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2-79:簡単にはいかないのですよ?

結局、卵を2個貰ってお家に帰って来たイツキちゃんです。

養鶏ってもっと簡単だと思ってました。まさか、あのごっつい鶏が寂しんぼうで、まるで兎のように隔離されると寂しくて死んじゃうなんて思いもしなかったです。

もしかすると、この世界では兎の方が強かで、しぶといような気がしちゃいますよね。なんせ、何度足蹴あしげにされたか解んないですよ?

ともかく、肉肉しいスローライフが頓挫してしまったのです。

ここは、何か打開策を考えないとなのです。


「・・・おとうちゃま、お外で野生の動物さんを勝手に獲ったら捕まっちゃいますか?」


まずはこの世界での常識を確認しないとです。良かれと思って行って、逮捕されたら目も当てられないのですよ?その為には情報収集です。


「ん?いや、別に狩猟は自由だぞ?」


「おおお!そしたら、お外で飛んでる鳥さんを罠で捕まえるのです!」


これは結構期待できるのではないでしょうか?遥か遠い記憶で子供の頃に木に輪っかを紐で吊るして鳥を獲って食べたって言ってた記憶があるのです。木の枝に吊るした輪っか、その輪っかに鳥が引っかかって引っ張るとキュッ!と締まるようにするんです。こうすると、木の枝に来ていた鳥さんを捕まえる事が出来るんです。もし、お金があるなら網を縦にして設置し、そこに鳥を追い込んで捕まえるなんて事も聞いた記憶が有ります!確かあまりに効率的で前前世では違法だったそうですけど、此方では問題ないそうですし。


「ん?ああ、小鳥を狙うのか。そうだなぁ、小鳥ならまぁ、罠なら、う~ん、まぁ作れるだろうが、良い経験にもなるか?」


意外にも、お父さんが乗り気です。もっとも、お父さんだって今の食卓には不満はあるだろうし、それ以上に貨幣が獲得できますからね。


「お父さん、太くて丈夫な糸はある?細いと鳥さんに切られちゃう。あ、あと鳥さんを呼ぶために何か餌がいるかな?何が良いかな?」


今我が家で簡単に用意できるのはジャガイモ?とりあえず蒸かしたジャガイモでいけるかな?う~~ん、はたしてジャガイモを枝から吊るして鳥はやって来るのだろうか?

まぁとにかくやってみないと始まらないのでやってみましょう。その後、お父さんから麻で作った紐を貰い、お母さんから蒸かしたジャガイモを貰って我が家の傍にある木へとやってきました。


「うん・・・わかってたよ、わかってたんだからね!」


誰に言い訳する訳では無いのですが、背が低くて枝に手が届かない!私が結べそうな枝は見回してもちょっとないぞ?皆さん簡単に木を切っちゃったりしすぎです、植林とかも大事ですよ!


「とにかく、鳥さんが止まって餌を啄める周囲に設置しないと意味が無いですから」


家からちょっと離れるけど、仕方がないです。

という事で、畑の方へと歩いてきました。そして、畑の柵に適当な感覚で罠と餌を吊るしていきます。


「これで良いのかな?飛んできて、柵に止る時に足をここに入れて、つ~~っと引っ張ると絞まる。良さそうかな?」


そもそもの罠自体は見た事も無い私ですが、そこは知恵と想像力でカバーするのです。


「よし、あとは夕方とかに見に来れば良いとして、もう一個の罠を作成しましょう」


てくてくと家へと戻り、今度はちょっと大きめの籠と、紐のついた木の棒を手にお庭へと行きます。そして、籠を地面に伏せた状態で、片方を木の枝で支えます。で、その籠の真ん中にパラパラと餌となるジャガイモを置いて、私は紐を持って玄関からお家に入り、籠を監視するのです。


「ん?イツキちゃんは何をしているの?」


薄く開いた扉の隙間から私が外の籠を監視していると、お母さんがやって来て尋ねました。


「鳥さんを捕獲する為に監視しているのです」


私の返事を聞いて、お母さんも扉の隙間から外の籠を見ます。


「あらあら、お母さんも子供の頃にやったわ~、どう?鳥さんは来る?」


「まだ来ないです。やっぱり餌がジャガイモなのが駄目なのでしょうか?」


じ~~っと籠の周囲を見張っていますが、そもそも鳥が来ません。これは、もしかすると籠の下に餌が有るのが見えないのかも?


「おかあちゃま、ちょっと籠の周りにも餌を撒いてきます」


お母さんにそう告げると、手元にあったジャガイモの欠片を手に、籠の周辺に撒きにいきました。

それから、じ~~~っとただ只管鳥さんを待ち続けます。でも、ぜんぜん鳥さん来ないです?


「イツキちゃん、そろそろお昼御飯だから、とりあえずそれくらいにしてご飯食べましょ」


あぅ、結局2時間以上ずっと扉の所で待ってたのに鳥さんは来てくれなかったです。

やっぱり餌が駄目なんでしょうか?でも、麦やお米は貴重品なんです。すんなりお母さんから貰えるとは思わないですし、ご飯に出てきたパンを餌にするのは私のお腹が許してくれないのですよ?

テーブルについて、お昼ご飯をモグモグ食べます。ご飯のときはご飯に集中しないと損です。しっかり味わって食べるのです。


そして、ご飯を食べ終わって、何気なく窓の外へと視線を向けると、お庭に鳥さんがいるのが見えました!


「鳥さんです!」


ご飯は食べ終わっていたので、急いで扉の隙間から出ている紐に取り付きました。


「イツキちゃん!もう、仕方がないわねぇ」


お母さんが何か言ってますが、今は籠へと集中しているのです。チャンスはきっとそんなにないのです!

じ~~っと息を潜めて鳥さんが籠の下に来るのを待ちわびます。

・・・・待ちわびます。・・・・・・・早く来ないかなぁ。・・・・・・・・・・近くには来るのに、籠の下には来ないよ?


だんだん、お外の景色が赤くなって、次に暗くなっていきました。


「イツキちゃん、ほら、夕ご飯ですよ。はやく席につきなさい」


お母さんの声に、籠をずっと見ていた私は、振り返りました。


「あぅぅ、鳥さん籠に来なかったよ」


じわ~~っと目に涙が浮かんできます。そんな私をお母さんは抱きしめてくれました。


「大丈夫よ、イツキちゃんは頑張ったよ、一日で結果が出ない事もあるわ、明日も頑張ろうね」


お母さんの言葉の一つ一つに抱きしめられながら、小さく頷き続けました。


先週から風邪をひいてダウンしてました。

喉がパンパンに腫れて、鼻はぐすぐすで、更新出来ませんでした><

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