2-30:ジャガイモさんの成長?
暖かな日差しが窓から差しこみ、自然と目が覚めたイツキです。
昨日は、あれからお昼ご飯を食べて、普通はお昼からもやって来るデリカ達が来なかったのでヌクヌクお昼寝、その後夕飯を食べて、で眠りました。
うん、やっぱりお日様に当たってお昼寝をすると体調が良いですね!
なんで皆はもっとお昼寝をしないのでしょう?寝る子は育つのですよ?まぁ人によっては横に育つのかもしれませんが・・・
それはともかく寝台というか台?の上に敷かれた藁布団から降りて、食堂に向かいます。
先程から、ほんのりと食欲を刺激する香しい薫りが漂っているのです。
「ん~~~と、パンの焼ける香り?・・・でも、お肉の焼ける匂いはしないのです。残念です」
ちょっとだけショボンとしながらも、一日の糧となる朝食を食べに行きましょう。
お母さんがご近所になった方達から分けて貰った食材で作ってくれるのです。文句を言ったら罰が当たります。でも、昨日のジャガイモは惜しい事をしました。麻袋いっぱいのジャガイモさんですから、使い道だっていっぱいあるのです。
「おかあちゃま、ごはん~~」
「おかあちゃまはご飯じゃありませんよ?もう」
ぬぅ、全否定来ちゃいました!うん、お母さんは食べれないですからね!
それはともかくとして、お父さんがいませんよ?
「おとうちゃまは?もう出かけたの?」
「ええ、何か朝早くに村の人達が呼びに来て、慌てて出かけたわ。何かあったのかしらね?」
「なんだろうね」
お母さんと会話しながら、朝ごはんをもぐもぐしています。
すると、何かがやがやと人の集団が戻ってくる気配が感じられます。ただ、予想外だったのは皆さん揃ってお家の中へと入って来ました。
「あら?貴方どうしたの?」
「いやな、ちょっと・・・」
ご飯を食べながらお父さん達の様子をチラチラと見ていると、お父さんと視線がばっちり合っちゃいます。
「うにゅ?」
思わず首を傾げながら声が出ちゃいましたよ?何でしょうか、私が今食べているパンが食べたいのでしょうか?そんな事を思いながら視線を逸らす事が出来ず見続けていると、お父さんが会話もそこそこにこっちへ来ますね。
「イツキ、昨日村の畑で何があったか覚えているか?」
「畑です?う~~んと、ジャガイモさんを植えました!」
そうです、昨日のジャガイモさんの様子を見に行かないとですね。頑張らないと直ぐに冬が来ちゃいます。
冬は植物さん達は冬眠の時期ですから、きっとジャガイモさんも冬眠しちゃいます。
昨日の事と、今日やらないといけない事に思いを巡らせていると、お父さんが何か悩みながら私の頭に手を載せてなでなでして来ます。でも、お母さんに比べ、お父さんの頭なでなでは今一つなのです。
「イツキ、ちょっとお父さん達と畑に来てくれるか?今デリカちゃん達もそれぞれ呼びに行っているから、みんなで畑に集まって欲しいんだ」
「よく解らないですけど畑にはいく予定ですよ?ジャガイモさんの様子を見るのです!」
という事で、急いでお口をもぐもぐさせて、その後ジャガイモさんを見に来ました。
お父さんに抱き上げられながら、畑に向かうといっぱいの人達が塊になって集まっているのが見えます。
何でしょうか、すっごくザワザワしていますが、何となく雰囲気は良くないですよ?
それに、デリカちゃん達もまだ来ていないみたいです。ただ、あの強奪犯レリンさんの姿は見えました。
「おお、来たか!」
何でしょうか?声を掛けてくるレリンさんの眼差しが昨日とは明らかに違います。なんっていうか、昨日以上に眼差しが厳しいです?思わずお父さんを見上げると、お父さんの表情もすっごく怖い顔をしています。
私はお父さんに抱き上げられながら、集まっている人の間を抜けて畑の前に来ました。お父さんを見ていた視線を畑に向けると・・・・畑の端っこに大人の背丈より高くて、どっしりお尻の恰幅おばさんみたいなジャガイモさんがいました。
「うわあああ、すっごい大きなジャガイモさんです!」
思わず感嘆の声が出ちゃいます。これ食べるとすると何日分になるでしょう?
「おとうちゃま、すごいね、おっきいジャガイモさんだよ?何人分かな?何日分かな?でも、美味しいのかな?」
ん?ぜんぜん反応が返ってこないですね。
うにっと首を後ろに逸らしぎみにお父さんを見ると、じっと何か考え込むように私を見ていました。
「すっごいね、こっちのジャガイモってこんなに大きくなるんだね」
話しかけても反応がないです。
そんな時に何か鋭い掛け声が聞こえました。
で、前を見ると数人の男の人がジャガイモさんに槍のようなものを突き立てています。
「ふわぁ、こっちは変わったことをするんだね」
ジャガイモさんに槍を突き立ててどうするのでしょう?何かの儀式なんでしょうか?
それにしても、一晩でこんなに大きくなるジャガイモさんはすごいですよね。栄養とかどうしているのかな?って思ってたら視界の隅で何かが動いて・・・おお、雑草さんがいました。
でも、もしかして干からびた雑草さんを元気な雑草さんが一生懸命引きずってます?
あ、栄養吸われちゃったのかな?
危なかったです!投稿が!