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1-37:75年目の春です

は~るがきた~は~るがき~た、暖かい春が来て嬉しい樹です!

今年もまずは梅の花を咲かせますよ!

桜も好きですけど、梅の花も大好きなのです!

え?冬はどうしたですか?もちろん冬眠してましたよ?

んん?人族はどうしたですか?相変わらず森の外にいますよ?


え?動物さん達との戦闘ですか?

いえ、動物さんたちも普通に食べ物集めて冬眠してましたよ?

あ、相変わらず皆さん住処を補強するためにモコモコを奪いにくるんです!

昨年もわたしと皆さんでモコモコの争奪戦が始まりました、例年に比べて若干寒くなったので、冬の半ばまで追加のモコモコを盗りに来る動物さんがいて大変でした。


なんと!この世界に来てはじめて雪まで見ちゃいました!

74年目にして始めてみる雪でしたよ!もっともチラついただけでしたけど。

いいんです、積もっても遊べないですからね!雪だるまだって作れませんから!


冬篭りに慣れてる動物さん達はともかく、エルフっ子や鬼っ子達は大変だったみたいです。

わたしの最初の子供である樹が結構大きくなってて、その根元にモコモコ張り合わせるようにして家を作ってましたけど、狼さんたちと団子のように固まって過ごしてましたから。

服装が服装なのでいっつも寒そうにしてるんです。仕方がないので人族の所から洋服を盗んできたらどうでしょう?って狼さんに提案してみました。

そしたらオオワシさんまで参加して洋服を盗ってきたみたいです。

おかげで少しは暖かく過ごせたみたいです。


ただ、問題なのは洋服を見て、エルフっ子達が人族さん達に興味を持っちゃったみたいなんですよね。

おかげで狼さん達が最近はピリピリしてますね。


動物さん達は元々ピリピリしてなかったかですか?

う~んと、特に森の中に人族さん達が攻めてきた訳でもなく、ただ外にいるだけなので慣れちゃったみたいですよ?

森の食べ物はわたしや、子供達がいるので豊富ですし、別にちょっとくらい人族が採りに来ても争うほどでもないです。森に来る人達は動物達に襲い掛かる事も無いですから、だんだん皆さん気にされなくなりました。


元々動物さん達は自分達のテリトリーが荒らされるのは嫌いますけど、お腹が空いてない時は目の前に獲物がいても襲いませんよ?よく寝転んで昼寝している大型猫さん達の前を鹿さん達が平気で歩いてるなんて事もありますし。ただ、皆さん気配には敏感ですから一度お腹を空かせた大型猫さんがいるっとなるとぜんぜん近寄ってこないですけどね。あの本能はすごいですよね~。


という事で人族さんは放置されてます。

一度、皆さんに聞いたら攻撃してきた時考えればいいんじゃない?将来?なにそれ?美味しいの?

そんな感じでした。殺られる前に殺れ!っていうのは人間独自の感覚なんでしょうね。

ほら、なんていうか人族って考えすぎちゃうんでしょうね。

動物さん達は本能のままに生きてみえますから。ただ、その分前回の大きな戦闘のように敵意丸出しで来られるとすっごく過剰に反応しちゃったりもしますけど。


そんな事を考えながら、森を色々見ていると・・・なんと!あまりお見かけしたことの無い木がありました。

これって・・・もしかしてもしかしなくても人族の人が植えたのでしょうか?

話しかけても反応がないのでこの森の木では無さそうです。

この反応するしないの差はどこで出るのでしょうか?

っという事で、久しぶりの実験開始なのです!


おおきくな~~れ、おおきくな~~れ、どんどんどんどんおおきくな~~れ!


お呪いをこのこに掛けてあげます。

うちの子達に直接掛けてあげるとどんどん大きくなる不思議な呪文なのですよ?


でも、この木って何の木なのでしょう?普通の人って木を見ただけではわからないですよね?

もちろんわたしだって見ただけでは判らないですよ?え?樹なのにって言われても、わたし前世はしがないOLですよ?何をわたしに期待されてるんですか?


◆◆◆


「寒いな・・・」


そんな言葉しか出てこない。例年以上の寒い冬を向かえ、村人達は少しでも暖房に使う薪を節約するため幾つかの家に集まって生活している。それでいても薪は日々消費され、このままでは無事に春を迎えることが出来るのか、それすらも危ぶまれる状況であった。


「イワノの家を壊して薪にする事が決まった」


家の扉が開き、その為吹雪が家の中へと吹き込んでくる。そして、会合から帰ってきたフォルトが戻ってきて一番にそう告げた。


「まぁ妥当な所だろうな。あいつの家が村で一番古いからな」


「ああ、外の吹雪が収まり次第総出で壊しにいく。お前達も手伝うんだぞ」


フォルトの言葉に皆が一斉に頷いた。

家を壊すのは、冬に入る前に壊したのに続き2件目だった。

ただ、壊した後に家を新たに建てる事が出来るかと言えば、残念ながらその木材がない。

その為、年々村の中の家の数は減少していた。このままいけばあと数年もしたら壊す家すら無くなってしまうだろう。皆その事に気がつきながらも誰も指摘する勇気はなかった。


「なぁフォルトよ、前に村を出て行ったボリス達はどうしてるのかな?」


ついそんな言葉が零れてしまった。このまま村にいても死ぬだけだ!そう口にして家族そろって村を出て行った。村としてもボリスの畑を共同管理し、またその家を壊すことで薪を得ることができた。

しかし、そんな事で状況は好転することも無かった。

また、逃亡者を出した事を伏せ、一家全員が死亡したと領主に届け出る事で畑の割合に対し年貢を減らすことも出来た。それも、更に収穫が減ってしまっては意味が無かった。


「このままでは不味い。その事は村長とて判っている。だが、天候は神の気まぐれだ、我々人の手でどうこうする事など出来ない」


フォルトはそう言うが、表情はもうどこか諦めが感じられた。


「ねぇ、御領主様はお助けくださらないの?ほら、3年前にはいくらかの食料や薪を村々にお配りくださったじゃない」


妻がそう問いかける。しかし、フォルトの表情は相変わらずだ。

フォルトは村長の代理として何度か領都へと足を運んでいる。この秋にも税として納められる麦を運び領都へと訪れている。それ故、この村で一番周辺の状況を把握しているはずだ。


「フォルト、子供達だけでも何とかならないのだろうか?」


爺さんが尋ねる。しかし、その問いかけにもフォルトが答えることは無かった。

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