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2-78:新たに始まる非日常?5

「今、この養鶏場の様子を見て、この天才イツキちゃんは何が問題なのかをいち早く気が付いたのです!」


今この場にいるのは、この鶏舎の作業者達です。そして、この人達を攻略すればきっとより上の人達にも声が届き、上手くすれば私がこの鶏舎から定期的にお肉や卵を貰う事が出来るのです!

そう、私が何を閃いたかと言うのは、何も一から養鶏しなくてもいいじゃない!今ある所から無料で貰えれば良いのだという事なのです。私って本当に天才ですよね!


「ほう、この鶏舎の問題点か?」


卵売りのおじさんが尋ねます。ちょっと馬鹿にしたような表情を浮かべてますが、そんな物はすぐに驚きに変わるのです。


「卵を集めるのに時間が掛かるのです。そこで、こんな感じで鶏を格納すれば卵は自動でコロコロ流れるのです!」


前前世のテレビで見た記憶を頼りに鶏を一匹一匹囲う様に枠を作り、卵が落ちる隙間を真ん中に作って卵が転がるガイドを!これでばっちりなのです!

私が、地面に落ちていた棒きれで簡単な図を書いて説明します。


「ほう、これは面白い発想だな」


「でしょ?でしょ?これで卵が簡単に集めれて、手間もかからないのです!」


「うむ、発想はいいが、ま、無理だな」


「が~~~ん!なのです!」


「まず、鶏を入れる枠など木では作れん、木で作った日には鶏どもにその日で壊されちまう。そうなると金属になるんだが、そんな事をすればいったい幾らかかるやら」


なんと!ま、まぁあの凶暴さではそういう物かもと納得できちゃうのが怖いです。


「で、まぁ金属で作ったとしてだが、鶏の運動はどうするんだ?」


「え?運動がいるのですか?」


「ああ、こいつらは意外に繊細でな、ある程度走り回れる広さのとこで飼わないとあっというまに病気になっちまう」


「・・・・え~~~~うそだ~~~」


思わず疑いの眼差しを向けてしまうのは仕方がないですよね?だって、こんなに凶暴なのに繊細って、繊細が怖がって逃げ出しますよ?


「俺達だって今までに試行錯誤しているさ。で、数羽ずつ小さく柵を仕切ったりしたが、仕切るとなぜか卵を産まなくなる。で、ほっとくと虐めがはじまって最悪殺しちまう。それじゃあと1匹ずつ仕切ったら、なぜか弱って死にはじめたんで諦めたわ」


なんと!すでに試していたのですか!まぁ日頃から世話をしてるんですから工夫はしますよね。

でも、これではまったく問題が解決していないのです。今の状況では世話の出来る鶏数が限られるのです。


「そしたら、こうやって柵を作って、鶏さんを隔離しながら卵を採るのです!」


私がこれまた地面に図を書いて言うと、おじさんは無言で倉庫の壁を指さしました。

そこには、やたらと表面がボロボロでボコボコな板が何枚も立てかけられています。


「まぁそうでもしなきゃ卵は採れんからな。毎回そうやっているが、それでも板を踏み台にして飛び越えてくる奴や、仲間を踏み台に飛び越えてくる奴なんかがいてな。覗き窓は作ってあるんだがなぁ」


くぅ、これは難題なのです。というか、ある意味当たり前に思いつく方法でしたか。

な、何か、何かないのでしょうか?秘策と言うか、これぞ最高と呼べるものが!そうで無ければお肉が手に入らないじゃないですか!

私がそんな風に追い詰められていると、鶏舎の外でジャガイモさんが土から出てきました。うん、二回りは小さくなってますね。でも、あのジャガイモはどうやって生きているのでしょうか?血管や内臓なんて無いぞ~~なのですよね?


「・・・何か今一瞬寒く無かったか?ぞくっとしたんだが」


おじさんが身震いをしています。そして、おじさんの言葉に周りのみんなも頷いていますが、お歳なのでしょうか?体温調節が狂ってます?

ズリズリとジャガイモさんがこちらにすり寄って来るのを、なんだかなぁと思いながら眺めています。何時の間にか薬草さん達も現れて、ジャガイモさんを取り囲んでいるのは・・・あれは慰めているのかな?うん、よく解らないですね。


「ま、そう簡単に解決策なんか出んさ。伊達に俺達だって養鶏のプロやってる訳じゃないからな。まあ、今日は助かったから夕飯に特別に肉を食わせてやるさ」


そう言っておじさんが笑うのです。夕飯はそれはそれで嬉しいのですが、私はそれを安定供給したいんです。う~~~何か、何か良い方法は・・・・ん?助かったですか?


「えっと、今日は助かったんですよね?」


「うん?あ、ああ、助かったぞ?」


怪訝な顔をするおじさんを無視して、私はズリズリと近寄ってくるジャガイモさんへと視線を向けます。


「ジャガイモさんはあと3体いますから、交代で鶏さんの遊び相手をすれば、あ、でもどれくらいで回復するかも、う~~ん、薬草さんでは力不足かな?でも、そこは数で何とかすれば・・・」


ジャガイモさんと、その周りにいる薬草さんへと視線を注いだまま考えます。


「ジャガイモさんの数を増やせば?それならいけそう?う~~~ん、でも、あ、どうかな?」


「あ、あ~~イツキ、ちょっといいかな?」


思考の海に沈んでいた私をお父さんの声が引き揚げます。


「ん?なぁに?」


「あ~~そに、なんだ、もう少し慕ってくれる生き物をだな、大事にしたほうが」


「イツキちゃん、ちょっとお母さん育て方を間違っちゃったかしら?」


「お嬢ちゃん、あんたいつか後ろから刺されるぞ?」


何でしょう。何かすっごい失礼な事を言われていますよ?と、皆の視線の先を見ると・・・

ズリズリと遠ざかっていくジャガイモさんと、驚愕や、恐怖の表情を浮かべた薬草さんが、これまたじりじりと遠ざかって行きます。う~~ん、何があったのでしょうか?

安定のお話進行速度!(ぇ

あ、駄目です、石は、石は投げないで!あ、それは石じゃないジャガイモです!

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