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暖かい光

 悲鳴は上げなかった。いや、上げられなかった。恐怖でのどが引きつってかすれたような息しか漏れてこなかったのだ。


「魔族の呪いをつかうということは、やはり魔族の手先か。何の目的で、王の森へ来た。」

 馬のような動物からおりたグライスと呼ばれていた眼鏡の男が、腰にさしてあった剣を抜きながら由香に近づいてきた。恐怖で、体に力が入らない由香は近づいてくるグライスをただ見つめることしかできなかった。

 剣先がのど元に突きつけられ、かすかな痛みとともに温かい液体が首筋を伝うのが感じられた。

「言え。何が狙いだ」

「グライス、城へ連れ帰る?もし、呪いをかけられてたんなら、といてもらわないとだめでしょ」

同じように長髪の男が、薙刀についた刃を自分に突きつけてくる。


(あれだ、頭が電波系のオタクなんだ。最悪だ。こんなオタク、まとめサイトでしか見たことないよ)


「あ…。わ、わたし…」


 なんか言わなきゃと必死で声を出す由香に、長髪の男は刃を引いた。

「グライス、たぶんビビっちゃって喋れないんじゃない?」

「…そうだな。」

グライスも剣を下げ、構える姿勢になった。いつでも、切れるように構えたようだった。

「わ、私は気づいたらここにいて。ホントに何にも知らなくて、どっちかっていうとポジションは町人だと思うから。2人の希望に添えるキャラではないです。」

電波な2人を刺激しないように、注意しながらそういうといぶかし気な顔をさらに曇らせた。自分が言った言葉が2人の望んだものではないとわかった。


「なんとしても、真意を話さないようだな。」

そういって、グライスが剣を振り上げようとしたとき由香と二人の間に突然突風が吹き抜け、グライスの剣が手から離れ地面に落ちた。

 由香は考える間もなくとっさに剣をつかんだ。すると、由香の握った剣を中心にまばゆい光があたりを包んだのだ。

 それは、春の木漏れ日のようなとても暖かい光だった。

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