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2-52:お仕事が無いと生活基盤が出来ないのです

町長さんの家の前へ椅子を置いて日向ぼっこしているイツキです。

足下には水を入れた盥を置いて、そこに足を浸けています。何となくこうして日向ぼっこしてると、回復が早い気がするのは、元が樹だからでしょうか?ただ、季節が冬に向かおうとしているので、通り過ぎながら私を見た人達は寒々とした表情で着込んだ服の合わせ目を閉じていきます。


「う~~ん、そこまで寒くは無い気がするのですけど」


のんびりと日向ぼっこをしていると、通りの向こう側からお母さんとお父さんが嬉しそうにやって来ます。

今日は、街中で働き場所が無いか探しに行ってたのです。あの様子だとどこかで雇って貰えそうなのかな?


「イツキ!ただいま!」


「おかあちゃお帰りなさい、嬉しそうだけど働き口があったの?」


テンション高めのお母さんに尋ねたら、やはり働き口が見つかったそうです。しかも、お父さんと二人とも雇って貰えるそうです。運が良いのかも知れませんが、何となく良い話過ぎて不安になっちゃいます。


「えっと、どこで働くの?」


「あのね、急遽町を拡張する事になって、その為の開拓者と後方支援で雇って貰えたのよ」


おおう、自慢げに胸を張るお母さんと、その後ろで同様に働き口が見つかった事で安堵の表情を浮かべるお父さんをみながら、それってあの神樹の種のせい?おかげ?と思ってしまいます。

どうやら、彼らの言う御神木を中心としてある一定の距離において収穫物の発育が飛躍的に膨らむそうです。それ故に、昨日の神樹の種は町拡大への重要な物だったのかな?


「でも、開拓を始めるのって来年じゃないの?冬の間はどうするの?」


「ああ、本格的な開墾などは春からだが、冬の間に縄張りなどの作業を行うらしい。元々人の数に余裕はないらしいから、その御蔭で雇って貰えることになった」


お父さんが嬉しそうに話してくれます。

ともかく、この村で過ごせる基盤が出来る事は良い事なのです。この後、開拓場所の傍に住む為の小屋も作っていただけるそうです。うん、至れり尽くせりなのです。


「で、それって町長さんも知ってるの?騙されてたりしないよね?」


「ははは、イツキは心配性だな。この件では我が家の身元保証を町長さんがしてくれたんだ。だから騙されているなどという事は・・・ないよね?」


「もう、大丈夫ですよ、町長さんはイツキの事も気にかけてくれてるのですから」


む?まぁしっかり者のお母さんが大丈夫って言うのなら大丈夫なのでしょう。

ただ、そうするとこの場所で生活する事になるのですよね。う~~ん、どうせならもう少し都会で生活したかったと思うのは贅沢なのでしょうか?


「どうしたの?イツキはここで生活するのは嫌?」


私の表情が今一つな事に気が付いたお母さんが、心配そうに私に尋ねます。なので、わたしも素直に思いを伝える事にしました。


「えっとね、もっと都会に住みたかったかなって思ったの。ここに住むことになっても、わたし玉の輿に乗れるかなぁ?」


この村を見てもとても裕福とまでは、もちろん前に住んでいた島とかに比べれば雲泥の差ですよ?でも、私が目指すところはもっと遥かに高みなのです!目指せ食っちゃ寝で不労生活なのです!それには、この町では少々どころか思いっきり不足している物があると思うのです。

わたしの答えにお母さん達は爆笑していますけど、私の未来が貴方達の老後に繋がるという事を理解しているのでしょうか?

この感じではそんな事は考えた事すらないのだと思いますね。


「むぅ、ぜったい素敵な人を見つけて、幸せな結婚をするのです!で、食っちゃ寝が許される生活を目指すのです!」


「え、え~~っと、イツキちゃん?素敵な生活が食っちゃ寝ってお母さん違うと思うんだけどな~」


「いや、そもそもイツキは嫁にはいかんぞ?」


「食っちゃ寝は至高なのです。でも、ただの食っちゃ寝は駄目です!美味しい物を食べて、ふかふかのお布団に包まれての食っちゃ寝が素敵なのです!」


「イツキちゃん?愛する人と素敵な子供と一緒に過ごせる、これに勝る幸せはないのよ?ね、あなた」


「う、うむ、そうだぞイツキ、お母さんのような美人で気立てのよい妻を持てて、更には天使のようなイツキを授かる事が出来た。俺はなんと幸せ者なのだろうか!」


「・・・・う、あ、その・・・おめでとう?」


何と答えていいのか解らない私は、思わず変な返事を返してしまいました。

ただ、それでも注意は必要だと思うのですよね?

「ふふふ、ありがとう」


感動で打ち震えているお父さんはほっといて、お母さんが私を抱き寄せて頭を撫でてくれます。

でもお母さん、わたし足がビショビショなのでお洋服濡れちゃいますよ?


「でも良かった。足はもう何とも無さそうね。腫れているのを見た時は心配したのよ?」


その後私はお母さんの膝の上に抱えられて、ビショビショの足を拭いてもらいながらお話をしています。

お父さんは夕飯の買い出しの手伝いに出かけちゃいました。


「うん、最初はすっごく痛かったの!でも、おかあちゃまの魔法で治ったの!」


あの癒しの手の威力は生半可では無いのです。

あれはきっと治癒魔法に違いないと思うのですけど、それを知られるとお母さんが狙われちゃうかも?


「おかあちゃまの魔法は他の人に知られると危険なの・・・かも?」


「ふふふ、大丈夫ですよ、お母さんの魔法はイツキちゃん限定ですからね」


なんと!これは血族限定魔法だったのでしょうか?

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