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七色の精霊使い  作者: ぽけぽけさん
地球では高校生だったのに、異世界では異能者であり冒険者です。
9/12

特務依頼にGO!

今回は考える時間が少なかったのでつたない文章の可能性があります。

「待ってくれ!七色の精霊使い!」


気のせいだろうか、ここのギルドマスターに二つ名で呼ばれた気がする。振り返ってみると案の定、いや予想通り、いた。すごい焦っているような気がする。なんか急ぎごとでもあるのだろうか。


「どうかしましたか?それとも私に何かようですか?」


俺はきちんと目上の人には礼儀正しくする。親しい間柄でもないならなおさらだ。


「ワシの女房が病気にかかったのじゃ」

「―――詳しく話を聞かせろ」


ギルドマスターの妻といえば、『良妻賢母』という言葉が一番似合いそうな美人な人だ。

お世話になった回数も片手じゃ数え切れない。ギルドマスターの妻ということで物知りなので、薬草や食材のことなど詳しく教えてくれた。

そんな方なのに・・・病気か。何かまずい病気なのか?


「ワシの部屋に来てくれ。こっちじゃ」


そういうと二階への階段を上っていった。二階に上がるとすぐがギルドマスターの部屋だ。


「よし、行くぞ」

「・・・クエスト終了後に、また依頼?」

「いや、恩を売って悪いことは起こらないよ。情けは人のためならず、だ」

「その上ギルドマスターからの直々の依頼か。こりゃ、すげーことになりそうだ」


ギルドマスターの部屋だからといって、高級感あふれるつくりというわけではない。扉は木の扉だし、せいぜい清潔感あふれるつくりくらいだ。ギルドマスター曰く、家のつくりの隅から隅まで豪華絢爛にするのはバカ貴族がすることだ、だそうだ。

扉を開けると、一人の女性がベッドの上で心苦しそうに横になっていた。熱があるのか辛そうで、いつも見ていた笑顔と正反対だ。


「この方が・・・冒険者たち?・・・ああ、ヒュウガ君たちね。ふふ、ずいぶん可愛い子と一緒なのね」

「冬華が可愛いことは俺も分かっていることですから今は静かにしていてください。安静にしていることが一番ですから」


ところで、冬華が顔をトマトのように真っ赤にしているんだが・・・まあ、いいか。それとも可愛いって言われたのが気恥ずかしいのか?そんなもん自他共に気付いてるはずだけどな。


「病気、薬は効かないんですか?調薬に関しては随一を許さないほどでは?」

「この病気の治療薬の調薬は可能だが、何せその素材がない」

「へぇー、ここでも手に入ってない薬草がないのかー。それはなんて言うんだ」

「聖天草という極寒の地に生えるといわれている草だ」


ずいぶんとすごい名前だ。なんか、死者でも蘇るエリクサーみたいなもんか


「・・・その極寒の地とはどこでしょうか?」

「コキュートス山じゃ」

「・・・それって確か『針氷猛吹雪ニードルアイスブリザード』とか『棘森とげもり』って言われてる誰も近寄らない森じゃ?」

「ほーう、お主知っているのか」

「冬華です。『スノア』から来ました」


コキュートス。嘆きの川を意味し、ギリシア神話では地獄の最下層に流れる川だという。

この世界じゃそんな信仰はないだろうが、ヤバそうということくらいは分かる。


「なあ、その『コキュートス山』ってやばいとこなのか?」

「・・・うん。常にマイナス二、三十度だし、冷たいというか痛いから『針氷猛吹雪』とか『棘森』って言われてるの。『針氷猛吹雪』は吹雪が鋭い痛みを与えることから『棘森』は棘が刺さったように寒いからということからつけられたみたい」

「そりゃ、まずいな。だから俺たちか」

「そうだ。お前たちならその程度の寒さどうにかなるだろ」

「確かにな。他に情報あるか?」

「・・・あとは、ドラゴンが出る」

「竜が・・・か」

「伝説では『リンドヴルム』が出るといわれておるがな」

「「はあ!?」」


俺と翔の声が重なる。

リンドヴルム。聞いた事がある。文献でも読んだ。

この世界の北、南、東、西の山々には四大竜王と呼ばれる強大な竜がいるのだ。すなわち

北の青竜『リンドヴルム』

南の赤竜『スカーレットドラゴン』

東の緑竜『ヴリドラ』

西の黒竜『ニーズへッグ』

この四体である。五十メートルを超える巨躯を持ち、絶対的力を持つ守護者。

戦うことすらおろかとも思えるこの竜の中で最強なのがリンドヴルムだ。


「あんた、俺たちを殺す気か?」

「何を言う?少し前にスカーレットドラゴンを倒してきた英雄が言うことなのか?」

「・・・・・・・・・ははっ」


あまりにも予想外に、笑いがこぼれた。


「ははははははははは!」

「まさかこんなに早く情報が回るなんてね。予想外だよ」

「・・・どういうこと?」

「その通りだよ。スカーレットドラゴンを倒してきたのさ。いくらか前にね」

「・・・もしかして、あれ?」


もしかしてとは、あのときの金貨のことか。そうだ、あの金貨の全てがスカーレットドラゴンの魔石を換金したものだよ。


「で、マジな話ですか。それは?」

[ああ、本当だ]

「・・・報酬はいくらだ」

「ワシの女房だ。白金貨二百は出す」

「よし、乗った」


交渉終了だ。


「いくらスカーレットドラゴンを倒したからとはいえ、リンドヴルムにでもあったら逃げろよ。死なれちゃ困るんだ」

「俺たちだって死ぬ気はありませんよ。まあ、その話を聞くかはわかりませんが」

「健闘を祈る。それと残り日数は三日だ」

「三日・・・ね。では頑張らせてもらうぞ」


俺たちはギルドマスターに礼をして、その場を立ち去った。




「・・・本当に行くつもり?」

「ああ、聖天草の情報はもう魔法によってインプットされてるから」


聖天草はコキュートス山の山頂にあるという。そもそも聖天草は薬草と言うものではなく、道具に近い存在だ。どんな怪我や病気を治す万能薬。いや、ただのエリクサーじゃん。


「準備はして行くぞ、長旅になるかもしれないからな」

「長旅・・・ねぇ。行き帰りはいつもと同じで行くとして・・・チョコとかで糖分とらなきゃならないな」

「・・・拠点とかどうするの?」

「そうだな。一日以内で帰ろう」

「んなむちゃくちゃなスケジュールだな」


むちゃくちゃでも仕方ない。一刻を争う状態なのだ。


「今日はコキュートス山に近いシラガミまで行くぞ」




山に登る。雪を踏みしめる音と話し声が森に響く。


「よーし、あとたったの十五キロだ」

「どこがたった!?十五キロはないだろ!」

「・・・寒くないだけマシ。これ、私の炎魔法がなければ間違いなく死んでる」

「確かに寒いよな・・・予想外だ」


そう、予想外だった。いつもならば風の精霊魔法でひとっとびなのだが、急に風の精霊たちが協力しなくなった。寒いから、だそうだ。


「これでもハイウォーク掛けてるんだよな」

「・・・走る速度は何倍にも増幅している。ホットルームは洞窟じゃないと、効果が薄い」

「俺たちはどっかのソリ引く犬かよ」

「決して元気じゃねぇけど」

「・・・話してる時間があるなら、進んだほうがいい」

「そうだな、行くぞ」


ハイウォークの効果は全身に推進力をかける魔法だ。そこに氷属精霊魔法をかけることによって、深い雪道がスケート場のようにつるつる滑るようになり、魔力が尽きるまで永久に進んでいける。


「見てよ、この華麗なトリプルアクセル」

「違う!宙に浮かんでるし!それトリプルアクセルじゃない!」

「そして続けてイナバウアー」

「それマトリックスにしか見えないから!?」

「(ゴキッ)あ、ヤベ!背中がゴキっていった!?痛ェェェ―――!」

「ほら、言わんこっちゃない」

「大丈夫さ、ジョニー。どんな大怪我も、この『マッスルパワー』にかかれば一発さ」

「ジョニーって誰だよ!しかもその名前で回復はないだろ!?」


という馬鹿な会話を続けていると、遠くに町の影が見えてきた。もう空は夕暮れ黄昏を過ぎ夜へ変わっていた。


「あと少しだ・・・おっ、風の精霊魔法が使える。ちょっくら一っ飛びいくぜ!」

「いきなりか―――くぺっ!」

「加速途中で喋ると舌噛むぜ」


風の加護をまとわせ、ジェット噴射はともかくというスピードで丘を飛び立った。

そこには、男の歓声と、別の男の悲鳴と、少女の無口があったという。




「・・・やっと着いた」

「到着ー」

「マッハ二ぐらいのスピードだったけどな」

「でも衝撃は打ち消したぞ」

「あんなぐるぐる視界が変わって耐えられると思ってんのか!つか一度何かにぶつかったよな!?」

「あー、あの時はやばかったな。翔の『サンド・ディスパーション』がなければ、ペッタンコにつぶれてたかもな」

「・・・今度からは安全運転で」


そんな会話を繰り広げつつも足を動かして前に進む。木で出来た家ばかりで、煙突からは煙がもくもく上に昇っていく。暖炉がないと、寒さに耐えられないのだろう。ここは日本で言う盆地のような場所で、風はないが冷気がこもっているようでぴりぴりする。


「ここが宿みたいだ」

「よし、入るか」

「・・・眠い」


眠いのはお互い様なのだが、ここは我慢する。まずは食事だ。


「いらっしゃい。・・・まあ、ずいぶんと若い子達ね。どこから来たのかしら?」

「『フェリア』から来ました」

「まあ、そんな遠くから!それじゃあ、寒かったでしょ。入って温かいものでもどうぞ」


二十台くらいの美人な女性に促されて店内に入っていく。どうやらウエイトレスのようだ。

席に座りとりあえずスープを頼んだ。とにかく温かい物が食べたい!


「スープです。どうぞ召し上がってください」

「ありがとうございます。・・・うわ、うまそうな匂いだ」

「これは・・・うまい!これじゃプロ顔負けだね」

「・・・おいしい」


翔と冬華がスープを一口すすり一言。煮込まれた肉と野菜の香ばしい香りに誘われ、俺も一口。


「・・・うまい」

「まさか日向まで唸らせるとは」


出されたスープを舌鼓し、二部屋取った。男女七歳で・・・なんだっけ?同衾どうたらこうたらと言う理由で、俺と翔で一部屋、冬華で一部屋だ。ベットにもぐりこむと、すぐさま夢の世界にもぐりこんでしまった。

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