表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost memory  作者: ぴかちゅう
第一章
6/15

友達

 学校に着き教室へと向かっていると、なぜだろう教室の方が騒がしいのが廊下からでも窺えた。教室に入ると昨日まで話すことがなかった女子と男子が仲よさげに話している姿が目に映る。

「おはよう」

 聞き覚えのある声が発せられたほうを向くとそこには十五夜(とおや)がいた。

「おはよう、今日はみんな仲よさげだけどなにかあったのか」

 こういったことは情報通の十五夜に聞くのが一番だ。

「あぁ、昨日LINEで話が盛り上がってたからその影響だろう、蓮も誰かと話してきたらどうだ」

 案の定予想していた答えが返ってきたわけだが追加の質問は予想外だった、もちろんその質問に応えてやる気はない、というよりも応えてやれる自身がない。

 この学校に入学してまともに喋ることができるのは十五夜くらいだ、それは俺の人見知りな性格が原因だということはわかってるのだがどうにも性格を変えるのは難しい、できればクラスの人全員と話せるようになりたいもんだがそんな日が訪れるのはおそらくずいぶん先のことだろう。せめて葉月さんとは仲良くなりたいもんだが……

 いかん俺としたことが変なことを考えてしまった。

「俺の性格的にそういうことは無理って十五夜も知ってるだろ」

 十五夜は俺と打って変わって誰にでも話しかけられる様な性格だからおそらく俺の苦労など知りもしないのだろう。

 しかし俺と全く違った性格な十五夜だったからこそこんなにも仲良くなれたのだと思う。

「それにしても今のままだとまずいと思うぞ、もう入学して結構日にちも経って仲の良いグループがいくつか形成されつつあるし、せめてどのグループかに入らないとこれからの高校生活も楽しくないだろう」

 たしかに十五夜の言ってることは間違ってはいない、ただそんなことができるのならとっくにやってる。

「そんなことが出来たら苦労はしないよ、まぁ俺は今のままでもいいかな」

 正直なところこのクラスはノリノリな奴が多くて俺にはどうにもついていけない気がする。

「そうか、まぁ仲良くなりたい人が見つかったら俺に言えよ、一人で話しかけるよりも俺と一緒に話しかけたほうが蓮も話しやすいだろ」

 な、なに!?ということは葉月さんとも……

 また俺は変なことを考えてしまった。だがこれはとてもありがたい話である。

「ありがとう、そのうちお世話になるよ」

 そんな話をしてるとチャイムが鳴りみんな慌てて席につく。と、同時にドアが開き先生が入ろうとした刹那、突然先生が俺の視界という画面から消えそこには息を切らしながら寝癖立った葉月さんが教室に入る光景へと変わった。

 なにが起きたかわからない状況に俺を含めクラスの全員が呆然としている。すると教室の外から消えたはずの先生の声が聞こえた。

「葉月、廊下を猛ダッシュして先生を突き飛ばすなんて朝から元気がいいな!」

 この発言により先程どうして先生が消えたのかがようやく理解出来た、そして先生がキレ気味な様子も窺える。というかまた葉月さんは遅刻ギリギリで登校してきて、まぁあんな時間まで起きてたら無理もないか。

「あはは、先生おはようございます……」

 この状況で普通に、とは言っていっても少し申し訳そうにだが挨拶するなんてやはりすごく勇気がある人だ、それかただの馬鹿なんだろうな。

 俺はなぜあの少女に恋心を抱いているのか自分でも不思議に思う。

「葉月……放課後職員室な」

 先生からの招集をかけられてしまった彼女はおそらく前に俺が体験した説教と生徒指導室で一時間立たされる地獄がまっているのだろう。

「ふぇぇ……私放課後大切な用事があるので無理ですよぉ」

 必死でこの招集を解消させようとする葉月さんの姿はとても可愛く癒やされる。

「ほぉ、大事な予定とな?してその用事とはなんだ言ってみろ、その答えに俺が納得出来たのなら明日に持ち越しとしておいてやろう」

 その用事が本当であれ嘘であれ絶対に説教はするという鬼畜発言に寒気がした。詰み将棋でいう王手ってやつだなこれは。

「えぇ~っと、そのーあれですよあれ、ね、わかるでしょ?」

 新手のあれあれ詐欺は先生に通用すること無く用事が嘘だとわかった先生はじゃあ今日の放課後職員室で待ってるからなと彼女の肩に手をポンッとおき教室へと入り教卓の前と向かう。

それに対して完全に論破されてしまった彼女は生きる希望をなくしたかのように自分の席へと向い椅子に座るのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ