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2-7:桃栗三年謎種三月?

な~つが来~た、な~つが来~た、どこに~きた~

るんるん小躍りイツキさんです。暖かいのは素晴らしい事だと本当に実感しちゃいます。

お父様が作ってくれたお家の外のベンチでぼ~~っと日向ぼっこしてると幸せを実感しちゃいます。


ほわ~~、お日様ぽっかぽかです。

お天気の良い日はこのベンチで日向ぼっこするのが私の最近のトレンドなのです。


お日様に当たっているとあっという間に時間が過ぎていくのです。不思議ですね~、それなのに体調は絶好調なのです。それに、先日はまったくぜんぜん緑の欠片すら見られなかったお家の庭も、いまではお花がいっぱい、その中心にはあっという間にわたしの背丈を抜き去っていった木が生えてます。


う~~む、何の木なのでしょうか?お家の真横にあるので、この~木何の木で気になっちゃう木だとお家が困った事になるので不安いっぱいなのですが。

大人達も何やら心配してましたけど、とりあえず様子見するみたいです。

成長の速い樹木は色々と使い道があるのですよね。


私の期待は木の実です。種から育ったのですから実が成るのは確定なのですよ!

種の大きさや形から考えると、みかんとか柑橘系の可能性が高いのです。

でも、残念ながら今の所は花が咲く気配は皆無なのです。むぅ、お楽しみは来年以降に持ち越されそうです。


先日お父さんに連れられてお出かけした森も、残念ながら木の実が出来そうな木は無かったですし、私とお話しできる木も無かったのです。もしかすると人族になって会話能力が無くなってしまった?って思いながら木を丁寧に見ていて気が付いたのですが、ここにある樹木はみ~~んなお見かけした事のない種類なのです。


つまり、私の一族では無いのですよね。きっとこれが意志疎通出来ない原因なのでしょう。

でも、スクスクお育ちのお庭の木も、見た事無いのですよね。

この子もやっぱり意志疎通出来ないのでしょうか?今の所は残念ながら意思があるようには感じられないので、これも来年以降に期待?


ぽ~~~としながら折角できた花壇?の花に如雨露でお水をあげます。

このお水は汲み置きしてあった飲み水を毎日交換する際に分けてもらうのです。

ちなみに説明しておきますが、トイレは水洗ですよ?村の共同トイレが海際にあるのです。

うん、みなさんすでにお気づきの通り自然還元されるのです!

私はまだオマルですけどね!海にドボンしたら泳げないですから!


「ぶるんぶるんぶるん、はらちりがらとろぶるん♪」


楽しくお歌を歌いながらお水を上げると、お花たちも嬉しそうに体を揺すります。


「はやく甘いお水が出せるようになるんだよ~」


そうです、時々お花を茎からとって、その茎を舐めてるのです。

不思議な事に日に日に甘くなっている気がするのです。それに、毟ったお花も次の日には新たな芽を出して元気に育っているのです。植物って逞しいですね!


お水を上げ終えると、目の前にある一番大きく育った草を毟って、折れた茎をチューチュー吸うのです。


「あまあま♪あまあま♪」


ベンチに座って甘い植物を口に咥えて、お日様に当たってポカポカで、うん、幸せです~~。

やっぱり今生は味覚があるのが大きいのです!ごはん最高です!前世ではみんなが美味しい物食べてても、ましてやせっかく私に供えられた食べ物なんかも味見すら出来なかったのです!


「むふ~~~」


幸せ気分に浸りながらこのままベンチでまたお昼寝しようかなって思ってたら、何か視界の隅で動く物が有りました。


「んん?」


ご近所のお子様達が、お隣の家に隠れながらこちらを覗いています。思わず目が合っちゃいました。

しばらくあちらで子供達がごにょごにょして、その内数人がこちらを指さしています。

なんなのでしょうか?茎をまだまだ発達の遅い乳歯でガジガジ噛みながら眺めていると、何やらみんな連れ立ってこちらに来ますね。


「なぁ、お前なに食ってるんだ?」


集まって来たのは男の子が5人、一番大きい子は何歳くらいなんでしょう?小学校5、6年?うん、よく解りませんね。もともと小学生と縁が薄かったですからね~。

ともかく、質問されたので答えておきましょう。っと花壇のお花を指さします。

ただ、私は平和ボケしていたのでしょう。長らく平穏に包まれ過ぎていたのでしょう。私が指さした先を見たその子供は、唐突に予想もしていない暴挙にでたのです!


わたしが丹精込めて育て上げた、大事な大事な花壇の花を、許可なく勝手に毟って口にしたのです!


「うわ、甘いぞこれ!すっげ~美味い」


「え?ほんと?」


「甘いの!?」


子供達は最初の子供の言葉に釣られ、またもや一切の許可なく花壇の花を毟り始めました。


「すげ~、あまいぞ」


次々にお花は毟られていきます。え?何が起きているのですか?


「ふぎゃ~~~~!」


子供達のその挙動に呆然としていた私は、どんどんと荒される花壇を見て絶叫を上げてしまいました!

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