第四章
第四章
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、
「……俺、最悪の別れ方した……。言いすぎた……」
「そんなことない。大丈夫。絶対、目覚めてくれる」
私はケイの手を取って力強くそう言った。本当は私だって不安だった。だけど、レイなら、あの強いレイなら大丈夫。きっと、帰って来てくれる。
「ユリ……」
「大丈夫。仲直りできるはずだよ、私たち」
私は忘れてない。私の秘密を話した後の、あの顔。『怜華』という人間に私は恋をしたの。上手くいかないすれ違いの私たちだったけど、全ての秘密がなくなった今、私たちは待ってる。
目を覚まして、レイ。ケイだって、レイの目覚めをこんなにも待ってる。
「レイ……」
ケイは、病室のベッドに横たわるレイを力なく、優しく呼んだ。
「目を開けて……」
呼吸器に繋がれているレイ。目が薄らとだけ開いてる。花壇の土の上に落ちたから、一命を取り留めることはできたけど、未だ意識が戻らない。いつ戻るのかもわからない。ずっとずっと、眠り続けてる眠り姫。
ゴロン……。
「あっ!?」
レイの顔が一瞬だけ私たちの方を向いた気がした。だけど、それだけだった。
「レイ……、待ってるんだからね」
私とケイはぎゅっとお互いでお互いの手を握り合った。
神様、お願いします。レイを、起して。
薄らと開いた目から、レイは確かに2人を見ていた。2人の、繋がれた手を。
ありがとうございました。