2-15:平和へ向けて?
うきゃ~~寝不足、筋肉痛でボロボロのイツキです。
よく考えたらイツキって逆から読むとキツイですよ!え?そんな事どうでもいいですか?そうですか・・・
でも、筋肉痛って3歳児でもなるのですね、驚きました。成長期真っ只中の子供には筋肉痛なんて縁のない話だと思ってました。それなのに、今もって両腕を上げる事すら不可能な状況は酷い。回復の木の実はどこですか?え?潰してます?いえあれはキモイ木の実ですよ?普通の感覚ではあれは食べられませんって。
ともかく、ここ一週間は夜にちょっとで安眠が阻害されて、思いっきり睡眠不足なのです。
肉体疲労で思いっきり睡眠を体が欲しているのですが、両親含め妨害が多くて朝寝坊は出来ないのです。
かろうじてお昼寝は許されているので、お昼まで何とか耐えねば!お日様に当たってお昼寝するのは最高の至福の時間になっていて今や欠かせない時間。
「イツキ、スプーン持ったまま寝ないのよ、あとでもう一回顔を洗ってらっしゃい」
むぅ、どうやら朝ごはんの最中に寝落ちしていたみたいです。
決してお母さんの作ってくれる朝ごはんが不味い訳ではないですよ?スープの味がただ辛い塩味だからと逃避していた訳ではないですよ?っていうか塩入れすぎです!頭の血管ぷっつんしちゃいますよ?
「うみゅ~お顔洗って来る~、その後お庭でお花のお世話してる~」
朝早くにお父さんが汲み置いてくれた新鮮なお水を桶に入れて、顔をバシャバシャ洗います。
勿体ないから使ったお水を如雨露に入れてお庭に水遣りなのです。
う~~筋肉痛の体がギシギシ言ってる気がする~~。
「お水ですよ~ご飯ですよ~、そろそろ解放して欲しいですよ~」
花壇にお水を撒きながら、庭からニパニパ現れる雑草さん達にボヤいてしまいます。
実は、実はですね、内緒なんですけど、島を守る為というよりも、日々のお食事を守る為に、究極の決断を強いられた私は意を決して雑草さんを口にしたのです。
はい、お味は甘々で至福の味でした。最初に口にした雑草さんは例えるなら熟して甘々な桃?そして、驚く事に雑草さんは見た目はまったく同じなのに味が違うのです。時には苺の様な、時にはメロンのような!
あ、メロンと言ってもマスクメロンですよ?決して甘瓜さんではないのですよ!
とにかく、その味に魅了されてしまった私は、日々頑張って変身少女さんをしているのです。
え?魔法少女ではないかですか?
変身して10歳くらい外見は大きくなって、変身中の力や持久力は上がるのですが、魔法はまったく使えないのです!あれでは魔法少女とはとても呼べないのですよ!
変身物理少女なのです!夢もロマンも無いのです!なのになぜか衣装だけはフリフリでキャピキャピなんです!しかもミニスカで絶対領域完備なのです!ぜったい神が裏にいますよ、間違いないのです!
ともかく、雑草さん達は日々自己増殖しているので変身の実?根?ともかく材料には事欠かないのですが、相手は物量で攻めてくるのです。ルートが固定されている為に何とか侵攻を抑えていますが、このままではジリ貧なのですよ?こちらの体力も精神力も持たないのですよ?
「和平交渉を希望します!平和共存なのです!しかも相手は林檎なのです!」
私の言葉に雑草さんはニパッと笑っていた顔を顰めます。うん、器用ですね。
「今は夜だけの侵攻だから良いですが、昼も夜もとなったらどのみち守れませんよ?雑草さんではなく、種の木さんはどう考えてるの?」
じ~~~っと見つめる視線の先で、種の木さんがザワザワと枝を揺らします。
「うん、やっぱりぜんぜん解らないわぁ」
私の発言に雑草さん達は相変わらず驚愕の表情を浮かべます。
でも、そもそも植物の意思を感じろってそれこそ魔法や超能力の世界ではないですか?
「だいたい、私だけでなく雑草さん達も戦うべきです!」
そんな発言をしても、雑草さん達は明らかにやる気が感じられません。
「え~~、だるいし~~、めんどう~~って思ってますね!」
「「「「「!!!!!」」」」」
「ふ、甘いのですよ、意思は感じられなくても、表情は解るのです。明らかに表情に出ているのです」
驚き、驚愕、様々な表情を浮かべる雑草さん、ふふふ、私を甘く見ましたね!
でも、後ろの方で寝てるのと、どうでもいいやって顔をしてる二株はあとでお仕置きです。
ともかく、相手との会話の席を設けるべきなのです。
私は元々平和主義なんです!
え?あれだけ潰してて今更対話が出来るのかですか?
・・・・・どうなんでしょう?でも、あの不気味な木の実の不気実ちゃんは何で此処を攻めてきてるのでしょうか?