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2-55:寒いのは苦手です!

で、イツキちゃん復活より早くも3日が過ぎてます。

その3日をどう過ごしていたかと言うと、う~~~んと、見世物になってました?

まぁなってましたというより、なってますが正解でしょうか?はい、現在進行形なのです。


「ほら、イツキちゃん、手を振ってあげて」


横からお母さんの声が聞こえます。うん、わたしは、村の門の前で椅子に座らされてただ一日手を振っているのです。


「むぅ~~寒いのです!北風がぴ~~~ぷ~~~と吹いているのです!豆腐屋ですか?イツキちゃんは湯豆腐希望なのです!」


寒さに凍えながら、村の外に現れる角付の動物さん達に手を振る。これが今イツキちゃんのお仕事となっています。ちなみに、お父さんは先日見つけたお仕事に、お母さんは子供だけは危険だという事で私の付添になっています。


「イツキ、訳の分からない事を言ってないのよ?これはお仕事なのですよ?これで1日銀貨5枚も貰えるのです!しかも食事付です」


「ううう、でもこれ何をしているのでしょう?」


話している傍から、門の向こうから角の付いた熊さんが数頭やってきます。2匹ほど小さな熊さんがいますし、子供連れなのでしょうか?その熊さん達は、私を視認すると立ち止まってじ~~っとこっちを見つめてきます。そこで、わたしはその熊さん達に手を振ります。


「がぅ?」「がうがう」「くぅ?」「くぅぅ」


何かお喋りしてきますが、うん、熊語は解らないのです。

小熊さん2頭が、好奇心旺盛なのでしょう、私に近づいて匂いをクンクンと嗅ぎます。で、しばらくすると満足したのか親熊と来た道を戻って行きます。その間、わたしは笑顔を顔に張り付けて微動だにしませんよ?親熊さんが近寄ってきてガブリとされたら大変なのですから。


「おかあちゃま、これって危険手当が欲しいのです」


「そ、そうねぇ・・・」


お母さんを見ると、額から冷や汗をたら~~りと垂らしています。うん、熊さんは想定外ですよね?!

とにかく、姫巫女と称する胡散臭い年齢不明のインチキロリババが現れて、その日から次々に角の付いた動物さん達がこの村に大挙して現れました。最初は兎さんやリスさん、あと圧倒的に多かったのが鳥さん各種!ただ、大勢の鳥さんに囲まれた時は恐怖でした!鳥さんって表情が見えないのです!で、周り中の鳥さんからうける視線の圧力、こっちは真面目に半泣きですよ!


その後、鹿さん、猪さんも恐怖でした。次に何と言っても狼さんとか・・・もう泣けます。

いっぱいの動物さんに囲まれる恐怖!夢にまで見ちゃいましたよ!


でも、私以上にこの町の人達がパニックです!町中に溢れる動物の群れ!しかも、単体でも怖いのに集団で、その身体能力は人を凌駕しているそうです。町長さんに苦情と不安の訴えの嵐が!門を閉じようとしたら牛さんと猪さんに門を破壊されましたもんね。

結局、私を門の外に備え付けるという暴挙に出たのです!むぅ、子供を、5歳児をなんだと思っているのですか!寒空の下に放置ですか?貴方達に良心はないのですか?

いくら訴えても、最終決断はあの悪魔のようなロリババアに委ねられました。そして、結果は・・・


「ううう、おかあちゃま?これっていつまで続くのですか?」


「そ、そうねぇ、動物さん達がこなくなるまでかしら?」


「それっていつですか?」


「・・・・雪が降れば・・・たぶん?」


が~~~ん、幼児虐待です!私を心配して一緒にいてくれるお母さん以外はお家の中でぬくぬくしてるのが特に許せないのです。これは報復されても仕方がないのですよね?


「・・・おかあちゃま、この町には味方がいないのです」


「え?味方?う~~ん、この町に来たばっかりだし、バタバタしているからすぐにお友達は難しいかな?でも、この騒動が落ち着けば大丈夫よ」


うっ、お母さんの笑顔が眩しいのです。一片の疑いも感じられない笑顔なのです。

それでも、イツキは現実から目を逸らさないのです!此のままでは駄目なのです。なぜなら、ただ寒い!この一言なのです!このままだとイツキちゃんピンチなのです。


「うう~~~イツキちゃんは寒いのですよ?何か頭もふらふらしてきたのですよ?」


先程から、何となく悪寒も感じられます。熱っぽい気もします。

秋の深まるこの時期に、一日中外に子供を出しますか?ましてや、焚火は動物達を刺激しかねないから却下されたんです。毛布に一応包まってはいますけど、それでもやっぱり体は冷えるのです。


「助けを求めるのです!」


せっかく思念を身に着けたのです。だから、この思念で遠い地の親イツキ派に働きかけるのです!

ここはアウェーで敵地で危険なのです。遠まわしにデスられて、殺しにかかって来てるのです。


ヘルプですよ~~~、イツキちゃん大ピンチで危険ですよ~~~


思念を最大にして叫びました。

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