2-12:種の木さんと雑草さん
お日様ポカポカ嬉しいな~日向ぼっこ真っ最中のイツキです。
でもこれだけ毎日のように日光浴しているのに、ぜんぜん日焼けをしないのが不思議ですよ?
ピチピチお肌は真っ白つやつやです。瑞々しいとはこの事を言うのです!
うん、かつてのシワシワモコモコを思い出すと泣けてきちゃいます、人に生まれた素晴らしさを実感しているのですが・・・肝心の王子様はどこですか?
良く考えたら私は王子様と恋愛する為に転生した覚えがありますよ?
王子様どころか、悪魔の子分みたいなのが花壇の甘味をガジガジしてたのしか見た覚えがないですよ?
あとは、おっちゃん?王子様は王子様でも王様が引退してないので、高齢でも王子様というのは認めませんよ?王子様の賞味期限は短いのです!期限切れはポイなのです!
そんなこんなで世界の真理を思考していると、何だか種の木さんの様子が変です?
元気にすくすく育っていたのと、今年は食べれる実が収穫できそうにないのであまり注意していなかったのですが、何となく緊迫感を感じます。
・・・・・木の緊迫感・・・・言っていて自分でも馬鹿みたいですが、何となく醸し出している物があるのです。
ベンチから降りてテクテクと種の木へと向かいます。何故か私が近づくと雑草が顔を出しますが・・・貴方達増えてませんか?目に見えるだけでも明らかに20株以上いません?
「むむむ、もしかして雑草さんのせいで種の木さんは元気が無いのですか?」
種の木さんに私が尋ねると、まるで”冤罪だ!”と言う様に顔に驚愕の表情を浮かべた雑草さんが首を横に振っています。でも、根本的に雑草さんの顔部分って根っ子ですよね?どうやって稼働しているのでしょう?球体関節ですか?でもそれだと血管?みたいなものも途切れるし・・・・謎ですね!
「ちょっと引き抜いてみましょうか?」
ぼそりとそう呟いたら、今まで地面の上に出ていた葉っぱ部分まで地面に潜っちゃいました!
「そこまで嫌なのですか?草類は他の生き物に食べられるのが当たり前なのではないでしょうか?」
ヒョコ、ガ~~ン、ブンブン
「おお!新しいバージョンですね!」
雑草さんの動作にバリエーションが増えました。
シャベルを片手に雑草さんと遊ぼうと思ったのですが、種の木さんの様子がやはり気になります。
「種の木さん?何か言いたいことがあれば聞きますよ?」
私がそう優しく問いかけると、種の木さんはサワサワと枝を揺らしています・・・けど・・・・
「うん、ぜんぜん解んないわぁ」
私の発言に、雑草さん達はまたもや全員が驚愕の顔を浮かべます。うん、器用ですね。
種の木さんも何となく同様の顔を浮かべているような気配がしますけど、わたし人族ですよ?解る訳ないじゃないですか。
そんな私に対し種の木さんより表現力?のある雑草さんが何やら葉っぱをフリフリ、お顔をくしゃくしゃ?とにかく何かを伝えようとしています。
「・・・・・んっと、分かった!」
ニパッ!ニパッ!ニパッ!ニパッ!・・・
雑草さん達みんなで満面の笑顔、中にはやりきったぜ!みたいに葉っぱで流れてもいない汗を拭う動作の子までいます。本当に表現力が豊かですね。
「あっちのお芋畑の肥料が欲しいのね!」
ガ~~ン!ガンガ~~ン!ガガガ~~ン!ガックシ!
むうう、どうやら違ったようです。っていうかリアクションが大きすぎませんか?何か当てられなかった私が悪いみたいじゃないですか!
え~~っと、雑草さんが葉っぱをユラユラさせます。
「え~~っと、だ、ダンスかな?」
ガ~~ン!
葉っぱを合わせてクンクン・・・ピャ!
「えっと・・・・あ!魚釣り!」
ピカ~~!ニカッ!
おお、合っていた様です!
その後も、一つ一つ雑草さんと何々当てクイズで遊んで、あ、いえいえ、理解しようとして、どうにか種の木さんが言いたいことが理解出来ました。
「う~~んと、つまり、海から邪魔者が来るのね?」
雑草さんは皆で大きくうんうんと頷きます。ほんっとに邪魔者という部分を言い当てるのに時間が掛かっちゃいましたよ!それはともかく、海からという所がすっごく気になっちゃいます。
「それってもしかして、お魚が獲れなくなった事にも関係する?」
コクコクと雑草さん達が頷きます。
むぅ、それは一大事なのです。お魚さんが獲れる量が激減したせいで、今まさに村は存亡の危機なのです。
お魚がなければお芋を食べればいいじゃないのでは済まないのです!お芋ばかりだと飽きるし、色々乙女の危機も訪れるのです!
「どうすればいいのか解りますか?」
雑草さん達はコクコク頷きますね。だいたい、何がやってくるかも解らない私には対処のしようもないのです。ここは、ダチョウの思いで知恵を借りましょう。でも、なぜダチョウの思いなのでしょうか、微かに記憶している日本語は難しいですよね。