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2-50:夜に水分は禁物ですよ?

外から明かりが入るとはいえ、薄暗い廊下でエルフさんと対面した状態はちょっと怖いです。

昼間は明らかに殺されそうな感じでしたよね?ちらちら見られてたのは絶対そういう意味だと思います。

硬直している私に、エルフさんは溜息を吐きますが、それはそれで失礼ではないでしょうか?


「よろしければ此方でお話をさせて戴きたい。軽食などもご用意いたします」


「ふぇ?」


突然なんなんでしょう?ただ、喉が渇いている点では有難いお誘いなのですが、意図が読めないと怖いのです。必死にエルフさんの表情から意図を読み取ろうとしますが、エルフさんはそんな私から視線を反らします。


「リス殿、ウサギ殿もご一緒であればご安心でしょう。こちらへどうぞ」


「え?・・・リス殿とウサギ殿?」


更に困惑する私なのですが、エルフさんは奥の扉を開き、中へと案内するような動作をします。

すると、足元から何かが扉の方へとサササっと動きました。


「ふぎゃ!」


突然の事で思わず悲鳴を上げました。でも、動いたものをよく見るとリスさんとウサギさんがいます。

もしかして部屋からずっと一緒にいたのでしょうか?全然気が付いていませんでした。


ウサギさん達の後について部屋に入ると、どうやら応接室のようです。

何処に座ればいいのかな?とまごまごしている内にエルフさんが何かの飲み物と、あれはお菓子かな?を盛ったお皿をテーブルに置きます。ウサギさんとリスさんは、さっさとテーブルに上がってお菓子をカジカジしていますが、とりあえず私もエルフさんの対面に座る事にしました。


「・・・あ、美味しい」


目の前に出された飲み物は、薄いレモネードのような味です。ちょっと酸っぱいですけど乾いた喉にはすっごく美味しく感じました。


「その、とりあえず昼間の事は謝罪させてほしい。申し訳なかった」


突然の事に、お菓子へと注いでいた視線を、エルフさんへと向けます。そしてら、エルフさんが深々と頭を下げているので吃驚なのです。


「え、え~~っと、うんっと、許しますぅ?」


ふぎゃぁ!こういう時は何と返事をすれば良いのでしょう。とっさに出たのがすっごい上から目線じゃないですかこれ!ましてや疑問形ですよ?自分の返事に逆にワタワタしていると、エルフさんが頭を上げて此方を見返しました。


「疑問形ではあるのですが、謝罪は受け入れられたと思って良いですか?」


エルフさんの言葉に、頭をコクコクと前後に振って肯定を表します。

そんな私を見て少し表情を緩めたエルフさんですが、テーブルの上のリスさんとウサギさんを見て顔を顰めます。うん、確かに貴方達はなぜいるのでしょう?お菓子をテーブルに食べ散らかしていますよ?というか、私の分が無くなりそうな?


タシッ!タシッ!


ふふふ、お菓子確保なのです!このままだと全部食べられちゃいそうなので両手に一個ずつお菓子を確保します。でも、これ焼き菓子なんでしょうけど、固いですよ?捻り菓子ってこんな感じでしたっけ?良く覚えてないですけど、ただ甘いお菓子では無さそうです、ちょっと悲しい。


「はぁ、それであなたが始祖様で間違いないのですね?」


「はむはむ・・・うっと、しそ?」


右手に持ったお菓子を口に入れて、噛めないよこれ!ってカジカジしてた私は、何言ってるんだろう?とエルフさんを見返しますよ?そういえば、紫蘇ご飯は美味しかったですね、あれってどうやって作るんでしょう?小梅さんに浸ければいいのかな?でも、そうすると梅干しになっちゃう?

ハムハムカジカジしながら紫蘇の事を悩んでいると、またもや溜息の音が聞こえてきました。


「あなたが最初の神樹イツキで間違いないのですね?」


「えっと、イツキはイツキですよ?神樹かどうかも、最初かどうかも解んないですけど、前は木でした!」


元気よくお返事します。だいたい前世は動く事すら出来なかったですから、自分が最初かどうか判断何てつかないですよね?ましてや、自分を神樹何て言った事無いよ?・・・ないよね?・・・あったかな?う~~ん、良く覚えてないですけど、たぶん無かったよ?


うんうん悩んでいると、またもや溜息が聞こえます。このエルフさんは溜息ばっかりって・・・あれ?なんか机の上のウサギさんが呆れた顔でこっちを見てます?


「うわぁ、ウサギの呆れた顔って初めて見たかも?すっごい変だね!って・・・あ、前世でも結構見たかも?」


うん、最後は大型猫さんに食べられちゃったけど、いっとき良く居たウサギさんが表情豊かでしたね。


「私は感応力が低いので、この度はご迷惑をお掛け致しました。現在、こちらに姫巫女様が向かっておられます、明後日には到着されると思います。それまではこの家でゆっくりとお過ごしください」


「え~~っと、姫巫女さんって、あのエルフっ子ちゃんかな?でも、まだ生きてるの?」


私の言葉に、エルフさんは顔を顰めて答えます。


「はい、残念ながらご存命です。っていうかぜんぜん死にそうにありませんね」


何なのかな?すっごい含みが感じられます。ただ、いまはそれよりも大事な事があります。


「ところで、至急お聞きしたい事が有るのですよ?」


「姫巫女の事ですか?」


いやそうな顔で答えるエルフさんに、私は真剣な顔で質問しました。


「トイレは何処ですか?漏れちゃいますよ?」

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