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3-21:新しい生活は・・・始まるっかな?

「お~~、おっきなベットです」


お母さんと先ず向かったのは、主寝室なのです。部屋の中心には家族3人が一緒に寝られる大きなベットが置かれていました。え?何で3人なのかですか?それは私が一人で寝るのが怖いからですよ?

まだ慣れていない大きなお屋敷、そこで一人で寝るなんてとてもじゃないですが耐えられないのです。

で、お願いして慣れるまでは3人で一緒に寝る事にしたのです。


「ふふふ、ほら、お布団も凄いわよ。綿のお布団なんて夢みたいね」


お母さんがお布団をポフポフしながら笑顔を浮かべます。

窓も大きくて、テラスまであります。うん、そのまんま映画とかで見るようなお部屋です。

で、次は籠の中で子猫達がニャーニャー五月蠅いので例のネズミさんがいた部屋に向かいます。


ガチャリ・・・


そっと扉を開いて中を覗き込みますが、うん、ネズミさんらしき姿は無いですね。部屋の中はガラ~~ンとして何も置かれていません。壁にあった穴なんかは既に塞がれていますし、壁自体が綺麗に塗装されています。


「ほら、出ておいで」


子猫の入っていた籠を開いて、一匹ずつ部屋の中へと放しました。すると、3匹ともくんくんと周りの匂いを嗅ぎながら、部屋の中の確認を始めます。


「ふふふ、3匹ともすっごい警戒してるわね」


腰を落してズリズリと床を這う様にしながら移動する3匹の姿に、思わず笑えてきました。

で、そっと近づいて背中をツンっと突っつくと・・・


ふぎゃ!


うう、飛び跳ねて慌てて籠の中へと飛び込みます。で、その鳴き声に驚いて他の二匹はお母さんへとまっしぐら!


「・・・なぜ私の方に来ないのでしょう」


ちょっと悔しいです。でも、籠の中に飛び込んだ子猫の様子を見ると、籠の中に入れていたタオルの中に包まっていました。

うん、ちょっと可愛そうな事をしてしまいました。だってさ、さっきの所にちょっぴりお漏らししてるもん。


「布でふき取っておトイレの板の上においておきなさい」


お母さんが呆れた表情で私を見ていますが、でもあの姿を見ればつい突っつきたくなるのは仕方がないと思うのですよ?

で、とりあえず部屋の隅に猫達のトイレと、籠を使ったベットを用意して部屋を出ます。あと、間違って此処を開けて猫が逃げない様に扉に用意してあった札をぶら下げました。うん、”猫部屋注意”です!


「あとで、お水とご飯持って来ないとだね」


「そうね、ピーターさん達に伝えておかないと間違えて部屋を開けちゃうかもね」


お母さんとそんな話をしながら、次々にお部屋を見て回りました。一通り2階の部屋を見て回って、一階へと降りてくるとピーターさんの奥さんアンナさんが此方を見てお辞儀をします。


「お昼の用意が出来ましたのでご案内いたします」


「あ、はい。ありがとうございます!」


お母さんも吃驚した声で、そう答えます。でも、そっか、お昼の用意とかもしてくれちゃうんだ。何かすっごいお嬢様になった気分なのです。


「るんるんるん~~」


「ふふふ」


思わずルンルン気分が口から出て、お母さんに笑われながら食堂に案内されました。

で、そこには机に並べられたお昼ご飯と、お父さんが居るのですというかお父さんしかいませんね。

そしてテーブルの上を見て、私はちょっとショボンとしました。


「ああ、まず座りなさい。ピーターさん達は別の部屋で食事をする事になるから」


成程、主従一緒にご飯は食べないのですね。うん、そんな物なのかもしれません。

ただ、問題は・・・机の上に並べられたご飯なのだと思うのです。


「う~~んと、竹米ご飯とジャガイモさんのスープなのです」


「そうだな、竹米とジャガイモのスープだな」


お父さんが頷きました。で、私はお父さんとお母さんの顔を見ながら首を傾げます。


「えっと、質素倹約なのですか?」


引っ越ししてお金をいっぱい使ったので、節約生活を始めたのでしょうか?実は、ここ最近の我が家の食卓は、もう少し豪華になってきていたのです。ここに、ジャガイモさんのサラダが付くくらいは普通です。

時によってはお肉だって付いたりするのです。それがここに来てご飯とスープにランクダウン・・・じ~~とスープを見ると、ジャガイモさんだけのスープです。


「まぁこれも今後慣れと言うか、改善していくというかだな、そもそも今までピーターさんの家ではお昼は無い。それで、お昼の用意と言われて作られたのがジャガイモのスープだった」


「これはこちらのミスね。きちんと料理の内容を打合せしておかないと駄目でしたね」


お父さんの言葉に、お母さんも頷きます。でも、言われてみると我が家もお昼を食べるようになったのは最近でした。ましてや、お肉を食べれるようになったのは本当にここ最近です。


「料理を覚えてもらう必要もあるな。教えられるか?」


「え?でも、私だって人に教えられるような料理は知らないわよ?」


うん、これ以上悩んでいても仕方が無いのでとにかくご飯を食べましょうという事で、家族みんなでご飯を食べ始めました・・・でもこのスープ味がしないのです。


「塩を使ってないな」


「そうねぇ、お塩も高価だから」


「う~~~、美味しくないのです」


とにかく、我が家でも使用人?を雇った事が無いですし、これから色々と問題が出そうなのです。


「しかし困ったな。純人族を雇用する方が良いとは思ったのだが、誰か屋敷管理の経験を積んだ人がいれば別なのだが」


「そうねぇ、でもそれ以上に信用が出来る人じゃないとよ?知人繋がりでもないと中々雇い辛いわ」


「そうだな、料理自体も知識や経験の問題だから今後改善はされると思うしだな」


お父さんとお母さんが話し合っています。でも、今後も雇用していくとしても、今のままでは拙いですし、一度皆で話し合った方が良いですよね?だってお互いに良かれと思ってる内容が違うかもだしね。


カンカン、カンカン


「ん?誰か来たみたいだ。護衛の人達かな?」


「キャァ~~~~~~」


玄関の方でノッカーの音が聞こえました。それで、私達が席から立ち上がった時、その玄関の方から女性の叫び声が響き渡りました。


「何事だ!」


慌ててみんなで食堂を飛び出すと、玄関の扉が開いていて、その前で座り込んでしまったアンナさんと、その前に立つピーチャンの姿が見えました。うん、ピーチャン見るからに怖いですからね。思わず叫び声を上げるのはよく解ります。


「どうした、か~ちゃん!」


おばさんの叫び声を聞いて、ピーターおじさんも飛び出してきました。


「あ、亜人・・・」


でも、ピーターおじさんは入り口のピーチャンを見て硬直しちゃってます。ピーチャンは無表情でおばさんを見下ろしてますが、何となく困惑しているのがわかります。でも、何かそれなりにこんな状況に慣れているような?

更新速度が上がっている割には話が進んでいない罠ですw

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