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3-49:ミシェルちゃんのラブラブ大作戦発覚?

「えっと、でね、ポール君が・・・」


何か頭の中がお花畑になっているミシェルちゃん。ただこれはそのまま放置出来る問題では無いのです。

私の危機感と同様に、他の子達も危機感を抱いたようで、サラちゃんが質問をはじめると状況が次第に掴めてきたのです。


「そういえば、最近見た事が無い連中を見るよな。あれって他の町から来た連中だろ?」


「うん、何か感じ悪いよね。集団で遠巻きにしてこっちを見て来るの」


「お母さんもしばらくは注意しなさいって言ってた」


教室にいるみんなも同様に何かしら思う所があるみたいです。でも、問題はそこじゃないと思うのです。


「うん、私も広場の噴水のところで待ち合わせしてたら、突然目の前に知らない子達が現れて怖かった」


「え?噴水のところで待ち合わせって・・・ポール君と?」


「う、うん、そう」


顔を赤らめて頷くミシェルちゃん。で、その内容に更に驚きの表情を浮かべる私。でも、そんな私を他所に、サラちゃんはどんどんと会話を進めて行っちゃいます。


「でも、今回ミシェルが被害に遭いそうになったんだから、これ先生や両親に言っておいた方が良いと思う。下手すると拙いよこれ」


眉を顰めてサラちゃんはそう言いますが、う~~ん、両親に言ってどうこうなるものなのだろうか?

そもそも、今回周りを取り囲まれたみたいではあるんだけど、具体的に何か言って来る前にポール君が助けに入ったみたいだし、何が目的だったのか解ってないよね。


「やっぱり金じゃね?ほら、俺達市場で買い物するけどさ、あいつらが買い物してるのなんか見た事無いぜ」


「だよな、友好的にっていうなら周りを囲んだりとかしないよな」


「だってさ、あいつら結局の所さ、他の町のスラムの連中だろ?」


「でもさ、だからこそ何してくるか解んないんじゃない?」


皆がワイワイ話をしているのですが、一向に問題の核心に触れようとはしていません。何ででしょうか?タブーになるのでしょうか?でも、しかしなのです、このままうやむやになる前に私は勇気を持って確認しないといけないのです。


「み、ミシェルちゃん!」


私が勇気を出して尋ねようとした時、私と同様にミシェルちゃんの発言の一部の単語にピクピクと反応していた男の子が、声を出しました。


「ポ、ポール君と待ち合わせしてたの?」


男の子の問いに、ミシェルちゃんは顔を赤らめてちょっとモジモジします。でも、そこはそれ、顔を赤らめながらもはっきりと頷きます。その時、ちょっと自慢げな感じを感じたのは私の被害妄想では無いはずなのです!


「こないだ街中でまた会ってね。それで、少しお話して、今度また遊ぼうって」


テレテレとするミシェルちゃんですが、その表情はそれこそ恋する乙女その物なのです!

私はミシェルちゃんの表情の変化を見逃す事の無いようジッと見つめながら、最重要な事なのでハッキリと尋ねちゃいましたよ。


「ミシェルちゃんはポール君とどういう関係なのですか?もしかしてお付き合いされているのです?」


「や、やだ~~~!イツキちゃんったら、まだそんな関係じゃないよ!ほら、幼馴染だったしぃ」


私の肩をバシバシ叩くミシェルちゃん、真面目に痛いのでやめてください。でも、今”まだ”って言いましたよね?思いっきり意識しているじゃないですか。


「でも、イツキちゃんにはすっごい感謝しているんだぁ、こないだのお薬のおかげでポール君と前みたいにお話出来るようになったの」


満面の笑みを浮かべるミシェルちゃんを他所に、私は呆然とミシェルちゃんの言葉を頭の中で反芻していました。


「幼馴染・・・くぅ、属性ですか!やはり属性・・・」


「え?イツキちゃん、そればかりじゃ無いと思うよ、それだと私だってポール君と幼馴染だよ?」


サラちゃんが横で何か言っていますが、ともかくここに勝ち組がすでに現れたのです。

まだ子供とは言え、油断していると格好良い男の子はどんどんと狩られて行くのです。大型猫さんなんかそれこそ血で血を洗うような争いをして、その中で一部の女だけが賞金オスを得るのです!

確かそんな感じだったと思うのですよ?ほら、記憶の片隅に肉食系女子って言葉が残っていますもん。


「イツキちゃん、さっきからブツブツと何か怖いんだけど・・・」


サラちゃんが何か言ってます。でもこのサラちゃんとて将来敵になるかもしれないのです。

運命とはなんと残酷な事をするのでしょう。昨日の友が今日の敵になるんですね。世の中は弱肉強食なのです・・・うぅ・・・何かお腹が空いて来ちゃいました。


「ねぇねぇ、さっきミシェルが何かイツキちゃんのおかげでポール君と話が出来るようになったって言ってたけど、それってどういう事?そんなお薬あるの?あるなら私も欲しいんだけど・・・」


「え?そんな薬あるの?あるなら私も欲しいかも?」


そんな私とミシェルちゃん、サラちゃんとの会話の合間に周りにいる女の子達からもそんな声が出始めました。そういえばこの子は前にポール君の話をしていた時に何か反応してた子だね。


「ケイトもポールの事好きだったもんね~」


「ば、馬鹿!そんなんじゃないって」


誰かがそんな風にケイトちゃんを茶化しましたけど、すぐにケイトちゃんは真っ赤になって否定します。でも、これは間違いなくポール君の事好きっぽいですね。ただ、ミシェルちゃんが先程までの笑顔を引っ込めて目がギラギラしてませんか?


「ポール君ってイツキはあんまり覚えてないのですよ?そんなにカッコイイ子いたっけ?」


なんとな~く周りを見ていると、他にも数名怪しそうな女の子がいます。でも、本当にそんなにカッコイイ男の子がいれば記憶の欠片にでもあっても可笑しくないのですが、ないですよねぇ。

私が首を傾げていると、サラちゃんが小声で教えてくれました。


「ほら、ちょっとチビだけど元気が良いのいたじゃん、広場でやたら走りまわってて、声も大きいの」


「・・・・う~~、なんか五月蠅いなぁって思ったような記憶は・・・あります?」


「だよねぇ、私ももっと落ち着いた大人っぽい男の子がいいなぁ」


うん、サラちゃんはまったくタイプが違うみたいですね。でも、何となく解って来ました。ほら、子供の頃に人気がある男の子にいますよね、元気の良いわんぱくタイプ。でも、一歩間違えれば悪餓鬼になっちゃいますけどね、あと私のタイプでもないですね。ちょっと安心なのですよ。

うん、相変わらずの副題の酷さですね・・・

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