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3-60:髑髏のマークのイツキ薬?

市場見学をしてからあっという間に2カ月が過ぎました。

純人族の細々(こまごま)とした問題はまだまだあるのですが、私が関与するような事では無いのです。

ただ一言でいうなら、メンドクサイ!

最初の方にお父さん達の横で話を聞いてはいたんです。でも人と人の間で調停とか私には無理なんだって痛感して終わっちゃいましたよ。あれは、うぎゃ~~~とっととハッキリしろ!って騒ぎたくなりますね。

という事で、私はのんびり学校に行って、放課後はみんなと遊んでと非常に普通、ある意味憧れの生活を送っていました。そう、送っていたのですよ!ついさっきまでは!


それで今、私の目の前には純人族のおじさん達が土下座をしているのです。

うん、生まれて初めて見ましたよ!土下座ってすごいですね~、存在感が半端じゃないのです!

私がそんな事を思いっきり思考を逃避させながら思っていると、私の両サイドにいるお父さん達が何かおじさん達に告げてます。


「どうかまず椅子にお座りください。まずはそれからお話を聞きましょう」


「何卒、何卒我々に力をお貸しください!」


お父さんが宥めようとしても、さっきからこれの繰り返しなのです。

この人達は新しく出来た開拓村の指導者さん達なんだそうですが、当たり前なんですけど開拓が上手く行ってないみたいなんです。でも、もともとの畑はあるし、今は竹米だってあるんだから何とかなるんじゃないかって思ったんだけど、根本的に人口が多すぎたそうです。

元々の開拓村も村民100人くらいの村だったのに、今や倍の200人は移住したそうです。だから畑だってぜんぜん足らないですよね。でも食べ物は輸送すれば何とかなるのです、問題になったのは移民の数なんですよね。


「今も各地より移民が流れて来ています。同じ純人族として無下にする訳には・・・・・・」


「ぜひ保護区での収容人数を増やして頂ければ」


「このままでは我々は自滅しかねないのです」


うん、何かすっごい悲壮感が漂っていますね。でも、おかしな話?だってこの町の外で我が物顔でいた時はそれこそ200どころの数じゃなかったのです。


「町の傍とは土地の加護が違いますから」


「???」


何かよく解らないのです。でも、話を聞いていると神樹の大きさというか性能の差みたいなのがあるそうで、その差がそのまんま町の規模に直結するみたいなのです。


「なら神樹を増やせばよいのではないのです?」


「神樹が育つには年数がかかり、数を植えれば今度育った時に問題が出るそうです」


「過去に神樹を植えすぎて、街が植物に覆い潰されたそうで」


伝説らしいのですが、そんな危ないリスクは犯せないそうです。ましてやそこまで神樹を手に入れる事も大変だという事ですし、でもそうすると中々問題を解決する術がないのです。


「この町の保護区も知っていると思うがそこまで大きくない。それに純人族が町に住むならどの町でも大きな差は無いのではないか?」


「そうだな、移民してくる者達は自分達の村が作りたいのだろう」


「亜人に怯える事のない場所、それは夢ではありますが」


皆が話し合っていますが、何か段々と愚痴を言いあっているだけになっていませんか?


「亜人はぜんぜん怖くないのですよ?」


「「「「「・・・・・・」」」」」


何故か皆さん沈黙?人によってはえっ?何言ってんの?って顔をしていますが。


「だいたい何が怖いのですか?亜人は無駄に暴力を振ったりしないですよ。基本部分な姿も純人族と飛び抜けて違うという事も無いのです。私は解んないけど、みんなが良く言う拒絶反応っていうか本能的な恐怖がって言う点はイツキちゃん特製飲み薬で解決できるのです!」


ドド~~ンとテーブルの上にイツキちゃん特製ジュースを置きます。何となく会話の方向性を見越して予め作りおいていたのです。ちょっと製造から二日ほど経っていますし、ポコポコと泡立っていますがきっと問題ないのです!


「何とこれであなたの悩みも一発解決なのです!ここにある飲み物、なんと!な~~んと!亜人さんに対しての苦手意識を根本から無くしてくれる画期的な飲み物なのです!すでにこの飲み薬で亜人さんに対する苦手意識を克服した子供達が多数!子供だけでは無く、大人だって克服しているのです!さぁ、ここで使用者の感想をどうぞ!」


思わずノリノリで話を自治会の人に振ったんですけどまったくノリが悪くてポカ~~ンとしてるだけで駄目駄目なのです。思わずむぅっとなっちゃいました。


「あ、その、なんだ、その飲み物か?いや、何かそれボコボコ泡立ってるんだがそれヤバくないか?」


「泡立つ飲み物って珍しくないですよ?エールでしたっけ?ビールってあったんだっけ?」


私が素で反論しますが、みんながイヤイヤって手を振っています。


「う~~んと、とにかくこれを飲めば亜人さんとの間の悩みが殆ど解決するのです!」


ドヤっと胸を張る私に、周りにいる人達が目頭を押さえているのは感動したからでしょうか?


「そうですね、確かに生きる上での悩みが全て解決しそうですね」


「うん!すごい!おじさん良く解ってるね!」


開拓村のおじさんの一人があまりの素晴らしさに溜息を吐いて感想を述べるので、私は嬉しくなっちゃいます。


「ね、まずは飲んでみて!すべてはそれからなんだよ!」


グイグイと飲み物をおじさん達へと勧めますが、なぜか皆さん顔を見合わせてこの耐亜人さん薬?を飲もうとはしてくれません。


「あ~~~、そもそも開拓村とこの町の自治区を含めても許容人数には限りがあるからな。許容人数は最大でもどれくらいだ?200か?300か?」


自治会のおじさんがちょっと高い声で私の話を遮るように話し始めます。


「むぅ、だ、か、ら、保護区以外で生きていける純人族がもっと増えれば良いのでしょ?」


移民許容者の数が爆発的に増える可能性が今の所無い訳で、それって解決策が無いって事なのです。

それなのに具体的な案を出せば難癖つけられ、イツキちゃんのテンション駄々下がり。


結局、その日の会議は明日に持ち越しとなったのです。

でもこうしている間にも難民は増えると思うし、思い切った決断がいると思うんだけどなぁ。

役所を後にしてお家へと帰る傍ら、ふと思い出したのは結局あのお薬は誰にも飲んで貰えなかったという事なのでした。むぅ、せっかく作ったのに!

お待たせいたしました。

何とか体調が回復してきたかな?という所なのですが、まずはイツキを投稿します!


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