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2-76:新たに始まる非日常?3

ドシャ!バサバサバサ!ヒュンヒュンヒュン!コケ~~~、コケ~~~!


派手な効果音が目の前で鳴り響いているイツキちゃんです。

うん、何でしょうか、ある意味予想通りであって、またある意味予想外な展開です。

私が今何処にいるかと言うと、もちろん養鶏場ですよ。あの後、何とかお母さん達を説得して、卵屋さんが次に街に来た時に一緒に村まで案内をして貰ったんです。

しかも、帰りはお昼過ぎだったので、一泊旅行なのです!


卵屋のおじさんが、村には生まれて数日のヒヨコも居ると言ってたので、期待も気体で大爆発?

後ろから一緒に着いてくるジャガイモさんも何のその?薬草さんはニッパニパ?

兎にも角にも鶏さんの村には陽が沈む前に余裕で到着したんです。

もっとも、私はおじさん達の荷車で運んでもらったのでお尻が痛い以外は元気いっぱいです!


「ふわぁ~~~、なんかすっごい大きいですよ?」


で、連れて行って貰った鶏舎は・・・デカかったのです!

もっと、何って言うか、飼育小屋みたいなのを想像していたんですけど、え~~っと、これは・・・牛舎?


「ああ、これくらい大きくないとな、屋外に放し飼いが出来ないから仕方がないんだが」


「あ、放し飼いだと食べられちゃうんですよね?」


「ああ、空から来られちゃ柵やなんやも意味が無いからな。屋根は必須だ」


成程、前に聞いていた通り畜産は角付対策が必須なのですね。でも、これだけの建物なのですから、すっごくいっぱいの鶏が居るのでしょう。そう思って鶏舎の入り口から一歩中に・・・・ほぇ?


「に、鶏さんですか?」


建物の中に、更に入り口を覆う様に柵が有りました。これはきっと鶏の逃走防止なのかな?それはともかく、柵の向こうに見えた鶏・・・鶏?大きさが中型犬くらいありますよ?確かに見かけは鶏です。でも、その大きさが、大きさが、非常識?


「ああ、家で飼ってるビッグレグホンって種類だな。肉は美味いし、卵の収穫率も高い。何といっても小型の魔獣程度なら蹴散らすくらい気性も強いし力も強い」


うん、見てるだけでも気性の荒さは良く解ります。私達が鶏舎に入った途端、柵が壊れるかと思うほどに柵を攻撃してますし、っていうか鳴き声が、鳴き声がちょっと理性をどっかに落っことして来てません?て感じなのです。


「これって家畜なのですか?とてもそう思えないのですが?」


「そうねぇ、これを家で飼うなんかとても無理よねぇ」


お父さんとお母さんも目の前の鶏を見てそんな言葉を零します。

これ見ちゃうと、家で鶏育てようとはちょっと無理?下手すると私の方が食べられちゃうような勢いです。


「まぁ慣れないと大怪我するな。マジで目や喉なんかの急所狙ってきやがるからな。ほれ、あそこに架かってるのが作業着だが、ボロボロさ」


おじさんの示した先にはどう見ても皮の鎧みたいなものが継ぎ接ぎだらけでぶら下がっていました。


ぬぅ、近づいたかと思った”お肉でマッタリライフ”が遠のいていきます。せめてもっと飼いやすい生き物を探さないとなのでしょうか?この鶏に比べたら、うちのジャガイモさんは紳士ですよ、紳士!

無闇矢鱈と首位を攻撃何かしないです。一見そうは見えなくても、やはり植物?だから温和なのです!異論はあるかもですが気にしないです!


そんな事を考えていたせいなのでしょうか?どこかでフラグを立ててしまったのでしょうか?

ほけ~~と厩舎の中を眺めていたら、突然目の前の土がボコボコと盛り上がって・・・ひゅんひゅんと何かがって、いえ、ジャガイモさんがなぜか湧き出ました。


「な、なんじゃあれは!」


「ジャガイモさんは村の外で待ってるはずだったんだけど、う~~ん、寂しくなったのかな?」


「いやぁ、そういう状況ではないんじゃないかとお父さんは思うんだが」


「そうねぇ、お母さんもそう思うわぁ」


突然自分達のテリトリーへと現れたジャガイモさんに対し、一斉に鶏さん達は攻撃を開始した。


コケ~~コッコ、コケ~~!!!


「うわぁジャガイモさんが劣勢だね、やっぱり数は力だね」


ヒュンヒュンと振り回される蔓を、華麗に回避しジャガイモさんの懐へと飛び込み嘴や足の爪で攻撃を繰り出す鶏達、そして、何よりその数がとてつもないのです。


「鳥団子みたいだね~~」


我が家族がのんびりそんな様子を見ている横では、卵売りのおじさん達が大慌てで壁に架かっていた作業着を着こんでいます。まさかこの中へ乱入するのかな?


「準備出来た奴から突っ込め!優先順位は卵、もし死んだ鶏が居たらそっちが優先だぞ!あと、あそこの穴を確認しろ、鶏が外へ逃げ出しでもしたら死人が出るぞ!」


「おう!差す又忘れるなよ!」


「俺は左からいく」


おじさん達が続々と鶏舎の中へと入って行きます。これってやっちゃった感がすっごいです。家族みんなで顔を見合わせてあちゃ~~って感じの表情をしちゃいます。


「イツキちゃん、これって何とかできる?」


「ううう、どうかな?何といってもジャガイモさんの方が劣勢っぽいし」


ジャガイモさん最大の武器である蔓が鶏さんに根元から食い千切られてしまいました。この為、ジャガイモさんは既に攻撃力を殆ど失ってます。それなのに、鶏さんは未だにジャガイモさんに群がって啄み攻撃を行っています。


「劣勢って言うか、これはもう挽回不可能な気がするが?」


そんなジャガイモさん達の周囲で、おじさん達がせっせと手にした籠に卵を集めている姿がすっごいシュール?皆さんの表情が余りに真剣なので茶化す事も出来ないですね。


「う~~ん、どうしましょう?このままだとジャガイモさんは食べられちゃいますよね?」


「そうねぇ、でも、出来る事なんか無いわよ?」


「だなぁ、俺達がどうこうって問題じゃないしな」


ですねぇ、でも、ジャガイモさんは・・・我が家の重要な収入源なのですよね。お父さん達は何となく忘れているみたいなんですけど・・・。

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