1-19:72年目の夏が続いてますよ
こんにちは~引き続き72年目の夏です。あ、違う樹です。
何かもう月単位の睡眠が遠い夢のような気がしてきた今日この頃です。
昔は良かったですね~寝てて、起きると周りが少しずつ良くなっていくのが感じられて。
何かその変化を感じるだけで幸せを感じました。次に目が覚めたらどうなってるのかな?ってワクワクしながら睡眠に入ったものです。
え?結局寝てるだけじゃないか!ですか?何を言ってるんですか!それが良いのではないですか!
寝てるだけですべてが良くなるんですよ!こんな幸せないじゃないですか!
あ、そういえば!唐突ですが変化と言えば、新しい仲間が更に増えました。
しかも、今回は初です!何が初ってついに、ついに昆虫が仲間になりました!
そうなのです、動物とは意思疎通は可能かな?とは思うのですが、昆虫さんはどちらかといえば意志疎通なんて無理じゃない?手乗りカブトムシっていませんものね?
そんな事を思っていたのですが、仲間になってくれたのは何と!何と!ミツバチさんでした~~~!
少し前に一匹の蜂さんが飛んできて、あ、この世界で蜂見たの初めてかも?って思ってたらわたしに止まったのです。そして、少しモゾモゾされた後に、なんと、ここに巣を作ってもいいですか?って感じの思念?何か他の動物さんからも来る意思みたいなのが来たのです。
驚きながらも、他の子達とここで争わないなら良いですよ?あと、わたしに危険が迫ったら守ってくださいねって感じでお伝えしたら、無事ここに巣を作られることになったんです。
ある程度巣が出来て、蜂さん自体は大きさが赤ん坊の掌くらいはあるので何蜂かな?って思ってたらミツバチですよってお返事いただいたのです。
すごいですね、おっきなミツバチです。
その後、どうやって感づいたのかクマさんが子連れでやってきてミツバチさんに蜂蜜の交渉です。
すっごい可愛かったですよ・・・・・小熊さんが!
ごれんごれん転がって、ミツバチさんに敵意は無いですよ~ってお腹を見せて愛嬌振りまきまくりです。
親熊がやっても、あれ?背中かゆいのですか?って感じですが、小熊さんは可愛さ爆発でした。
でも、ミツバチさんにこの可愛さは伝わるのでしょうか?
例えば、ミツバチが地面でごれんごれんしてたら皆さんどう思いますか?
わたしだったら死にかけてるんでしょうか?って思いますよね?最悪プチって潰しません?
でも、どうやらクマさんは交渉に成功したようです。
巣を壊さない、巣を外敵から一緒に守る。ハチミツは別途巣の下側にお椀の様な受け口を作ってそこに溜まった分&貯めた分のみとするっとのお約束を取り決めました。
なんとなくミツバチさんに疲れた感じがするので根負けしたのでしょう。
それでもクマさん親子は大喜びしてました。
その後、ミツバチさんは森にすむ、わたしの子供達の所にも順次巣を拡大設置中です。暖簾分けですね。
わたしや、わたしの子供達の周辺では森に住む子達は戦闘禁止って意識が強いですからね。
安心して暮らせるのでしょう。他の子達もハチミツを分けて貰えてどっちもお得ですから。
でも唯一の誤算は、みんながわたしの目の前で美味しそうにハチミツを食べてるんです!
うわ~~~ん、わたしも食べたいです~~お口はどこですか!
◆◆◆
国土開発会議が始まっていた。
それぞれの分野で著名な者達を招いて意見を募っているが、もう既に何回も行われており画期的な方法など出てくる状況は過ぎていた。
そんな中でも各々が今招いている、そして今後更に悪くなると予想される食料危機に対して必死に意見を出し、検討し、なんとかしようとしている。その熱意は、熱意だけは今も熱く燃え上がっている。
「やはり最大の問題はこの急速に下がり始めた気温ですか」
「それもあります、しかしそれではなぜ寒冷地の作物ですらここまで成長が遅いのでしょう?」
「確かに、元々気温の変動に強い植物ですら他と同じように収穫率が下がっています」
「先の会議でも出ましたが、気候だけでは説明が付きませんな」
そこまでは前回の会議と同じ展開であった。しかし、この時一人の老歴史学者が発言を始めた。
「わたしは、残されている歴史書を片っ端から調べておりました。我が国だけでなく、他国における歴史書、民族風土記、何かしら手掛かりになりそうな物はないかと。そして、その中で一つの記述を見つけました。しかし、その記述は今から1000年以上も前の考古学に分類される物でした。しかも、記述者は宗教家、さらにはその者の日記に属するものでした」
「ダウィントン殿、いい加減焦らすのは止めて欲しい」
「これは、ロマリエ大臣、申し訳ありませんでした。要約しますと、今一つ信憑性が無いっと言いたかったのです。ただ、不自然なほど日記の同時代の記録にはその言葉に関する記述がありませんでした。それ以降の書物にも同様に。そして、それ以前の書物は現在も殆ど見つかっておりません。まるで、焼き捨てたかのように」
「ふむ、信憑性がないっか、しかし今我々は少しでも情報を欲しているのだ。その日記には何が記されていた」
「はい、その日記に記されていたのは、神力、又の名をマナ、そのマナの不足により植物も動物も多くが死に絶えたとの言葉です」
老歴史学者の発した言葉に、会議室にいた全ての者達は激しく動揺した。
「死に絶えたか、あまり嬉しい言葉ではないな。で、マナという言葉に心当たりはあるかね?」
「今、引き続き弟子たちに調べさせて居ります。聖書などには頻繁に神力という文字は出ておりますが、いかんせんそれとは違うような気がしますので」
「サマンサ司祭、貴殿はマナという言葉に心当たりはありますかな?」
「いえ、残念ながら。一度わたくしの方でも教会に戻り調べてみましょう」
「しかし、魔物の次は神力ですか、まるで御伽噺の世界に戻ったようですな」
植物学者が、若干馬鹿にしたような感じでそう答える。しかし、その言葉を笑い飛ばすことが出来る物は誰もいなかった。