表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
299/302

3-79:新鮮な卵をゲットしました!

 おばちゃんが、一羽の中型犬くらいある鶏を羽交い絞めにして持ってきました。うん、何かゴツイですね。鶏のかぼそい脚ではなく、何かすっごく太いごつごつした脚をバシバシ動かしています。慣れているのか、おばさんは器用の脚を外側に来るようにしているので、何もない空間を蹴ってますが、勢いが凄まじいです。


「ほれ、この子が一番のヤンチャ者だよ。何なら持ってみるかい?」


 おばちゃんの提案に、私もおかあちゃまも慌てて頭をぶんぶんと横に振りました。


「さて、悪いけどそこの蓋を開けてくれるかい?」


 おばちゃんの視線の先には、金属で出来た箱というか、檻があります。ただ、結構ボコボコになっていますが、犯人は鶏さんたちでしょうか?


「よいしょ、うわあ、重いのです」


「ほんとに重いわね」


 二人で鉄製の蓋を上に開けていると、まだ開き切っていない隙間から、おばちゃんが器用に鶏さんを降りの中へと入れます。


「手を放すからね! あたしが手を引いたら手を放してさっと蓋を落とすんだよ」


 コクコク頷く私達を見ながら、おばちゃんは手を放すタイミングを図っています。


「いち、にの、さん!」


 おばちゃんが鶏から手を放して、檻からてを抜きました。私とおかあちゃまが蓋から手を離すと、金属製の重い蓋は、凄い音を立てて閉じました。


「いやあ、この瞬間が一番危険なんだよ。外に逃げられでもしたら大騒ぎだからね」


 どうやら狭いのがお気に召さないのか、鶏さんがガンガン金属の檻を蹴とばしています。うん、すごい音が鳴り響いています。


「あたしは非力だからね、絞める時はこのまま水に沈めるんだよ。それでも5分くらいは生きてるからね。旦那なら首を切り飛ばすけど、あたしじゃ其処迄の技量は無いからね」


 カラカラと笑うおばちゃんに、私達は思いっきり顔を引き攣らせていると思います。それに、おばちゃんはどう見ても非力には思えませんよ?


 時々、衝撃と共に少し浮き上がる檻の蓋に鍵を掛け、おばちゃんは私達が持ってきた卵を手にします。


「見るからにゆで卵だねぇ、今度ぜひ茹でる前の実も見せて欲しいね。生の状態が興味あるね」


 おばちゃんは半分に切られたゆで卵を、金属の棒の先に載せて檻へと突っ込みました。


ガガガガガガガッ


 何でしょうか? まるで金属に何かを打ち付けるような凄まじい音が響き渡りました。


「うわあぁぁ」


「凄いわね」


 一緒に来ていた薬草さん達も、なんか檻から離れた所で遠巻きにしていますし、顔が凄い事になっています。


 うん、絶対に家で鶏を飼うのは止めるのです。下手したら私達が餌にされちゃうのです。でも、鶏だって種類がありますよね? 大人しい鶏っていないのでしょうか?


「あらまあ、あっという間に食べきっちゃったね」


 檻を覗き込んでいたおばちゃんが、鶏さんの様子を見ています。ただ、私はこの段階で選択を間違えた可能性に思いいたったのです。


「おかあちゃま、このニワトリさんって、イツキちゃん達よりか弱いかな?」


「どう見ても頑丈そうね」


 そうなのです。この鶏さんに問題が無いからと言って、私達が安全とは言えないような気がするのです。そうすると、そもそもの毒実験? の意味を為さないと思うのですよね?


「そうだねぇ、まあうちの鶏が食べて駄目な物は、あたしらも絶対に口に出来ないってことは判るけどねぇ」


 おばちゃんの言葉に、思いっきりがっくりとしちゃいました。


「参考にならないのです」


「そうねぇ、ちょっと駄目そうね」


「はっはっは、まあうちの鶏は元気なのが売りだからねぇ」


 そういう問題じゃ無い様な気がしますが、とにかく残っているもう半分の卵を鶏さんにあげました。何かお味がお気に召したのか、さっきから檻の柵をすごい速さで突っついてたからね。


「まあ、此処まで気に入ったんなら毒は無いと思うがね」


「そうですね。ありがとうございます」


 おばちゃんに挨拶をして、おかあちゃまとお家に帰ろうかと思ったら、おばちゃんが新鮮な卵を3個もくれました。


「いいから持って行きな。それこそ、売るほどあるからね」


 うん、気風が良いおばちゃんですね。私は、貰えるものは断りませんよ。


「上手く温めればヒヨコが生まれるかもしれないが、まあお勧めはしないよ。早く食べるんだね」


「は、はい。今日にでも料理に使うようにします」


「ヒヨコも怖いのです?」


 私の質問に、おばちゃんはただニヤリと笑うのでした。


 そして、おかあちゃまと卵の安全性についてどうやって試すかの話をしようとして、私は今貰ったばかりの新鮮な卵に視線が向かっちゃいました。


「あれ? これで御酢があればマヨネーズいけるのです?」


 御酢はお家にありますよ? お塩も、油もあるのです。唯一、問題だったのが新鮮な卵なのです。何と! その新鮮な卵さんを無料で! 無料で手に入れちゃったのです。という事で、パンが今ひとつで大分硬いフランスパンみたいな感じですけど、サンドイッチさんが出来ますよね?


「おかあちゃま! お家で玉子サンドを作るのです!」


 うん、ある意味、当初の目標が達成しそうなのでした。

玉子のお話だけでどれだけ引っ張るんでしょう?

困ったもので、書いている私も判りませんw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ