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3-56:危ない人が現れたのです

家の窓から外の畑を眺めていた私は、ハッキリ言って暇で暇でしょうがないのです。

昨日からこの町の純人族は外出禁止を言い渡され、保護区の道には亜人の衛兵さんが巡回しているそうなのですが、見てないので本当かどうかは解りませんよ?

ただ我が家にも午前と午後に亜人さんが様子見と、あとは食糧なんかを届けてくれるのです。その時にお父さん達と少し雑談をしていくので、それが今できる唯一の情報源なのです。


「ぬぅ~~お外は悔しいくらいにお天気なのです。ミシェルちゃん達と遊びたいのです」


ここ最近は一人で遊ぶことが減って、ミシェルちゃん達と遊ぶことが増えていたので余計に何も出来ない今の状況が暇に感じるのですよね。


「イツキちゃん、暇してるのならお部屋の御片づけをしなさい。こんな時じゃないとしないでしょ?」


「あぅ・・・は~~~い」


普段はアンナさん達がいるのでお部屋が多少散らかっていても気が付けば綺麗になっているのです。そんな堕落しちゃった生活に慣れてきてしまっていたのでお片付けがちょっと面倒なんですよ。

人とは環境に馴染んでしまう物なのですよね、楽な事は坂道を転げ落ちるような速度で身に付いてしまうのです。そんな事を思いながら自分のお部屋へと入っていくと・・・・・・おお、片付ける必要がないですよね? という程に片付いてますよ?


「アンナさんは凄いのです。でも、やる事が更に無くなっちゃったのです」


絵本を読んでも良いのですが、お家にある絵本はもう内容を暗記しちゃうくらい読んでいるのです。今一つ気が乗らないのですよね。部屋の中をウロウロとしながら何をしようかと悩みます。


「お外に出る事はNGなのです。よく物語でこういう時にお外に出て被害に遭うのですが、あれはこんな時に外に出る主人公が馬鹿なのです」


私は良い子なのでこんな時に外に出て、無駄に危険に近寄る事なんかしないのですよ? 自分だけでは無く両親にも迷惑を掛けるし、心配や悲しい思いをさせるなんてとんでもないのです。

私の周りにいる薬草さんもウンウンと頷いているのですよ。あ、薬草さんは今窓際においてあるプランターによっこいしょっと根っこを埋めて寛いでいますね。


「ちょっとまっててね、お水持ってくるね」


ニパパパッ!ニパパパッ!ニッパニパ!


うん、薬草さんの笑顔が満開なのです!葉っぱもフリフリ喜びダンス? もし声が出せたら歌ってるのかな?って感じ?

プランターの土をちょっと触ってみると乾き気味なので、薬草さんの御世話の担当をしてる私がお水をあげ忘れていた訳じゃないのです。本当ですよ? ちゃんとあげてます・・・えっと3日に1日くらいは?

と、とにかくお水なのですよ。カンカンカラカラって感じじゃないからまだまだセーフなのです。

時々薬草さんは台所でちょくせつお水貰ってますし、だから問題ないのですよ!


ちょっと小走りに如雨露にお水を入れて、窓際のプランターにお水をチョロチョロと掛けてあげると、薬草さん達が大喜び。ちょっと胸が痛みますが、う~~ん、なぜでしょう?


薬草さんの笑顔を見ながら、とりあえず葉っぱをユラユラさせて遊んでいると、窓の外で何かが動くのが見えました。


「あれ? 誰かお外にいるのかな?」


我が家の周りは竹米さんで囲われています。ついでに最近では所々にツルギ草さんもいますし、門の横には亜人の衛兵さんだっているのです。だから不法侵入の泥棒さんとかはまず入る事が出来ません。

私の部屋の窓の外は中庭に面しているので、そこに誰かが居るということは身内しか有り得ないのです。


「おかしいなぁ、みんなお家の外に出て無いはずなのですよ?」


窓の外を覗くと、そこにはなぜか亜人さん達が数名立っているのが見えました。


「見た事のない人なのです」


ピーチャン達じゃないし、衛兵さんっぽくもないのです。それこそ一般の人みたいな服装だし、武器や何かを持っているようには見えません。そもそも、中庭にいるってことは門を無事に通過してきたのでしょう。


「おか~~~ちゃま~~~、お庭にしらない亜人さんがいるよ~~~」


トテトテと2階の自分の部屋から出て、階段を下りていくと正面に見える玄関でお父さんとお母さんが亜人さんと話をしているのが見えました。


何時の間に来客者が居たのでしょう? ぜんぜん気が付かなかったのです。


何といっても暇なので、何かしらのイベントは大歓迎なのですよ? っとお父さんに近づいていくと、亜人さんがこちらを向いて笑顔を向けます。


「・・・・・・初めて見る人なのです。思いっきり胡散臭い笑顔が満開なのですよ?」


何といってもその笑顔を見た瞬間、足が止まったのです。本能が警告を発しているのですよ!

こいつはきっと生涯の天敵になるかもな感じがするのです。

そんな事を思っていると、その胡散臭いおっさんが突然片足を着いて、片手を胸に当てて、笑顔で声をかけてきました。


「偉大なる神樹様においては、お初にお目に掛かります。今までどれ程お目に掛かりたいと思った事か、あぁ、今この感動をどう表現すれば良いのか!」


「・・・・・・戦略的撤退なのです!」


180度回頭して、トテテテテっと今降りてきた階段を駆け上がります。

私だって解りますよ、あれは拙いのです、危ないのです、混ぜちゃ駄目なのです、何かよく解らなくなってきたんだけど、とにかく撤退なのです。


「おぉぉ、なんと麗しい、あぁこの感動をどう表現すればよいのか!」


後ろで何か聞こえてくるんですが、聞いちゃいけないんです。でも、あの亜人さんは長耳なのでエルフな人ですよね? 何かエルフって危ない人が多くないですか?!

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