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1-9:え?なんでまだ70年目なんですか?

ふみゅ~~むにゅむにゅ・・・Zzzzz


カンカンカンカン!


ふぎゃ~~~、な、何事ですか!火事ですか!

突然の音に、驚き飛び起きた樹です。あ、御無沙汰・・・ですか?あれ?まだ70年のようですよ?

えっと、キツツキさんなんで起こすのですか?普段だとまだ寝てていい時期ですよね?

まだ初夏ですよ?秋の実りには早いですよ?


わたしの抗議の声もいっさいスルーでキツツキさんは飛び立ちます。

あ、あの、なんで起こしたのですか~っと問いかけようとすると、先程までキツツキさんのいた場所にオオワシさんが降り立ちました。


うわ~~すっごく嫌な予感がします。


えっと、どのようなご用件でしょうか?

何か不備がございましたでしょうか?


オオワシさんにおそるおそるお伺いを立てます。だって、あの爪見てください、あの鋭い嘴だって、怖いじゃないですか。


すると、大鷲さんがなにか甲高い声でお鳴きになります。え~~っと、てへ?ごめんなさい、相変わらず何を言ってるかわかりませんよ?


わたしがそんな思いで見ていると、オオワシさんが激しく突っつきます。


うわ~~ん、仕方がないじゃないですか!あ、駄目です、禿げちゃいます!痛い・・・あ、痛みは無いですね・・・痛覚がないのでしょうか?


一頻り突っつかれたあと、そこにリスさんが来て身振り手振りで何かを伝えようとしてくれます。


まじめに、なんでリスがこんなに頭が良いのでしょうか?貴方達、動物さんですよね?


そのしぐさによると、実がまた足りなくなったから作れってことでしょうか?

あの、わたし実の製造機ではないのですけど、そもそも秋まで待てないのでしょうか?


え?んんっと、何か実を食べると頭が爆発する、あ、違います?えっと毛が、え?あ、角が生えるのですか?え?角が生えるといい事が有るのですか?


ん~よくわかりません、わたしがはじめてお会いした動物さんにもすでに角があったような?

っていうか、角の無い動物さん見た事ないですよ?


え?角が生えるじゃないのですか?ん?わたしと実をたして、オオワシさんですか?

どういう意味でしょうか?


よく解りません、ただ、一応少し休んでたので実を付けるだけの気力はあります。これはさっさと実を作って寝ましょうか。


◆◆◆


「なんだと?第12調査隊が帰還した?予定より大分早い帰還だな」


「は、パットン隊長がお見えになり、先程より司令官との面会を希望されております」


「ふむ、解った。ここへ案内してきてくれ。あと、調査隊の人員に欠落はないのだな?」


「は、そのような報告は受けておりません」


「うむ、わかった」


そう言うと、この外地調査団司令官ロマリエは書類の処理を再開した。

しかし、先程までの速度はなく、書類の内容を確認しながらも調査隊の帰還した内容に思いを走らせていた。


「どこか植民地にする事が可能な場所でも見つけたか?いや、まさかな」


そう呟くと目の前にある書類にサインを走らせる。

その書類には、旱魃の続く北方において多数の死者が出たとの報告が書かれていた。


「救援してやりたくとも、食料がない。この首都ですら不足して居るのだ」


そして、その対策、救援を求める要望書であったが、サインのあと書類には”検討”と大きく書かれた捺印が押される。

検討の後、何かしらの支援が行われる可能性は極めて低かった。


そして、その後2件の案件を処理した時、ドアをノックする音が聞こえた。


「第12調査隊、パットンご報告の為まいりました」


「入れ」


ロマリエの指示を受け、まだ旅装を解くことなくホコリっぽい服装のパットンと、その副官であるミランダが執務室へと入ってきた。

その背後では、副官兼執事であるアーサーがそのホコリっぽさに顔を顰めていた。

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