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1-96:81年目の春です

まさに時代が変わろうとしている事を、多くの者達が気づき始めたのはこの時なのかもしれない。

神国による遠征で、弱い者達が多くの犠牲を払った。

どの国も集計する事が出来ない為、実際の死者の数がどれくらいになるのか、数十万規模になるのだろう。

これは、優に小国の人口に匹敵した。ただ、それだけの犠牲を払いながらも、結局の所、魔の森へと遠征軍が辿り着くどころか、当初の目的であるフランツ王国の占領すら失敗に終わる。


一時はフランツ王国の王都へとあと一歩という所まで攻め込んだ遠征軍は、王都防衛戦にて大敗を喫した。

さらには、収奪目標である王都以南においても、占拠どころか壊滅の憂き目を見る。

その中心となったのが、角付の亜人達、魔獣達、そして神樹の存在であった。

又、誰もがその事を隠す事無く、逆に大々的に喧伝するようになる。


神樹があるかぎり攻める事は不可能、または採算が合わない。

各国の首脳陣たちが、そう判断を下すまでにそれ程時間が掛からない。小国家においては、逆になんとか神樹を自国で手に入れる事が出来ないかを模索しはじめている。


そして多大な損害を受けたフランツ王国では、現在多数の角付を見かけるようになった。

又、その異形の者達に対しフランツ王国の民衆たちは、諸手を上げて彼らを歓迎したのだ。

そもそも出自が変わったわけではない。多少見た目が変わった事と以前に比べ言動に変化はあったのだが、今までの記憶もしっかりと持っている。そして、逆に性格は穏やかになっている、この御蔭で友好的な関係を構築する事ができたのだ。

もっとも、この遠征における虐殺、略奪の記憶が強く、逆に自分達を守ってくれた亜人達に対して友好にならない方がおかしいとも言えるだろう。

ましてや、先の戦いで神樹によって亜人の数が劇的に拡大したのだから。


神樹によって侵略者達が次々と痙攣を起こし倒れていく中、あたりまえではあるが昔からこの街に住む者達も同様に、神樹から放たれる何らかの分泌液や匂いによって呼吸困難、痙攣などの症状を発生させ倒れていった。しかし、侵略者達と大きく違った点が存在した。

倒れた住民達の下に、次々と人型木の実達が現れ、自らのを犠牲にして救助活動を行ったのだ。

そして、最終的に侵略者達の殆どが命を落とす中、住民たちは誰一人として命を失うことがなかった。


その後、亜人へと姿を変えた者達と、神樹の影響を受けることなく生きながらえた者達が生まれるが、その頃には王都に住む者達より王都防衛戦のおおいに誇張された情報が次々に広まってきていた。

この為、街の者達は亜人へと姿を変えた者達を一所懸命介護し変態期を無事に越えたのだった。


◆◆◆


むふぅ♪あの餓鬼?なにあの蛮族!って感じの連中を撃退に成功したのです!

樹はやはりすごいのです!褒めて良いのですよ?崇めて良いのですよ?

動物さん達には遠慮しなくて良いのですよ?っと親切にお話したのですけど、なんか反応が今一、今二でした。・・・・なぜ?


それにしてもあの連中を見ていると、人の罪深い業の様な物を感じませんか?

どうして人は欲望のままにあのような事を繰り返すのでしょう。自分より弱ければ何をしても良いと思っているのでしょうか?

全ての者達に問題がある訳ではないのは解るのですが、感情的にはちょっとね~という感じです。


ただ、今回の事で子供達みんなが臭気樹液防衛法?を身に着けた。

ただ、子供達も自分達の生死が掛かった時以外はやりたくないみたいです。だって、あれすっごく臭いですよね、思わず葉っぱが萎れちゃうくらいですよ?

幸い数日もすれば臭気も薄れるので良いのですが、今回問題になったのは樹液の方です。

もう、なんと言いますか・・・・近づくな?触るな危険?

無害化するのにまだまだ時間が掛かりそうです。

でも、なんで樹液が掛かった侵略者達が煙を出しながら溶けていくのに、子供達は無事なのでしょう?

う~む、謎ですね。もっとも、自分でテストする気もないので放置ですが。


そして、動物さん達が戻ってきました。

もっと早く帰ってくるつもりだったようなのですが、残党狩り?ですっごく時間が掛かったようです。

子供達がいない場所の事は、情報が入らないですからね。

子供達もその事に気が付いて、今度の秋には方々に人型木の実さん達を送り込む予定みたいです。


それにしても・・・・狼さん、その口に咥えた籠の中にいる人族の子供の事なのですが、それ何ですか?


え、遠征土産ですか?駄目ですよ、拾った所に戻して来なさい!

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