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3-67:駄目な大人達

ピーチャン訪問によって結局お父さんは休めなかったのです。

ピーチャンだけでなく、その後自治会の人もどやどやとやって来て結局そのまま会議になっちゃいました。ぐぬぬぬぬ、ピーチャン許すまじ!!!

広さ的に我が家の食堂で会議になったのでも、うお昼になるのにお母さんはお食事の用意も出来ないのです。


恨み倍増なのですよ!


「おかあちゃま、さっきからぜんぜん議論が進んでないのです。こんな会議するくらいならおとうちゃまを寝かせてあげたいのです」


思いっきり会議している面々に聞こえる様に言ってやります。

すると、おじさんおばさん達は顔を顰めてこっちを睨みますけどそれだけで何も言い返して来ません。

きっと誰もがそんな事は解っているんだと思います。


「隔離施設はすでに稼働しているのですよね?」


お母さんは私に返事をする事無く、他の面々の顔を見ながら確認していきます。


「それは門の横にある建物を臨時の隔離施設として空けさせた」


「出入りをする人達の監視体制の強化はどうですか?」


「それもアイステル殿の御尽力で亜人及び魔犬の協力の元に監視体制は一応稼働している」


「薬師、治癒士に対して情報開示及び治療協力はいかがですか?」


「自治会所属の薬師はすでに隔離施設へと派遣した。亜人の薬師や治癒士はまだだが」


「そちらは既に軍属の医療班を向かわせた」


ピーチャンは自治会のおじさん達にそう告げますが、何となく自治会の人達はピーチャンの顔色をチラチラ窺いながら発言していますね。なんなんでしょう。


「では、初動としてはこれ以上の対策は打てないですよね?それなのに貴方達は何をダラダラと話し合っているのですか?」


お母さんの声に思いっきり苛立ちを感じます。だって、そこまではお母さんがすでに自治会へ行った時に指示した部分と一緒なのです。そっからぜんぜん進展というか対処と言うか、更には新しい情報も入っていないにも関わらず意味の無い議論をしているっぽい。


「確かにそうだな、私が効いていても先程から貴方方は推論、らしい、みたいだ、だと思うなど不明確な事ばかりで意味を成していない」


ピーチャンもズバッと言い切ります。


「心配だからと言ってグダグダと会議室で議論していても駄目なのです!事件は現場で起きているのです!」


ぬふふ、どうよ?私良い事言ったよね!思わずむふふんって胸を張っちゃいます。

でも、なぜか周りの人達はこいつ何言ってるの?って感じで私を見てきます。すっごい失礼じゃないですか?


「ふむ、良い事を言う。状況はどんどん変わっているの事だろう。であればお主達は隔離施設へと詰めていた方が良いのではないのか?」


ピーチャンが冴えまくってます?ズバズバと自治会の人達へ質問をぶつけて行きますし、それに対して自治会の人達はしどろもどろ。


「どうかその辺で、そもそも私達は素人の集まりに過ぎません。それ故に皆で集まらねば不安なのです」


皆の話をじっと聞いていたお父さんがようやく発言をしますが、でもそれでお父さんが振り回されているのも事実。最終的に方針を決定するのもお父さん、でもって何か問題が起きた時に追及されるのもお父さん、不安になった時に相談されるのもお父さん、み~~んなお父さんなのです。


「その方は人が良すぎるな。我々との窓口もその方だが、我々がその方達の自治をこの町で認めている理由を忘れて貰っては困るぞ」


ピーチャンは自身の発言と共に私を見ます。そして、お父さんも、他の人達も同様に私へと視線を向けました。


「もしそなたが倒れる事でもあれば、更には死亡する事でもあれば先日の騒ぎどころでは済まないぞ?それをお前達は解っているのか?」


「そ、それは・・・・・・」


「「「「・・・・・・」」」」


うん、みんな一気に黙り込みます。


「うみゅ?おとうちゃまが倒れたらイツキ泣くよ?だからおとうちゃまは無理しちゃ駄目なんだよ?」


そうです、きちんと言わなければならない時には言うのです!あの時に言っておけば、行動して置けばなんて後悔はいらないのです。わたしは何もせずに後悔するくらいなら行動してから後悔したいのです!


「そうだな、お父さんはちょっと無理をしすぎたかもしれないな」


そう言って苦笑するお父さんは、何かを決心した様子で自治会の人達を見返しました。


「今回の騒動が落ち着いたら私は自治会から外れようと思います」


「「「「!!!!!!」」」」


自治会の皆さんが唖然とした顔でお父さんを見返します。でも、ピーチャンはウンウンと頷いていますし、お母さんも笑顔を浮かべているのでこれで良いのだと思います。


「「「「アーキン殿、それは」」」」


何か皆さんが一気に話し始めますが、何を言っているのか聞き取れないのですが、そんな自治会の人達との遣り取りをすでに終わった事と割り切ったピーチャンは、傍らにある箱に入っている軟体毛虫?さんを取りだして唸っていました。


「結局、これは何なのだ?またぞろ迷惑な生き物だろうと捕まえてみたのだが」


「そ、それだ!それが疫病の原因だ!」


ウニウニと動く軟体毛虫をピーチャンは器用に掴むなぁって思いながら眺めていると、突然自治会のおじさんの一人が叫びました。


ん?疫病の原因ってこの軟体毛虫さん?でもそうすると此処にあると拙いんじゃないのですか?


「「「「うわぁ~~~~」」」」


「あ、酷い、あの人達逃げ出した」


「そうねぇ、防疫的に考えても駄目ねぇ」


「いや、そういう問題・・・・・・なのか?」


お父さんが首を傾げてますが、でもあの人達って指導者として失格だと思うイツキなのです。

むぅ、軟体毛虫さんの話まで辿り着かなかったのです。

次回は、軟体動物さんの謎!(え?謎なんかあったっけ?)

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