13話 イヴ奪還
そして、翌日、オレ達は再び広場にやってきたんだが、遅かった――――。
広場には大勢の人間がごった返していた。
「皆の者静粛に――――これよりアウトリガ王国、第一王子ユニック王子とその妃となられる、イヴ王女の結婚の儀を――――」
いやいや、お披露目じゃねぇのかよ!
つか、結婚の儀って普通こんな衆目の場でやらないだろう。
そんな事を気にしていたら、その王子と……イヴが現れた。
よし、ちゃんとクィールとトワも着用している。
オレはイヴに呼びかけるため叫ぼうとしたその時。
「待つが良い、主よ、あの娘……何やら術をかけられているようだぞ?自由を奪われている」
「何?」
「今呼びかけても無駄という事だ、呼んだところで反応はできないし、ましてやこの衆目に晒されることになる、それは避けたほうが良いのではないか?」
確かに、呼びかけても反応がない上に、今叫べば、怪しまれるというか逃げづらくなる。
どうすれば――――何か方法は無いかと考えているうちに婚儀は進められ。
「では、新郎新婦による誓の口づけを――――」
「ちょっと待ったァァァ!」
オレはさっき言っていた事など忘れて、王子とイヴのいる広場の中央に飛び出していった、ララの靴を履いたオレならば余裕で跳べる距離だ。
「その儀式ちょっと待った」
その言葉に王子があからさまに不機嫌な顔をする。
「貴様、何者だ」
その王子の言葉をオレは無視して、イヴの肩に触れる、イヴはオレの方を見てくるが、やはり正気ではないようで目が虚ろだ。
「おい、貴様!余の花嫁に何をする気だ!」
王子がオレに掴みかかってくるが構いはしない。
「イヴ、クィール、トワ、魔物化しろ」
通常ならば自分の意思でできるだろうが、オレが直接触れることで魔物化させることも可能だ。
まずトワとクィールが魔物化して空に舞い上がる、勿論この段階でイヴは全裸になる、衆目の前で、王子も目を丸くしている。
そして次にイヴが魔物化し始める、イヴはそもそも大陸を一周できるほどの全長があるためこんなところで元に戻ったりしたら――――。
イヴの巨体に潰され悲鳴をあげていくニンゲン、オレはイヴの背中に素早く飛びつき、難を逃れる。
王子やらその護衛の騎士、売り子の少女とか城とか全てを巻き込みうねる様にして巨大化するイヴ。
この日、一つの国が滅びたという、下手をすると大陸全部が沈む恐れもあった為、オレは途中でイヴを人化させることにした。
瓦礫の山と化した広場は、そこらじゅう血みどろで、真っ赤に染まっていた。
オレはこの光景を見て確信した……自分はもうニンゲンではないのだ。




