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2-80:鳥さん捕獲!

気が付けば朝になっていました。

うん、嘘です。しっかり夕飯を食べて、それから寝ましたよ?ご飯は大事なのです。

ジャガイモメインのご飯とはいえ、お腹いっぱいに食べれた事で気分は急浮上しました。その後はお母さんと失敗の原因を話しながら、知らず知らずに眠ってしまいました。


「うん、今日は昨日柵に仕掛けた罠の点検です!」


しっかりと寝たので、気分も上々です。朝ごはんを食べたらさっそく畑の柵へと向かうと・・・、あれ?吊るしていたジャガイモは無くなってます。でも、輪っかにした紐はそのまんまなのです。


「う~~ん、あ、そっか、ジャガイモを吊るした紐の上の方に輪っかを作ればよかったのかも」


ジャガイモが無くなっているという事は、鳥がジャガイモを食べるという事です。であれば、あとはもう少し工夫をすれば良いのです!今日の私はポジティブなのですよ!


「紐の上に輪っかを作ると・・・こうやって足を通してくれるかな?どうかな?」


紐をいじりながらどんな感じに罠を作ろうか考えていると、おや?ちょっと遠くの小屋の影から、こちらをじ~~~っと見ている子供がいます。


「なんでしょうか?」


私が視線を向けると、小屋の影に隠れてしまいました。でも、なんとなく見覚えがあります。確か純人族の子供だったような気がします。


「うん、今はとにかく新しい罠作りなのです」


気持ちを新たに茹でたジャガイモの欠片を紐の先端に付け、その上部分に紐をちょっと大きめに輪っかにします。これで、すすすっと糸を伝って降りてきた小鳥が、輪っかの中に足を入れて、その後糸を引っ張れば

輪っかが絞まるのです。うん、これはいけます!何となくその情景が見えるようです!


「よし、そしたら、次は別の罠を考えるのです!」


罠の設置を終えた私は、意気揚々とお家へと帰りました。そして、昨日の籠を使った罠の問題点を考えて行きます。


「設置場所を変えたらいいかも?」


昨日は家の扉から紐の届くギリギリの位置に籠を設置したのです。鳥が来る場所と言うより、こちらの都合で場所を決めたのが敗因な気がします。なので、今度は家の前にある木の根元に籠を設置!しかも、昨日使ったジャガイモがカリカリに乾いていたので、これも籠の周囲にパラパラと撒きました。


「ぬふふ~~これで完璧です!」


紐の長さが足りなかったところは、ジャガイモさんの蔓で代用です。

籠の傍でなければ問題は無いのです!


「と・り・さん、と・り・さん、はやくきて~~」


小さな声で即興の鳥さんの歌を唄いながら、今日もじっと鳥が来るの待ち続けます。


じっと待ち始めて早くも1時間経過です・・・


「むぅ、そもそも来ないどころか鳥さんの姿を見ませんよ?そういえば、村に入ってからも見たような、見て無いような?」


何か根本的な部分で問題が発覚したような気がしますが、気のせいでしょう。

狩は過酷なのです。じっと息を潜め、獲物が来るのを只管待ち続けるのです。


その後、時間間隔すら麻痺して、うつらうつらし始めた時、漸く、本当に漸く籠の周りに鳥さんの姿が!


「おおお、鳥さんです!鳥さん発見!」


一人テンションが上がる私は、蔓をいつでも牽けるようにじっと身構えます。

チュンチュンという言葉がそのまま表現されるような、実に可愛らしい挙動で鳥達は地面の上を啄んでいる。


「あれは雀さんかな?でも、雀さんにしては一回り大きいかな?」


まじまじと雀を見た記憶のない私は、改めて目の前の鳥を注視していた。

そして、どれだけの時間が流れたのか、私が見つめるその先で一羽の鳥が籠の下へとその身を躍らせた。


「ま、まだだよ、今の向きだと咄嗟に逃げられるかも」


棒を引っ張って籠が閉じるかのテストをした時、引っ張られる棒に籠が若干動く事が解っていたし、鳥の向きによっては籠下から逃げるのに方向転換の手間が有る方が飛び立つのに時間が掛かると思った。

その為、今にも蔓を引っ張りたいのを必死に我慢して、鳥の頭の向きが変わるのを待ち続けた。


ぴょん!「今!」


待ちに待った瞬間!鳥が籠の内側?へと頭を向けた。そして、その瞬間を逃す事無く私は蔓を引っ張った。


ヒュ!パタン!バサバサバサ!


狙った通りに木の棒が外れ、籠が伏せられた。そして、籠の下にいた鳥は驚いて飛び立とうとしたんだけど、間に合わず無事に捕獲する事が出来ました。


「や、やった!捕まえた!」


思わず大きな声で叫び声をあげてしまいました。

でも、仕方がないのです!昨日からいったいどれだけの時間を費やしたんでしょう。

急いで籠のところへと駆けつけると、籠の中でバサバサ動く音がします。


「ぬふふふ、やったね!」


あまりの嬉しさに、また声を上げ、いざ籠の中の鳥を・・・・


「ど、どうやって捕まえれば良いのでしょう?」


伏せられた中の見えない籠、籠の中のどこにいるか解らない鳥、不器用な自分?うん、捕まえれる気がしないのです。


「お、おかあちゃま~~~」


慌ててお家の中へと駆け込みました。

そして、お母さんの手を引いて、籠の所までやってきました。


「ね、ね、鳥さん捕まえたよ!」


「まぁ、良く諦めず頑張ったわね~、おかあさんすぐに飽きちゃうかと思ってたわ」


なんと!酷い評価に思わず頬がぷくっと膨らみますよ!で、その私をコロコロ笑いながら、お母さんは籠のをそっと傾けながらスッとその籠の下に板を入れていきます。


「こうすれば籠そのものを持ち運べるでしょ?」


「おおお~~~」


思わず感動で声が漏れてしまいます。てっきり手を突っ込んで捕まえるのかと思ってました。


「それで、イツキちゃん、この鳥は丸焼きにすればいいの?」


「ふぇ?」


籠を板の上に綺麗に乗せたお母さんは、板を保持してそのまま家の中へと持ち込んだ。そして、台所のテーブルの上に置いた。


「そうねぇ、籠だからこのまま水の中へ入れちゃえばいいかしら?」


「え?水の中?」


流しにある桶へと視線を向けるお母さんと、籠の中にいるであろう鳥へと視線を交互に注ぐ。

私はそこでぴょんぴょんと嬉しそうに地面を啄んでいた鳥さんの姿を思い浮かべてしまった。


「お、おかあちゃま、その鳥さん食べないで飼っちゃ駄目?」


「え?イツキちゃん食べないの?お肉お肉って言ってたのに」


お母さんはきょとんとした表情で私の顔を見返しました。その視線を受けながら、私は昨日から苦労して、色々考えて、そして漸く鳥さんを捕獲する。その一連の作業の中で、いつの間にか鳥さんへと感情移入しちゃってました。それ故に、あの可愛らしい鳥さんを食べる事が出来なくなっちゃっていたんです。

お話が大きく脱線中!

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