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1-34:74年目の初夏は宝探し?

たんた~~ん、たんた~~ん、こんにちは~樹です。

ちなみに上の音楽は何の意味も無いですよ?宝探しの音楽ってなにかありましたっけ?

え?何で宝探しかですか?最近なぜか人族が増えて森の中で何か探しているみたいです。

じっと見ているのですけど、何か意味も無く色々探しているみたいですね、何がしたいのでしょう?

あ、そこはリスさんの隠し倉庫ですよ?そこ荒らすとリスさんが怒りますよ?

もっともリスさんは隠す傍から隠した場所をお忘れになるので、現場さえ見られなければ問題ないのですけど、でも得てしてそういう時は見つかるものなんですよね・・・あ、ほら、後ろの樹の上から見られてますよ。あ、隠し倉庫を荒らされたのがばれましたね。

ほら、尻尾がブワッってなりましたよ?

あ、頭上に移動しましたよ、気が付いてないですね、駄目駄目ですね。


・・・あ、人族さん地面に減り込みましたね。一応ヘルメット?みたいなの着けてるので死んではいないみたいですけど、ほら、ピクピクしてますから。


でも、仲間意識って何なのでしょう?近くに一緒にいた人族さん、皆さん一斉に逃げ出しました!

減り込んだ人放置ですよ!あ、この場合は放棄でしょうか?とにかく一瞬も悩まずに見捨てました。

ある意味潔いですね。これも団結力と言うのでしょうか?


おや?リスさんがお仲間に何かを知らせてます。むむむ?あ、倉庫荒しを通報したのですか。

森中でリスさんの警戒の声が聞こえ始めました。


チチチチチチ!


あらまぁ、これは何と言いますか・・・森の小さな強奪者が現れました!

あの、貴方達木の実とか隠していたの今の今まで忘れてましたよね?

え?関係ないのですか?奪われたものは奪い返すのですか?

変ですね、リスってそんなに凶暴でしたっけ?

もう人族に群がる群がる、自分の物であろうがなかろうが人族が集めた物をどんどん奪っていきます。

容赦ないですね~、え?ちゃんと残してるって・・・それ貴方達が嫌いな茸とかですよね?

その木の実はできれば人族に持ち帰ってもらいたいな~子供達に食べさせたいな~て思ってた木の実ですよね?もうとっくに周りの果肉は痛んじゃってますけど。

どうせ腐らすなら子供達に渡してくれても良かったじゃないですか!


そうこうしている間に人族は全面撤退ですね。

リスに負ける人族、なんか悲哀を感じますね。貴方達なんでそんなに弱いのですか?

あ、そういえば見ている限りで言えば魔法など一切使ってなかったですね。

あと、持ち運びも普通の袋ですね、アイテム収納袋とかって無いのでしょうか?


改めて考えると、この世界はファンタジーでは無いのかもしれません。角がある動物が多いですけど、進化の過程でそうなっただけかもしれませんし、角なら前の世界でも犀とかカモシカとかにも有りましたよね?

これは拙いです!わたしの今の夢は目指せ擬人化ですよ?

美味しい物食べたいじゃないですか!今もし嗅覚の次に味覚が感じられるようになったとして、食べるのは根っこからでしょうか?土の味ですか?


ムシャムシャ、おお、この腐葉土は甘みが有りますね!ですか?


何ですかその暗黒生活は!夢も希望もありませんよ!人生最悪ですよ!人じゃないですけど。

むぅ、でもエルフも鬼もなんとかなったんです。

もしかしてこの世界をファンタジーにするのがわたしの使命なのかもしれません!

そうだったんですね!なんでこの世界に生まれてきたのか疑問だったんですけど、何かそんな気がしてきました。

この世界をわたしの手で夢と魔法のあふれる世界にする!いいですね!それで行きましょう!


わたしがそんな事を思っていると、誰かがわたしを蹴飛ばします。


ん?あれ?ウサギさん、なんでわたしを蹴飛ばすのですか?今のって結構力入ってましたよね?

え?馬鹿な事を考えている気がした?

失礼な事を!わたしはこの世界の未来を考えていたんですよ!


◆◆◆


アルバートは今自分達の置かれている状況を驚きと共に理解し始めていた。

この魔の森へと来てすぐに、彼は全ての魔物との戦闘は極力回避するように指示を出した。今、自分達が必要とする物はこの地に生息する植物群であり、又稲や麦を元気にさせると言う植物である。

調査隊の面々には、植物の実や種、見た事も無い植物においては採集が可能な大きさであれば根を周りの土ごと採取するように指示を出している。

先の調査隊は明確な方針が無いままの調査であったが、今回は植物における専門家達も引き連れてきている。そして、皆に厳重に言い聞かせた事は魔物、動物如何に問わず戦闘が発生した場合は逃げろ。他を犠牲にしてでも今は植物の採集を優先せよとの指示であった。

そして、その指示の甲斐あってか当初は問題なく様々な植物が集まり始めていた。

しかし、途中から突然リスのような魔物に襲われ始め、それ以降の採取が非常に難しくなったのだった。


「トーラス、その後の状況はどうだ?」


「はい、幸いにして死者はおりません。重傷者と言っても手足を骨折した程度ではあります。しかし、あの魔物になぜ急に襲われるようになったのかが把握できておりません」


採集における現場指揮官のトーラスも困惑の表情を浮かべる。


「最初が順調すぎたのだろう。想定していた魔物の襲撃は無かった。こちらが少人数であれば魔物も敵対行動をとらないのでは?と言ったお前の意見はだいたい合っていたように思う。ただ、リスが我々の採取した木の実などを奪う事からリスの魔物のテリトリー侵してしまったのかもしれんな」


「はい、その可能性が一番高いと思われます」


「これ以上被害が出る前に場所を移すか?」


「はい、どうやら我々以外の者がこの地にいるような痕跡もあります。その確認もしなければならないですし、これ以上ここ一か所で採集するよりは移動する方が良いと考えます。もっとも十分警戒しながら移動しないとですが」


「よし、今まで採取出来た植物は10人程の分隊を作り本国へ送らせろ。あと怪我人で自力で移動できる者は併せて送り返せ。それ以外の者達は早急に場所を移す」


「足を骨折した者達はいかがしましょう?」


「本隊が戻るまで休ませろ、採取品を安全に持ち帰らせる為には移動速度を落とすわけにはいかん」


「了解しました」


トーラスが天幕を出ていくのを見ながらアルバートは思わず呟いた。


「なんで兵士がリスに負けるんだよ、ありえんだろうが」


その呟きに答える者はいなかった。

遅くなりました、明けましておめでとうございます。

本年も宜しくお付き合いいただければと思います。m(_ _)m

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