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3-42:女の涙は武器なのですよ?

女の子たちは私を含めお庭にゴザを敷いて座りましたが、男の子達の殆どは地面に直接座っています。

うん、あとでお家の中に入れる時には注意しましょう。お部屋が汚れてしまうのです。

それで、みんながどうしているかと言うと、声を潜めて畑の中を見ているのです。


ブンブンブンブン・・・・ドドドドドド・・・・・


安定のジャガイモさん耕運機?が地面を掘り返して、そこに自分の種芋さんを植えてる・・・のかな?

でも相変わらず蔓がジャガイモさんの周りをブンブンビュンビュン飛び交っているので、あれは危険で近寄れないのです。


「うわぁ、初めて見たけどあれが魔物だよね?」


「俺、あんなのの近くには行けないぞ?」


皆がヒソヒソと話をしています。


キンキン、カキン、カシャン・・・


今度は、畑の隅でツルギ草さん達が剣術の稽古?をされています。あれはあれで危険なのです。時々誤って近寄った薬草さんがバッサリ逝かれてしまっているのです。


「あれも無理よ?ほら、結構切れ味鋭そうだし」


「わたしも無理!っていうか危険すぎない此処?」


女の子達もツルギ草さんを見て、次に私へと視線を向けるのですが、あの、皆さん大きく見落とされてませんでしょうか?


「あの・・・皆さんの前に薬草さんがいるのですけど」


そうです、そうなのです。さっきからニパッ!ニパッ!と薬草さんはサービス満点笑顔満点で皆さんをお迎えしているのですが、なぜか誰も薬草さんを見ないのです。


「え、あ、あの、えぇ・・・」


漸く皆さんが足元にいる薬草さんへと視線を向け、そして引き攣った笑顔を浮かべます。


「この子達は薬草さんなのです!この子の葉っぱはお薬になるんですよ!」


私の言葉に一斉にニパッっと笑顔を浮かべる薬草さん達、でもなぜか皆さん視線を反らせます。


「皆どうしたのですか?」


流石の私でもみんなの様子に違和感を感じます。すると、みんなが恐る恐る話し始めましたが。


「あのさ、この薬草って歳とるんだよな?」


「あれ不気味よね、シワシワで、あれかな?魔素が抜けるとああなるのかな」


「あれ夢で見ちゃって屋中に飛び起きた」


みんなが話していますが、何を言っているのかが今一つ理解できないのです。


「みなさん何のお話してるのですか?よく解らないのですよ?」


私が尋ねると、何やら話は先日の騒動の時まで遡るそうです。で、遡ってどうなるかと言うと・・・


「皺くちゃになった薬草さんですか?う~~ん、見た事が無いのです」


「いや、何か目がすっげぇ細くてさ、ニタニタ笑ってるみたいな口で、いろも薄茶色でなんかすっげぇ不気味だった。あ、あと茎が何か根っ子みたいに太かった」


「私も見たよ、それで、大人の人に群がってたの・・・」


何かみんな身震いしてますが・・・あれ?それって人面草さんの事では無いでしょうか?

だってほら、薬草さん達は必死に否定してます。風評被害かも?


「えっと、みんなが見たのって多分人面草っていうのだと思う。あの草?食べたら亜人さんになっちゃうやつで、この可愛らしい薬草さんとはぜんぜん別物なのです!ほら、そもそも自然に滲み出る気品とか、可愛らしさとかが別物ですよ!」


私が薬草さん一体を手に持って、皆の前に見せます。薬草さんもちゃんと解った者で、ニパッっと可愛らしい笑顔を見せます。うん、そもそもこの可愛い薬草さんの将来があの人面草って、それって色々と胸の中に渦巻く物があるのですよ。


「え?そうなの?でも、そっか、あれとは別物なのね」


「そうだよね、こんなに可愛いのが将来あんな風になるなんてね」


うんうんと頷く女の子達ですが、なぜチラチラこっちを見ながら言うのでしょうか?


「何となく言いたい事が解っちゃうのですが・・・怒りますよ?真面目に」


声のトーンが普段より数段下がってしまうのは仕方が無いと思うのです。ほら、私だけでなく薬草さん達もプンプンと頬を膨らませて怒っています。だいたい、一目見ただけで別物だって解るじゃないですか!


その後、何とかみんなが納得したようなので、兎にも角にも薬草さんを手に持ってもらいます。

で・・・過ぎる事数分?皆さんの様子を観察しますが・・・あれ?


「どうですか?気分や体調が悪くなったりします?」


「「「「「特に?」」」」」


皆さんまったく変わりがないみたいです。もしかすると薬草さんの数が少ないのかな?という事で、一人に寝て貰って、その周辺を薬草さんに取り囲んでもらいました・・・が、全然変化が無いのです。


「これはどういう事なのでしょう?」


「「「「「さぁ?」」」」」


みんなで首を傾げます。でも、一応の仮説ですが薬草さんが放出する魔素がすっごい少ないとかでしょうか?


「予想外なのです。もしかして皆さんは魔素をあんまり出さないのですか?」


薬草さんに尋ねますが、皆さんニパニパ笑うだけで、明確な返事が貰えないのです。


「・・・使えない生き物ですね」


ボソリと誰かが呟きました。何かどすが効いていてすっごい怖いのです。

思わず誰が言ったのか周りを見回しちゃったのですが、何ですか?なぜ皆さんこっちを注視しているのですか?それに、薬草さん達も目をウルウルさせて何でこっちを見ているのです?


「な、何ですか?薬草さん、何も泣かなくても・・・」


私が薬草さんの目?から涙???がって何も泣かなくてもって私が思わず薬草さんを慰めようとしたら、周りで一斉にみんなが地面に座り込んじゃいました。


「だめ、何かすっごく気分が悪い」


「思わず薬草さんを放り投げそうになった」


「駄目、ちょっと吐きそう」


何か知らないですが、みんなが一斉に体調不良を訴え始めました。え?これってもしかしたら薬草さん達が泣いたせい?もしくは涙のせいですか?あれ?魔素?うん、よく解んないのです。


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