1-92:81年目の夏です
暑いですね~思いっきり夏ですね!
でも、蝉がいないので夏を感じるのは日差しの強さだけですね!
そんな中、早期警戒網を順調に拡大中の樹です!
先日の反省を踏まえ、各地に子供達を拡散させることにしました。
ただ、今までと違うのは鳥さんや、動物さん達に木の実が食べられる、その後消化されずに種だけ排出される。そうです、まったくもってごく自然な流れの中での種の拡散方法です!
更には、子供達に擬態させる事を覚えさせました。
一見すると他の木と変わんないよね?って感じです。ふふふ、わたしの子供と解らなければ襲われる事も無いのです!
ただ、問題は普通の木でも燃料代わりに伐られちゃうかもなのです!
そこで、桃栗作戦なのですよ!
ほら、桃栗3年柿八年って言いますよね?昔おばあちゃんにそんなお話を聞いた覚えがあります。
続きは・・・柚子の馬鹿目は18年でしたっけ?まぁいいです、とにかく柿の木に擬態すれば8年は生き延びられるのです!
とにかく、みんな柿の木になるのですよ!
・・・・あれ?みんなの反応が有りません。
えっと、どうしたのです?え?柿の木ってどんなんだですか?
知らないですよ?前世でも柿の木ってじっくり見た事無いですもん、こっちの世界には無いのですか?
聞いたことが無いですか、これは困りましたね・・・・・・そ、そうだ!
ほら、人族さんが森の傍に林檎の木を植えたじゃないですか!
とりあえず、あの林檎の木に擬態しましょう!目の前に実物が有れば問題解決です、すごいですよ!さすがわたしです!
という事で、そこらじゅうに林檎の木が増えたのでした!
そんな状況で、渡り鳥さん達が主に主役として活躍してくれました。
ただ問題は、人が多く住む場所では鳥さん達が狙われるそうなのです。餓えたところにタンパク源ですからね、うんうん、よく解ります。
ただ、わたしは転んでも、そのまま這いずり回るだろう樹さんですよ!
その後の発想が今までと、当社比で1.5倍くらい違うのです!
鳥さんや動物さん達に主に運んでもらったのは綿毛型木の実さんなのです。
これによって、この子達が大きくなると周辺に思いっきり種付木の実をばらまく事が可能になりました。
ふふふ、これで問題の幾つかは解決したようなものです。
さらには、各拠点での戦力確保です!問題は、子供達の成長速度を考えても数年は掛かる事でしょうか?
・・・数年?う~んとすぐでしたね、寝てれば一瞬ですね!何を心配してたのでしょう?
でも、先日の様な暴挙は許されません!人族同士で関係ないとはいえ、弱い者達が被害に会う光景は、見てて気分が悪くなります。もし、わたしが動けたら、えいや!って倒しちゃうのですよ?
だいたい、先日の国はどうなっているんでしょう?自国であのような狼藉を認めるのでしょうか?まったく、困った者ですね。
とにかく、先日の様な事を繰り返さない為にも騒動の元凶たちがいる場所の特定です。
あれだけの集団が動いたのです、そこらじゅうに痕跡が残ってます。
この痕跡を辿れば元凶に辿り着く・・・そんな風に思った頃もありました。
いえ、痕跡はいっぱいあるらしいのですよ?
狼さん達曰く、匂いを辿る事もすっごく容易らしいのです。ただ、あまりに方向がバラバラなのでどっちへ行けば良いのか決まらないみたいです。
早期警戒網も稼働するまでに1年くらいかかりますからね~それくらい育たないとリンクできないのですよね~、これも年単位での計画になりそうです。
とにかく子供達をばら撒きましょう。それからの事は子供達に任せちゃいましょう。
そう言っている傍から何か問題が起きているようです?
狼さんどうしました?え~~っと、よく解らないのですけど?
わたしが狼さんのふりふり尻尾のボディーランゲッジに気を取られてしまったのは仕方がないと思います。
結局、何が言いたいか解らなかったのですが、わたしの心はすっごく癒されました。
その後、エルフっ子セカンド(勝手にわたしが命名)がやってきて、目と目で通じ合っちゃったのです!
子供達同等くらいに考えている事が解るのは不思議ですね。
そして、結局狼さんが何を言いたかったかというと・・・そうですか、疫病ですね。
そりゃぁ死体がゴロゴロしてますからね、動物さん達も全部食べる訳ないですし、元々美味しくないって言ってましたしね。で、埋めたり焼いたりする労力も、燃料もない、放置、腐って病原菌発生、拡散しそう?
でも、わたしにそれをどうしろと言うのでしょう?
そもそも、現場とここは離れすぎですよ?事件は現場で起きているのですよ?
わたしは理解のある上司ですから、どこかの石頭さん達と違って現場判断で頑張ってね?
な、なんですか、そのすっごく醒めた眼差しは!ちょっと!狼さんなんでそこで溜息つくんですか!
少しは貴方達も自分で考えるのです!何時までもわたしに頼っていては成長しませんよ!
べ、別に良い案が浮かばない訳じゃないんだからね!