表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/302

2-28:ジャガイモさんとの出会い

がしっと私が麻袋にしがみつくと、麻袋の開いた口からジャガイモさんがころりんこしました。


「逃げたらだめなのです!」


転がったジャガイモを開いた口に押し込んでほっとすると、周りがやけに静かですね。


「ん?」


周りを見ると、デリカちゃん達がじ~~~っとこっちを見ています。


「・・・・だ、駄目ですよ?これはイツキのなのです!」


自己主張はしっかりしないと後悔するのですよ。これは私の物なのです。


「あ~~~、デリカ、こいつは何だ?」


レリンさんが此方を指さしてデリカちゃんに尋ねますが、う~~~む、人をこいつ呼ばわりとは失礼ですね。

きっとロンリーですね、独身ですね、童ゲフンゲフン・・・ともかく、モテナイ事決定です!

とにかく、指された指をじ~~~っと見つめますが、レリンさんも私のシャガイモを狙っているのでしょう。

油断大敵なのです!


「えっと、先日村に来たイツキちゃん?」


「村に来た?・・・・・ああ、あの、ただそいつが何でジャガイモの袋にしがみ付いてるんだ?」


「う~~~ん、欲しいから?」


デリカちゃんが何か言ってますが、違うのです、これは私のなのです!そこを間違うと大変なのですよ?


「あ~~~、ともかく、何しに来たのかしらんがこっちは畑から帰って来て疲れているんだ、手に持った物を棚に返して出ていけ」


「「「「え~~~」」」」


皆の抗議の声が響き渡りますが、腰に手を当てた格好で棚を指さすレリンさんです。

みんなも、しぶしぶ、本当にしぶしぶ棚へと手に持ったものを返していきます。


「むむ?皆さん仕方がないのですよ?棚にあるのは商品なんですよね?ともかく此処を出ましょう」


ズリズリ・・・ズリズリ・・・


くぅぅ重いのです。ちょっと5歳児には手の余る重さなのです。しかし、諦める訳には!


ズリズリ・・・ズリズリ・・・・・・ぐいっ! 


「くぇっ!」


突然襟を持たれて釣り上げられたので、とっさに変な声が出てしまいました。

むぅ、一瞬息が止まっちゃったじゃないですか!抗議の視線を向けると・・・何かどんよりした眼差しのレリンさんと目が合っちゃいました。


「えっと、何されるのですか?今忙しいのですよ?」


「・・・・・・・」


むぅ、反応が無いのです。なんと失礼な!ともかく、この襟にかかった手を外さないと進めませんのでウニウニ身をよじってみます。


「うにゅにゅ、外れないのです・・・」


両手はしっかり麻袋を掴んでいるので、身を捩るしか襟の手を外す手段がないのがキツイです。


「なぁ、何もって出ようとしてるんだ?」


「ん?えっと、大事なもの?」


「ああ、それは俺の大事な商品だな」


なんと!私の物を奪おうと言うのですか!く、俺の物は俺の物、お前の物は俺の物なのですか!

そのような理不尽は私には通用しないのです!やられる前にやれの精神なのです!


「ぶら~~ん、ぶら~~ん、どん!」ガツッ!


「イテェ!」


足をブラブラさせ、踵で敵の脛を攻撃する!私の必殺技が炸裂なのです。此の隙に離脱を!

予想通り襟を掴んでいた手が離れ、私は今自由を取り戻したのです!


ズリズリ・・・・、ズルズル・・・・


自由への扉は目の前なのです!


ズリズリ・・・・ゴツン!


「ふぎゃぁ!」


頭の天頂部に予想もしない激痛が走りました。痛いのです!


「うおぉぉぉ~~~」


ゴロゴロゴロゴロと頭を抱えて転げまわります。涙が出ます、ついでに鼻も出ますよ?ってマジで痛いのです。両手で頭を押さえキョロキョロ周りを見ると、手を放した私の麻袋にレリンさんが手を出しているのが見えます!


「みゃぁぁ~~!私のジャガイモさんが!」


「馬鹿野郎!これは俺のだ!」


拳骨を振り上げるレリンさん!くぅ、非力な私ではこの暴力が溢れる世の中で正義を貫く事は出来ないのでしょうか!


「いや、えっと、イツキ?何処が正義かわかんないんだけど?」


「だな、流石に俺らも引くわ」


むむ、デリカ達も口々にレリンさんの味方をします。ち、力こそ正義なのですね!世紀末なんですね!


「いや、お前ホントになんなんだ?」


・・・・さっきから私の思考すら読まれてます。お、恐ろしすぎます。


「イツキ、拳骨喰らってからあんた全部言葉にしてるよ?」


「・・・・・・・な、なんと!」


「「「「「はぁ・・・」」」」」


「な、何ですか!なんでみんな同時に溜息なんですか!私は除け者なんですか!」


「いや、意味わからんし」


レリンさんはそう言いながらも私のジャガイモさんを元々落ちていた所に下ろしました。

ぬぅぅ、わたしのジャガイモまでの距離がすっごく遠く感じるのです!


「いや、だから声に出てるっていうか、これ俺のだから」


「それは私のです!私が見つけたのですよ?」


私の主張にも、何かみんなが残念な子を見るような眼差しをしてきます。すっごい失礼です!


「まったく、ほれ、これで我慢しろ」


レリンさんは麻袋の口の開いた部分から、先程転がり出たジャガイモさんを1個取り出して私へと放り投げます。むぅぅ、貴方は先ほどのジャガイモさんですか?実は先程の大脱走は私の下に来る為でしたか?

ただ、あれ程の獲物が、たった1個になってしまったのです。


「うぅぅ、わたしのジャガイモさん・・・」


「だ、か、ら、これは俺のなの!ほら、お前はそのジャガイモでも増やせばいいだろ!」


「おお!そうです!今は一個のジャガイモさんでも、頑張れば明日はいっぱいかもしれないのです!」


たった1個になったジャガイモさんを手に、私は外へと駆け出しました。


今は少しの時間でも惜しいのです!は、畑はどこですか?


先週末から何かと忙しくて先週1回お休みしちゃいました><

今週何処かで挽回予定?・・・・予定は未定?(ぇ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ