Color
当たり前を当たり前の様に生きる日常が、何だかとてもつまらなかった。
そしてそれをつまらないと感じる自分を、もっとつまらなく思った。
全てがモノクロに見えて、何を話しても何を聞いても刺激もクソもない。
こんな世界生きていても何の意味もないんだと、そう思いながら死ぬに死ねずに今まで生きてきた。
けれどふとした瞬間に思った。
世界は、こんなに淡い光に包まれていただろうか?
冬が去って春が来て、出会いと別れを繰り返す春は一番嫌いな季節だった筈なのに。
春一番の風が吹いて木々がざわめき、桜が散る。
その散った花弁達は、役目を終えるかのようにゆっくり、踊るように落ちていった。
モノクロだった世界にはオレンジ色の光が差し、太陽が木々の間からこぼれて、
さっきまで灰色だった桜の花は、淡いピンク色をしていた。
まるで世界が変わったようだ。
これは気分屋な神様からのプレゼントなのだろうか。
だとしたら感謝しなくてはならないね。
おかげで俺は、もう少しだけ生きられそうだ。
さぁ
色の溢れた世界に歩み出そう。
はじめの一歩。踏み出した。