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33話 お姫様

 見守るって言ったじゃん?

 眼下には死屍累々、黒焦げの盗賊たちの死体があった。

 ドーラのひと吹きでこれだよ、別に彼らが何をしたわけじゃないが危険は芽が出る前に刈り取る主義というか。

 最近じゃ人間なんて餌ぐらいにしか思っていないらしいのでこんなことになったんだとか。


「あーあ、みんな炭になってんな」

「むむ、すまないソータ殿」

「いやまあ、仕方ないしな、金目のものだけもらってさっさと行くか」


 オレは地面に転がっている黒焦げの炭の体に光る、半分溶けかけの貴金属を剥ぎ取り始めた……取りにくいな、金とかが溶けて隅にべっとりくっついてやがる。


「マスター、あの、壁の向こうに生命反応アリです」


 ブルームが部屋の一方を指差した。どうやら生存者がいたらしい、食えるかな?

 すかさずドーラが壁に拳を突き刺し力任せに壁をぶち破る――――そこに居たのは……。


「女か、しかも格好からしてかなり身分高そうだな、おい」


 どっかのお姫様みたいな奴がロープでぐるぐる巻きにされて寝ていた。それにしても縛り方が雑だな、半分解けている。


「ふむ、ソータ殿コヤツはどうするのだ? 食うか?」

「いやいや、……ニンゲン、トモダチ、エサ、チガウ」

「違うのか」

「ああ、盗賊とか悪党はいいけど善人そうなのは食っても苦いだけだ」


 味なんか知らんが元ニンゲンなオレの良心がコイツはダメだと言っている。


「お兄ちゃん、この奥いっぱい食べ物あるよ?」


 イヴがそう言って壁の奥から果物や肉を抱えて来た、これならしばらくは大丈夫だろう。

 俺達は大量の食料とお姫様を盗賊たちの持っていた馬車に乗せ移動することにした。

 馬車はリーダーチェンジでイヴと交代したヴァイスが魔物化したブルーレギオン・ユニコーンの姿で牽引する事になった。

 馬車と言っても車輪のついたテント程度のものなのだが、山積みにした食料を背もたれにしてオレは寛いでいた。

 そばにはドーラとブルームが控えている。

 それとお姫様はというと――――しっかり縛り直して前に転がしてある、食べるのは気が引けたが、自由にする気は更々ない。


「うっ……くぅ……ここは?」


 おっと馬車の揺れで目覚めたようだ縛られたまま器用に体を起こしたぞ、腹筋とか背筋とか鍛えてんのかなこいつ。


「気がついたか」

「え? なにこれ? どういう状況?」

「ああ、まあアレだ盗賊のアジトに居たあんたをオレが拾ったそれだけだ、そんであんた、名前は?」

「え? クララだけど」


 ほう、それじゃそのまま立ち上がってみろよ。


「そんであんたどっから来たんだ? 事と次第によっては送り届けなくもないが」

「サンバリカ王国ですが……ここはどこなんですか?」

「あーオレも地理には詳しくないからやっぱり送るのはなかった事に」

「な、なんでですか! っていうかこの縄解いてください!」

「やだよ、解いたら逃げるじゃん、あんたは一応非常食なんだから、我慢してよね」


 脅したつもりはないがその一言でクララは黙り込んだ、こうしてオレらとこのお姫様の旅が始まったわけだよ。

果たして彼女は一体何話食べられずに済むのか!?



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