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2-84:おじさんは守備範囲外なのです!ましてや短気な人は嫌!

「ドナドナド~~ナド~~ナ~~」


今イツキちゃんは役所というところに連行されているのです?

もともと向かっていた所だから良いのですが、何となく強制されているようだと逆らいたくなるのは不思議です。でも、逆らっても意味が無いので付いていきますけどね。


でも、ただ入ったは良いですが、無事出てこれるかちょっと不安なので、お呪いをしておきましょう。

ヘンナヒトとグレテルヒトのお話の様に、道にこっそり竹米を撒いておきます。

これでこの竹米を辿ればお家へと帰れるのです。

でも、確かあのお話ではお菓子の家に連れて行かれるのに、どうみても食べれなそうな建物で、気分はダウンダウンなのです。


「なんだその気分が鬱になりそうな歌は」


「えっと、仔牛の歌?」


「仔牛の歌がなんでそんなに暗いんだよ、まったく意味が解らん」


このおじさんハッキリ言って面倒です。さっきから文句しか言いません。

そんな厄介さん達に連れられて役所へ入ったは良いのですが、通された部屋は重厚感溢れる面談室。

もしかして取調室かなって思ってたのでそこは良かったのですが、目の前には大型猫さんもリスさんもいます。土足OKなので良いとは思うのですが、何か異様な風景?そこに更に鉢植えされた丈が50センチくらいの樹が運ばれてきました。


何でしょう、ぜんぜん私の薔薇色の未来に繋がりそうな気配が感じられないんですけど?


「アウェー感満載なので、帰るか、ここにジャガイモさんを入れても良いですか?」


我が最大戦力たるジャガイモさんは、この建物へと入れて貰えなかったのです。差別ですよね?薬草さんは5人?5束?うむ、植物さんの数え方が解んない。とりあえず、5ニパッでいいかな?は部屋に入れてもらえたのですがそもそも戦力には・・・。


チロッと薬草さんを見ると、安定のニパッ!を返してくれます。うん、ぜんぜん安心出来ませんね。


「まず私の紹介をしておこう。この地を預かっているレムスタットだ。できればあまりかかわりたくないが一応覚えておいてくれ。他の面々の紹介は・・・あ~~必要ないな。それと、あのような大きな魔物がここに入ると思うかね?」


言われて部屋を見回しますが、うん、大型猫さん達が、え?私達の紹介は?って顔をしてますが私もスルーです。あと、ジャガイモさんがそもそもこの部屋の扉を通れ無いかな?


「あ、イツキなのです。あと、もっと大きな部屋に行けばよいのです!」


冴えてますよ!そうなのです、こんな狭い所でなくてもぜんぜん問題ないじゃないですか!


「その必要はない。そもそも、広い場所でギャラリーを増やすつもりは無い。以前の様に意識疎通が出来ればこんな手間は掛からなかったのだが、聞きたいのは貴方の目的だ」


「目的ですか?食っちゃ寝の快適スローライフ、イケメン面倒見の良い旦那付?」


「ガウガウガウ」「キュッキュ」


「・・・・はぁ、ここまでとは思わなかった」


なんかすっごい失礼な態度です。大型猫さんも駄目だこいつって感じで頭を横に振らないで欲しいです。

あと、リスさんや、あなた何で大型猫さんを慰めてるのですか?一口でパクッっとされちゃいますよパクッっと!


「我々はこれ以上の世界の混乱を望まない。かつての様に不用意な行いで私の治める街が亡びる可能性など考えたくもない。ただ、貴方に不用意に干渉すれば魔物達がどう動くか判断が出来ないのだ」


重々しく格好つけて告げますが、机に両肘をついて指組むのは何かのパフォーマンスですか?

だいたい、まだ叱られるようなことをしてないのです!なんでこんなに上から目線で言われないとですか?


「ガウ、ガウガウ」


「む、なるほど」


何ですか?ぼくちゃんは動物さんとお話しできますよ~ですか?子供がするならともかく、大人がするとキモイですね。


「どうやら、貴方には素直にお願いしないと捻くれて余計に被害が拡大する傾向にあるそうだな」


「うわ~~、この人まじで有り得ない性格してません?それ直接本人にいいますか?」


余りの事に、思ってたことをつい口に出しちゃいました。


「遠まわしに言った場合、斜め下のとんでもない解釈をするので注意するように言われている」


「言われているって誰に?」


すると、目の前の人達?全員が鉢植えの樹に視線を向けました。あれ?これって一応血族・・・なのかな?

転生しちゃったから関係ないのかな?それでも、ほら祖先への崇拝の念とか無いのでしょうか?


「話を戻そう。我々もこれ以上貴方の存在から目を背けるのは止めようと決断した。そこで、丁度このように訪問頂いたのはある意味好都合である。もっとも、このような騒動は想定していなかったが。そして、貴方に此方からお願いがあるのだが、先日より販売を始めている竹米、あれの増産は控えて欲しい。既存の麦や米の生産農家が大打撃を受ける可能性がある」


むぅ、突然なんか真面目ったらしい顔で話し始めるもので、こっちはポカ~~ンとした顔をしちゃいました。真面目な話をするならそう事前に言って欲しい物です。

こちらに何の備えをさせることなくで不親切です。で、竹米ですか?あれはみんな喜んでいるみたいですよ?既得権益はやはり汚職と繋がっているのです?


「賄賂をよこせと言うのですか?」


「はぁ、何でそういう話になる?どこを抜き出せばそういう話に捉えれると言うのだ!」


「むぅ、既得権益を優遇して、懐ウハウハですよね?」


「馬鹿もん!そんな賄賂など貰っとらんわ!だ、か、ら、竹米がそれこそ竹の様に増えればあっとう間に生産過剰になる!そして価格破壊、安さによって麦と米の需要が低下、既存農家が衰退すると言ってるのだ」


顔を真っ赤にして怒鳴れば良いという物ではないのです。それに、その論法は最初っからおかしいのです。


「馬鹿にして貰ってはいけないのですよ?今この街だけを見ても(まだ隅ずみまでみれてませんけど)食料は潤沢とは思えないのです。餓えている者達に竹米は何よりの贈り物なのです。それに、米や麦はその物の需要が減れば加工して生かせば良いのです。まずは竹米を広く普及させ、飢えるものを無くすことが重要なのです!あれは慈悲なのですよ?惠なのですよ?」


うん、深く考えて竹米を作った訳では無いのですが、何かいいこと言いましたね!むふふ、これが広まれば私の株は鯉のぼりです?あれ?鯉でしたっけ?滝に上るんだよね?

変な所で悩みだしていたら、気が付くとおっさんが渋柿になってました。


「確かに潤沢とは言えないが、食料が不足している訳では無い。それよりも突然の混乱の方が問題だ」


「混乱というより喜ばれていますよ?買ってる人達皆笑顔ですもん。それに混乱しない様に対策するのがお仕事ですよね?」


「だから現状維持なら良いが、これ以上の拡大は止めて欲しいと頼んでいるのだ。此のままであれば気が付けば町が竹米の竹で覆われていても俺は驚かんぞ」


「失礼ですね、私だってそんな非常識な事はしないですよ!」


「それが信じられればわざわざこうして話しては居らん!それに貴方には前科がある!」


すっごい失礼ですね!前科って何ですか前科って、まるで私が犯罪者みたいじゃないですか!もう少し有能な人はいないのでしょうか?大型猫さん欠伸してますよ?そもそも、言葉も通じないのに何でここに呼ばれているのですか?

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