イケメン妖怪ハンターリックの冒険(役所編)
リックは古今無双のスケベな妖怪ハンターです。
前回はそのスケベ心のせいで危うく命を落とすところを助かりました。
本当は頻尿だったのが幸いしたのは内緒です。
妖怪の住処だった家を脱出したリックと愛妻の遊魔は、妖怪の仲間達に取り囲まれましたが、
「おお! よく見たら、カワイコちゃん達にゃん!」
妖怪の幻術に騙されたリックが飛び掛ってしまい、
「お前様!」
遊魔の嫉妬満載の踵落としと真空飛び膝蹴りが炸裂しまくり、見事に妖怪退治を成し遂げてしまいました。
「遊魔、さすが僕の愛妻だにゃん。よく僕の囮作戦を気づいてくれたにゃんね」
リックは背中に嫌な汗、そして股間に生温かいものを感じながら言いました。
「お前様のためなら、遊魔はいくらでも頑張れます」
遊魔の健気な一言にリックは欲情してしまいました。
「遊魔、可愛いにゃん!」
「お前様!」
こうして、数百匹いる子猫が鼠算式に増え、千匹を超えました。
「お前様、遊魔は嬉しゅうございます」
遊魔はリックに愛されている喜びを感じていました。
(これでしばらく遊魔は大丈夫にゃん)
リックはすでに浮気を画策していました。
山を降りて宿屋に戻った二人は、村の役所から呼び出されました。
「きっと、妖怪退治の報奨金を貰えるにゃん」
リックはニヤニヤしながら役所に行きました。
「お前様、遊魔は嫌な予感が致します」
遊魔が止めるのも聞かずにリックは一人で役所に入って行きました。
(こういうところにもカワイコちゃんがたくさんいるにゃんよ)
報奨金で可愛い子を釣り、あんな事やそんな事をしようと企むリックです。
「妖怪ハンターのリックにゃん。呼ばれたので出向きましたにゃん」
リックは入口に立っている番兵に告げました。
「お待ちしておりました」
リックは番兵の案内で役所の奥に通されました。
「おお!」
奥へと続く回廊の左右に池があり、そこで美女達が水遊びをしています。
しかも、ほとんど衣を着ていません。今流に言うと、水着姿です。
(ここのお役所はパラダイスだにゃん)
リックの鼻の下は顎の下まで伸びそうです。
普通に考えて、役所に水着美女がいるのはおかしいです。
でも、エロい妄想が頭の中を占めているリックにはそんな疑問は全く湧きません。
(もう我慢できないにゃん、報奨金よりお姉ちゃんだにゃん!)
リックは回廊から飛び出して、美女達に駆け寄りました。
「僕と遊ぼうにゃん、おねいさーん!」
思わず叫んでしまった言葉により、子猫の術が発動しました。
たくさんの子猫が遊魔の胸当てから現れ、役所の中の池に飛来しました。
「きゃああ!」
美女達は子猫達のエロ攻撃に遭い、正体を見せました。
「ぎえ!」
リックは飛びつこうと思った美女が実は妖怪だったので驚いて立ち止まりました。
「おのれ、見抜きおったか、猫如きが!」
番兵も妖怪でした。耳まで裂けた口から炎を吐き出し、リックに襲いかかりました。
「お前様!」
そこへ宙返りして空から舞い降りた遊魔の渾身の踵落としが炸裂し、番兵だった妖怪は砕け散りました。
(この村全体が妖怪の巣窟だったにゃん……)
リックはまとまって襲いかかってきた美女とは程遠い妖怪達を睨みつけ、
「よくも騙したにゃんね!」
怒りを爆発させて、紅蓮の炎を使い、焼き尽くしました。
「ひいい!」
反対側にいた妖怪達はリック夫妻の強さに驚き、逃げてしまいました。
「あ……」
リックは池の片隅に落ちていた小さな靴を見つけました。
(子供の靴にゃん。あいつらが食ったにゃんね)
リックはその靴を地面に穴を掘って埋め、手を合わせました。
遊魔は感動して涙ぐみ、手を合わせました。
(きっと可愛い子だったにゃん。会えなくて残念だったにゃん)
リックは心の中でそう思っていました。際限のないスケベです。
まだ続きかも知れません。