表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/302

1-11:71年目になりました

71年目になりました。

そうです、80年目じゃなく71年目なのです。それも、まだ冬ですよ、初春に入るか入らないかの冬です!

本来なら、まだまだ寝ているはずの冬なのですよ!

あ、余りの事でつい愚痴が、え~と寒さに打ち震えている樹です。

ついでに悲しさに心が凍りつきそうです。


あれから、収穫と豊穣の秋を迎え、実も沢山成りました。

これで、ゆっくり出来るわっと思って春までゆっくり寝るつもりだったのです。

それなのに!それなのに!またもや起こされてしまいました!


おかしいですよね?ありえないですよね?

キツツキさんを含め、なんでみなさん冬眠していないのですか!


冬はみんな仲良く眠ればいいじゃないですか!


ほら、あちらの森を見てください。子供達みんな眠っているじゃないですか!

っと思ったら、みんなから一斉に抗議の気配を感じました。


あれ?貴方達こんな真冬に何で起きてるのですか?


そんな事を思っていると、何やらまたもやオオワシさんがわたしの所に飛んできました。


あ、御無沙汰・・・してませんよね?3ヶ月程前にもお会いしましたし。

何やら興奮されているようですけど血圧上がりますよ?

冬場は気を付けないとぽっくり逝きますよ?


うわ~~ん、なんで親切に忠告しているのに突っつかれないといけないのですか!

冬は実は無理ですよ?わたし一応植物なんですから、なんとなく体の機能の半分以上が眠るんですから。

別に、わたしが眠るの好きで寝てる訳じゃないんですよ?

元々そういう体質なんですよ?


わたしの必死の説明に、しぶしぶオオワシさん達は納得してくれました。

でも、なんで森にいる子供達が説明してくれないのですか?

貴方達だって同じ植物ですよね?


わたしが抗議の意思をしめすと、森の方ではなんとなく納得いかないような気配が漂います。

ちょっと!貴方達お母さんを蔑ろにしすぎですよ?

そんな薄情な子供に育てた覚えはありませんよ!


え?育てて貰った記憶何かないですって?

酷い!貴方達の為にせっせとモコモコ樹皮で栄養を作ったのに~~~


え?え?役に立たないなら静かに寝ててくれって、起こしたの貴方達でしょうが!


◆◆◆


「この報告は何処まで信用できるのだ?」


「何とも、ただ私は彼らが経験したことは全て真実だと思っております」


「なるほど、経験した事はっという事だな。すなわち、魔物云々に関しては当てにならんという事か」


「はい、一応調査隊には環境学、動植物学の専門家が各1名同行してはおりました。しかし、残念ながら魔物学の専門家はおりませんでしたので」


「嫌味を言うな、このご時世に魔物などという物を真面に研究している者など童話作家くらいのものだ」


そう言い切ると、男は苦笑を浮かべる。そして、手に持った報告書を指で弾くと傍らにある机の上へ放り投げる。


「魔物かどうかは特に重要ではない。魔物であれば討伐すれば良いだけだ。それよりも、その地が既に何者かの支配領域になっていないのか早急に調べる必要がある」


「はい、今どの国も生き残るのに精一杯です。その中でそれほど豊かな土地であれば何処も手に入れたいでしょう」


「そうだ、もちろん我が国も同様にな。北領の難民達を率いていけ、最悪全滅しても構わん。とにかく情報を集めるのだ。時期的にも秋の収穫が終わったばかりだ片道ぐらいの食料は用意してやる」


「了解いたしました」


冬の最中の行軍となる。南方へ向かうとの事にてまだマシとはいえ、ここ近年の首都周辺は0度付近まで気温は下がる。はたして、どこまで犠牲を減らせるか、ロマリエは同行させる調査隊の主力人事を考えて憂鬱な気分になる。


「成功すれば正に英雄となる。失敗すれば・・・死ぬだけだな」


大がかりな、まさに生死を掛けた調査隊の派遣がここに決まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ