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1-8:70年目は混沌と

うわ~~ん、ボッチの樹です!

え?今更ですか?う、う、だって、みんなが会話できるとは思ってなかったんだもん!


これから会話を勉強すればいいのでしょうか?

でも、どうやってもワンワンキャンキャンとしか聞こえない気がします。


動物達がバタバタとしている中、ここ数日わたしが何をしているかといえばせっせと実を作って地面に落としています。

わたしが落した実を、みんながせっせとどっかへ運んでいきます。

う~ん、あれをどうするのでしょう?


皆さん簡単に実を作れって言うのですが、自然の流れを無視して実を作るのってすっごい疲れるんですよ?

うちの子供達には作れないのかな?っと問いかけてみましたけど、無理!っていう気配が届きました。


むぅ、やっても見ないで無理とは、それこそ努力が足りない気がします。

きっと、昼寝の時間を削るのが嫌なんですね、それはわたしだって一緒なのに~~。


寝ていいですか?良いですよね?っと寝ようとすると、いつの間にか以前にわたしに穴をあけようとした魔王の手下のキツツキモドキさんがカンカン音を鳴らせて寝かせてくれないのです。


あなたいつからオオワシさんの手下になったのですか?


そうです、すべての指揮をとってるのはオオワシさんっぽいのです。


おかしいですね、オオワシって鳥ですからお馬鹿の代名詞ですよね?ほら、鳥頭って言うじゃないですか。

そんな事を思っていたら、オオワシさんに怒られました。


これは、虐めじゃないでしょうか?


そんな事を考えながら、暖かい日差しにうつらうつらしている?と、ウマさんが駆けてきます。


ん?ん?なんか皆さんの気配が突然緩和しましたよ?


えっとどうしたのでしょうか?おや?あ、リスさん!あ、あ、行ってしまいました。


ん?あ、ウシさん、どうしたのですか?え?ん?うん、相変わらずモーモー言われても解りませんね。

ただ、なんとなくお昼寝しても怒られない気配を感じます。


ふわぁ~~~~、皆さん、それではおやすみなさい。


◆◆◆


ミランダが狩ってきた兎を見て、調査隊の面々は顔を顰めていた。

この平原に動物がいる事は遠目に確認は出来ていた。

しかし、その動物に角が付いている事が問題となったのである。


「この角は魔物の証なのか?進化の過程で角や牙が生える生き物がいなくはないぞ?」


「確かに、一部の生き物には生来角が生えています。しかし、この兎は恐らくホーンラビットと呼ばれる魔物だと思います。もちろんわたしも見るのは初めてですが」


ミランダの指摘に、皆が半信半疑である事が解る。なぜなら、魔物など伝説やお伽噺でしか聞いたことのない生き物だからであった。


「まぁまて、そのように早急に結論を出すものではない。ましてや、この地にいるすべての生き物が魔物だとなぜ判る?」


隊長の言葉に、ミランダは空を見上げて指差したのだった。


「あれをご覧ください」


示された方向を見ると、そこには空を飛び数羽の鷲や大鷲といった姿が目についた。


「ふむ、鷲か?鷹か?どちらかわからんが、あれがどうかしたのか?」


「よく見てください。どの個体にも角があります」


そう言われ、よくよく目を凝らして見れば、確かに角があるように見えた。


「他にも、調査中に目についた生き物すべてに角があるように見えました。これは普通ではありません」


「ふむ、確かに普通ではないな」


「まずは一度調査を打ち切って本国へ帰還する事を提案します」


ミランダの言葉に、他の面々が顔を見合わせる。まだ、この地にきて一週間しか過ぎていない。

そして、大規模な調査隊を派遣した場合の安定した居留地も発見できていなかった。


「ふむ、当初の目標である水源をまだ見つけられていない。それであっても、君は撤収する事を薦めると?」


「はい、今我々が全滅すれば、この地が有る事すら本国に伝わらない可能性があります」


「いや、それは鳩をとばして「鳩が無事に辿り着いていればですよね?」」


随伴していた男が、言葉を発しようとしたのに被せるようにミランダは反対意見を告げる。

そして、そのミランダの表情は、他の面々とは一線を画して緊迫感を孕んでいた。


「ふむ、危険か?」


「はい、明日全滅したとしても私は驚きません」


「ふむ」


隊長はミランダの表情を見、しばらく思考に走った後決断をした。


「よし、引き上げるぞ。急いでテントを畳め、他の者は周囲の警戒は怠るな!」


そして、その一時間後には調査隊は撤退を始めた。

そして、その様子を無数の生き物たちがジッと観察していたが、調査隊の中にはそれに気が付くものはいなかった。

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