどんどんボロボロになって行くのですが、それを繕って使用しているのです。
皮すらあんまり手に入らないみたいですね。まぁ角の付いたウサギさんにも負ける人達でしたから。
ともかく、人族さんの暮らしを見る事が出来るようになって思ったのです。
こんな生活わたし無理だわ~~、耐えれないと思っちゃいます。
この人達何が楽しくて生きているんでしょう?
食堂なんかも見ましたけど、まずお酒が無いのです。この人達って食べるのが精いっぱいな感じ?
わたし樹で良かったわ~って思っちゃいました。こんな世界だとお昼寝なんかしてる余裕ないですよね?
ともかく、まずは菜の花っぽいのを作ってみました。
これで油が作れますよね?作り方ですか?わたしが知るわけないですよね?菜の花があれば何とかするのではないですか?
あとは、油と言えばオリーブオイルですね!
あれ食べるとお腹壊した記憶が有るのです。それでも、油に違いは無いですよね?
という事で、これは孫たちに指示しましょう!
あと、油と言うと・・・ココナッツでしょうか?
これは、湖の傍に作るべきですね!
常夏の湖でココナッツに穴をあけてココナッツジュースを飲んでいる自分が思い浮かびますよ!
もちろんベンチシートに寝転がっているのです!
そして、そして、皆さん期待のビキニです!ふふふ、水着といえばビキニですね!
今度冬にモコモコでビキニ作ってみようかな?冬だから寒いかな?
え?ココナッツの水着ですか?え、そこ行きますか?わたしこ、困っちゃいますよ?
もう悩殺ものですね!わたしの時代きちゃいますよ?
ふふふ、むふふふ・・・・・はっ!駄目です、今は他にも考えないといけない事があるのです。
悩んでいてもしょうがないです。それは冬に考えましょう!
あと、やっぱりお米が欲しい所です。
そうすると、田んぼですか、う~~ん、お水の問題もあるのですよね?
川が無いですし、これも難問です。後回しですね!
そして、次は服です!これも難問です!
え?定番は蜘蛛の糸ですか?蚕で絹ですか?
何を言ってるのでしょう?わたしは植物しか作れませんよ?たぶん。
それに、蜘蛛や蚕は駄目です、だって気持ち悪いじゃないですが!ぞぞぞってしちゃいますよ?
普通に考えてもいっぱい糸が欲しいと考えるなら、おっきな蜘蛛とか蚕がいるのです。
駄目ですね、怖いじゃないですか!
ここは、綿で決まりです!綿の木を作りましょう!あ、麻も良いですよね?
でも、麻って麻薬になるのでしたっけ?違いましたっけ?
よく解らないですけど、何となく怖いので却下です!綿一本で行きましょう。
ところで、綿の木ってどんなのでしたっけ?草みたいなのでしたっけ?木になるのでしたっけ?
ん~~駄目ですね、そもそもあんなフワフワした物は実なのでしょうか?
ここは、ファンタジーで行きましょう、今までだってよく解らない木の実を作ったのです。
あ、でもどうせなら数が欲しいので子供達よ、貴方達で綿を作りなさい!
え?イメージ寄越せですか?う~~んと、どんな感じが良いですか?
あ、そうだ!ほら、クリスマスツリーには綿がモコモコ成ってましたよね?あんな感じです!
どうですか?伝わりましたか?
ん?わたしのイメージが伝わったみたいですよ?
子供達がモコモコと葉っぱから綿を出しています。
よし!これで当面終わらせないといけない事はおわ・・・あれ?子供達よ、なぜ地面に落ちた綿がもぞもぞ動いているのですか?綿は動きませんよ?
あれ?なんか地面に潜って行きますよ?・・・貴方達は何を作ったのですか?
え~~っと、どうしましょう?また何かやらかした気がします?あ、でもこれはわたしの責任じゃないですよね!子供達がやらかしたんですから!
貴方達!やってしまった事を今更悔やんでも仕方がないのです。ですが、ちゃんと後始末はしないとなのですよ!って悔やんでないのですか?どうでもいいですか?
何を言っているのですか!責任感というものがないのですか?
なんですかその眼差しは!そんな目をしても許しませんよ?母は厳しいのです!
この厳しさは愛なのです、将来貴方達が人生を間違わない様にとの親心、何とわたしは偉大なのでしょう。
自分がやった事は自分できちんとしないとですよ?常識なのですよ?
ふふふ、良い事を言いました。これでますます子供達はわたしを尊敬するはず!