22話 偉大なる母
自分で言うのもなんですが、ナニコレ。
多分次回からはまた全裸の日々です。
クィール達を加えてさらに三日、オレ達はようやくドーラ達に追いついた――――らしい。
火山より北西に位置するここには、この大陸の海岸線が伸びてきておりそこに築かれた港町のようなものがあった、おそらくは魔族が作ったんだろうおかしな形をした建物がいくつも並んでいる。
オレ達は町に入らないようにしつつ、辺りをうろついていたのだが、急に雲行きが怪しくなってきた、さっきまで晴れていたはずの空に真っ黒な雷雲が立ち込めてきた。
「一雨来るか? 誰か俺の服になってくれないか?」
そういうとクィールがシャツ、シロがズボンにロネを靴、タイガがジャケット、ミライが刀になった。
「別に全員装備にならなくても……」
「万が一というやつですよご主人様」
心配性だな、みんな……ブルームがいないから物理無効化できないしな、注意に越したことはないか。
その時だ、天を裂くような二つの雄叫びが聞こえたのは――――これはドーラの! そしてもう一つは……イヴか?
なんであいつがこんなところに! オレは雄叫びの聞こえる方に急ぎ走り出した。
「我らグラドン党は母なる大地のために海を抹殺するのです!」
雄叫びの聞こえる方へ向かうと一人の女魔族がなにやら演説中だった。
その魔族の背後には魔物化したドーラの姿があった、普段とは違い朱色が濃くなっている気がする。
「いいや我々カイオウ党の母なる海を消させはしない! 滅びるのはキサマら大地の方だ! 母なる海に沈むがいい!」
反対側にいた気の強そうな女魔族が声を張り上げて、ドーラ側の魔族に対抗する……その背後には蒼い紋様が浮かぶ銀色の海龍、イヴが居た、遠巻きにヴァイスの姿も見え、その背後には見知らぬ魔物がいるがどうやらアレがイヴ達の集めた仲間らしい。
「イヴのやつも操られてんのか? アレ……」
「どうやらそうみたいですね」
クィールはそういうのが分かるのか?
とりあえずあいつらをどうにかして止めないとだな――――この時オレに妙案が思い浮かんだ。
後に、なんであんな事口走ったのかと思うほど馬鹿な話なのだが。
「おい、お前ら! さっきから言いたい放題だな! 母なるが云々行っていたようだが、真の母なるものがなんだか忘れちゃいないか!?」
「だ、誰です!?」
ドーラ側の魔族がキョロキョロしだす、それに釣られて。
「どこだ! どこにいる!?」
イヴ側もざわめき出す。
「上だ! 馬鹿者共!」
オレは魔物化したクィールの背に乗り空を飛んでいた、いや別に母なる空とかいう訳ではない。
地上にいるすべての魔族がオレを見上げた、無論ドーラやイヴ、ヴァイス達もだ。
「お前らはさっき大地や海が、お前たちを生み出したといったな? しかしそれは本当にそうなのか? お前らは土の中や水の中から生まれてきたっていうのか? 違うだろう!? お前らの母はなんだ!? 母親ではないのか! 真なる母、それは自身の生みの親……母親に相違ないだろう!?」
お母さん、生き物なら誰だって居るはずだ――――さてどうなることか。
「おかあさん? お母さん!」
「そうだ、母なる母、マザー・オブ・マザー!」
おう、魔族のあちらこちらで母親を称える叫びが聞こえる、あの演説してた女魔族たちですらそうだ。
オレはこの混乱に乗じて、ドーラとイヴを装備かし、ヴァイス達がいる方向へ飛び去った、それを見たヴァイス達はオレ達を追って走ってくる詳しい事情は後だ今は逃走あるのみ。




