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七色の精霊使い  作者: ぽけぽけさん
地球では高校生だったのに、異世界では異能者であり冒険者です。
7/12

戦闘開始

「ここが依頼である『ケルベロス』と『コカトリス』が出てくる森だ。ケロベロスはあっちの湖、コカトリスはあっちの山の辺りで住民に迷惑をかけているらしい」


俺はそう言って、正反対に存在する西の湖と東の山を交互に指した。

ここの森までの道はあえて描写しないでおく。ただひたすら風の精霊魔法で新幹線と同じくらいの速度(時速二百キロ弱)で飛び続けただけだからだ。途中の道のりで何があったと聞かれると細長竜タイプのドラゴンを素手でフルボッコしたり、空中狙撃手気分で空を飛ぶ魔物をレーザーで仕留めたりとなかなかハードなことをした位だ。


「よし、二手に分かれよう。俺と翔の男子ペアと冬華とマリアさんとレナの女子チームだ。異存は無いな?」

「・・・」「・・・」「・・・」←無言の圧力


異存、大ありそうだった。


「なんで、このパーティに不満を持つんだ?不安要素は何も無いはずだが」

「・・・分からないの?」

「なにその人をバカにした目は。オレの目は節穴じゃない」

「「節穴でしょ(だろ)」」

「否定なしかよ。しかも翔!お前までけなすってどういうことだ!」

「さあね。団員の気持ちにすら気づけな―――」

「きゃあああああ!」

「ぐほぁっ!!!」


冬華の攻撃を受け、盛大に吹っ飛ばされる翔。うーむ、翔は冬華にとっての禁句を言おうとしたのか?まあいいか。南無南無。


「・・・これじゃ、翔使い物にならねぇな」

「・・・いつもの回復魔法は?」

「やっちゃった本人が回復頼みかよ。・・・まあいい、あの魔法は他人回復は無理なんだ」

「・・・どうして?内臓破壊や全身骨折でも直ったよね」

「その状況を作った本人が言うなっつーの!まあ、なんかよくわかんないけど他人の時は緩慢なんだよな」

「それは契約や盟約を行っているからではないのか」


突然、割り込んできた声に驚く。振り向いた先では、マリアさんが深刻そうに顔を悩ませていた。


「精霊と契約を結ぶというのは王立で見かけたことがあったと思うのだが・・・」

「あー、あれですね。俺も見ました。王立図書館で目的の文献を探してたときに」

「・・・目的の文献?」

「ちょっと古い歴史書をね。どのくらいこの世界に異世界人が来たという記録を残した文献調査を」

「・・・ちょっ!それ秘密じゃ」

「大丈夫だ、トウカよ。もうお前たちがここの世界の住人じゃないことは聞いている」

「・・・そうなの」

「まあ、一応異世界人、しかも『ニホン』と名乗った異世界人は比較的多いらしい」

「・・・比較的?てことは」


冬華が息を呑む。


「そういうことになるな。決して異世界は一つじゃないってことだな」

「一体いくつあるのだろうな。さすがの私でも未知のことは知らないからな。っと話がずれたら」


コホンと一回咳払い。


「精霊との契約はかなり厳しいものだな。それが上級精霊となるとだ。

おそらくだが私から言うと彼の成長は著しすぎる。確かに君達の成長も傍から見れば異次元と言っていいかもしれないが、異世界人という取って置きのカードがある。それを越えるヒュウガ・・・。やはり上級精霊クラスと契約したのではないのか」

「分かりません。俺らはコカトリスを討伐するので。よし、冬華行くぞ」

「・・・わかった。じゃあまた」

「じゃあまたかしら」


俺たちはコカトリスの住む山に向かって歩いていく。


「何かと契約しているのは間違いなさそうだが・・・。何と契約しているのだ」


そんな台詞が聞こえたが、俺は聞こえなかったことにして歩いていった。




上級精霊?俺がそんな弱いものに手を出すかよ。出すなら最上級じゃねぇとな。






「よし、この辺りが被害にあってないとこか・・・。ここから先か、雄鶏とヘビの合成獣キメラは」


コカトリスの姿はある意味地球と同じである。と言っても実際いたわけじゃねぇから分からないけど基礎となる生き物は同じだ。

能力も石化させたり火を吹いたりすると至ってシンプル。

そもそも合成獣というのは、古代人の中二力の結晶と言える。始祖がバズズとされており、あとはグリフォンもマンティコアもパクリと言われている。合成獣の中で人気のある基礎となる生物はライオン、蛇もしくはドラゴン、そしてタカだ。

これらは、三大人気生物と呼ばれており、そして動物界の中で頂点の方に立っている。百獣の王と揶揄されるライオン、人を飲むほど大きな個体も存在する蛇(ドラゴンは日本に存在しない。ていうか地球に)、その蛇すら捕食する鷲。どうだい・・・かっこいいだろう。


「・・・中二」


グザザザザザザザザッ!!!

俺の心に工業用の釘打ち機が乱射された。


「なに言ってくれてんじゃい!」

「・・・中二病」

「『強い獣を合体させて最強の生物を生み出したい』という夢をバカにするつもりか!これはロマンだぞ。ロマンなんだ。男性が職後に巨乳裸エプロンの女性に『お帰りなさい。お風呂にします、ご飯にします?それともわ・た・し?』と言われたいのと同じなんだぞ!」

「・・・その基準がいまいち理解できないんだけど」

「この願望は・・・たとえドラゴ〇ボールを七つ集めてシェ〇ロン呼んでも叶えられないんだぞ!そのために俺は授業中に十万三千冊もの合成獣ノートを書き続けてきたんだ」

「・・・はい、とある魔術の禁〇目録みたいにやばそうなもの頭に溜め込んでおかないで―――って最近毎日のように授業で居眠り取ってたのに一心変えてまじめに取り組んだと思ったら違ったんかい!」

「そうだよ」

「・・・あっさり言うな、あっさり―――」

「―――そこ、切り株あるよ」

「・・・えっ?―――きゃ!」

「ったく、仕方ねぇ奴だな」


切り株に足を引っ掛けて前につんのめった冬華を抱きとめる。


「大丈夫か?」

「・・・う、うん助かった。ありがと」





などと顔を紅くして俯いている冬華とどっかの主人公になりきり、ポーカーフェイスを貫きながらも柔らかい体の感触と女の子特有の甘い香りにどきどきしている日向をよそに、正反対の湖付近ではレナとマリア、そしてなぜか翔が一緒に行動していた。


「トウカはヒュウガのことが好きなのだな。そうだろう、カケル?」

「はい、だいたい合ってます。残念ながらアイツ、鈍感な奴だから気づかないんですよ。彼女の好意にね」

「可哀想・・・」

「レナちゃんの言うとおりだよ。よーしよーし」

「子ども扱いするな!」

「うおっ!」


腰の剣の鯉口が切られ仰け反る。ふー危ない、危ない。


「他人の恋話も盛り上がるもんですね」

「確かに、な。そういえば二人は今頃なにをしているんだ。レナ『エレメンタル・ビュー』を頼む」

「了解」


『エレメンタル・ビュー』というのは補助系の精霊魔法だ。精霊の視界の傍受みたいなもので、他にもいろいろな精霊の感覚を手に入れられる。聴覚とか、嗅覚とか。


「えーと・・・抱き合ってる?」

「マジか!?」

「欲望は関係なく普通に転んだのを助けただけだと思う。ヒュウガがトウカを」

「クソッ!」

「けれど、ヒュウガの心音がかなり早い。無心を貫こうとはしているけど、どきどきしてる証拠」

「まあ、確かにな。あれだけの美人は俺たちの世界にすら珍しいくらいだしな。この世界の美人美少女の数が多すぎるだけだ」


この二人だって俺たちの世界の人間だったらおそらく類稀なる美貌の持ち主などと言われるだろう。もし二人が誘惑すればどんな男も落ちるんじゃねーの。


「このまま『トウカ、俺もう我慢できない!』っていう感じになってもいいと思うのだが」

「・・・それっていろいろと大丈夫なの」

「少なくともアイツは拒まないと思うぜ。惚れた女の弱みはやばい」

「・・・そういえば、かなり悪口とか攻撃とかしていたよね?」

「あれはあいつなりの愛情表現なんだ。過剰だけどな」


そんな会話を続けていると湖が見えてきた。澄み切った蒼の湖だ。光を受けてキラキラと輝く。湖を越えてくる風は心地よい。

討伐の依頼はここであっていたはず。けれど


「気配がない」

「同じく」

「足音すらないな」


森の中は不安の要素がいっぱいだ。

その一、夜目は人と桁違いと言う点だ。例えどんなに強くても寝込みを襲われたら魔物に狩られてしまう。

そのニ、迷いやすいと言うことだ。奥に迷えばもう最後、魔物のえさへ変わり果てる。

その三、森に住む魔物は集団で過ごすことが多い点。だからパーティで討伐の依頼を受けた方がいいのだ。

残念なことに、これらの心配は一切ない。昼夜関わらず魔法によって魔物の気配を感じられる。その気になればすぐさま時間を掛けずに森を抜けられる。実力に差がありすぎて魔物自体に恐怖を感じない。


「来たな」


複数の気配を感じる。総数三十近くだろうか。身を潜めて様子を見る。間違いなくケルベロスだ。

凶悪な顔、白い巨躯。そして長い尻尾。三つ首の犬。いや、大きさが二メートルに迫るので獅子か。一メートル位のも存在する。あれは子供か・・・。


「俺は接近して殲滅する。レナちゃんも来てくれ。マリアさんは遠くから魔法を撃ってください。できれば逃げ出す奴を優先に」

「分かった。行くぞ」


カウントダウン。3、2、1


「短期決戦だ。行くぞ」


俺は制御している魔力を開放する。その量は日向とまでは行かないけど、マリアさんですら軽く凌駕する量だ。他者を圧倒するほどまでの量。

ケロベロスもこの異常なまでの濃密な魔力に気づいてキョロキョロと三つ首の頭を上下左右にさまよわらせる。

どうやら、俺に気づいていないらしい。魔力による肉体強化。オレの周囲から二人の姿が消えた。






「お、始まったようだな」

「・・・そ、そうね」


ちょっとのどの奥に何かが突っかかったような冬華の返答。

・・・まだ、あのときのことを引きずっているのか。

いくら不可抗力とはいえ男に抱きつかれたのだ。こうなっても仕方ないか。


「それにしても手加減する気あるのか?ここまで翔の魔力を感じられるってアイツ全力じゃね。マリアさんとかの気配すら消えてるぜ」


意識を傾けても翔の魔力に集中してしまう。ったく、これだからアイツとの別行動は嫌だったんだよな。


「さてと・・・いくぜ」


もう、手前には大きな魔物の影が見えていた。いつもならば影を見る前に気配を感じるのだが、翔が魔力を開放している所為で分からないのだ。五里霧中とか曖昧とか、抽象的とかぼやけているという比ではない。感じれねぇんだよ。


「アーユーレディ?」

「・・・OK。ノープロブレム」


俺は魔力を開放した。






風と一体化したかのように、一気にケルベロスに接近。魔力による肉体強化でなせる業だ。疾風の速さの比ではない。


「集え――――――王剣」 


俺の能力は錬金術だ。金剛石の錬金術師と呼ばれているように、確かに空気中や地中の炭素や燃え尽きた消し炭からダイヤモンドを作り出すことは可能だ。およそ十万気圧ほどの圧力を掛けて錬金した金剛石よりも、強い攻撃は俺のパートに数多く存在する。その中のひとつが王剣。通称、王剣システムだ。


俺の周りに十四の魔力の濃密な塊が出現する。金色なるその塊は徐々に徐々にと形を変えていく。その形は剣。ロングソードとクレイモアの中間くらいだ。


「はあああああ!」


そのうちの二本を手に取り右袈裟懸けに振るう。狙うはリーダー格のような大型のケロベロス。


「――――――!」


ケロベロスの群れの中央先頭付近で紅色の液体が舞った。魔物にしては珍しい赤色の血か。

身体を二つに切り裂かれたケロベロスは悲鳴を上げることなく死に絶えた。否、切り裂かれたと言う表現は間違いである。まるでそこにあるはずであった物がごっそりと抉られるように消えていたのだ。


王剣システム―――召喚した剣の数々は、錬金術で編み出した魔剣である。十四の全てが魔剣。固有で属性を持っている。

今の攻撃は『時空』属性だ。時と空間を簡単にだが操作する。

だから先ほどの攻撃は斬られたのではなく、消し去られたのである。そこにあった物を異空間に飛ばしたのだ。


敵襲だ。ケロベロスたちは判断したのだろう。一目散に逃げようとした。だが一手遅い。


「恨みはないのだけど・・・ごめん」


もう後ろにはレナちゃんが回っていた。問答無用とばかしに振られた神速の太刀筋は何体ものケロベロスの首許を通り抜けた。直後、いくつものケロベロスの首が宙を舞う。


「ごめんな、死ぬ前に俺の奥義を見せてやるよ」


大きな個体に急接近。トンと俺は掌でゆっくりとケロベロスの顔に触れた。そして、一言。


「『サンド・ディスパーション』」


瞬間。

ひゅんっという聞いた事も聞くこともないような奇怪な音とともに、ケロベロスの体が砂に変わる・・・

そして崩れ落ちる・・・


圧倒的過ぎる、破壊の一撃。

この世のありとあらゆる原子に砂という性質サンド・ディスパーションを与え、変化させてしまう残虐無比な技。錬金術における最強にして最恐、最悪にして災厄の攻撃。後は何も残さない、跡も何も残さない。


「少し・・・やり過ぎたかな」


こう呟いている間にもまた一つ、また一つと生命が消えてゆく。レナちゃんの殺戮的斬撃から逃れようとするが、意味を成さない。抵抗できずに切り裂かれる。また、その後ろに控えていたケロベロスすら血飛沫を上げた。剣から出る風の凶刃が背後までをも攻撃する。その姿は戦乙女でも、化け物でもない。誰もがこう称する。


死神と。


いや、違うんだよ。あの剣は俺が錬金術で作った魔剣のようなもので、実際はあそこまで強くはないよ。速くもないから。


「そろそろ終わりにするか。マリアさ~ん」

「大丈夫だ。始めるぞカケル。レナを引かせてくれ」

「了解。レナちゃーん。マリアさんがおっ始めるぞ」

「っ!分かった」


レナちゃんが俺たちの方に来た。その行動によって、ケロベロスは縦横無尽に逃げ回る。死にたくないと。でも、神はそこまで慈悲ではない。ある地球の人はこういったそうだ。「神は死んだ」って。


「『ブレイズ・ミスト』」


辺りが静かになる。

靄、霧、霞。

そういわれる白い物質が出現した。隣は湖だ。水蒸気などいくらでも作り出せる。


しかしその水蒸気はただのやかんから吹き出てるあれではない。炎系魔法の『ヒート』という熱を生み出す魔法により超熱々にされた、何百度の水蒸気だ。あたりが燃え始める。

草も木々も、そしてケロベロスの体毛も、何もかもが、平等に。これが超広範囲殲滅魔法、俗に戦略級魔法と呼ばれるものを苦労せずいとも簡単に使いこなすマリアさんの本当の実力。

熱風が押し寄せ、ものすごく熱い。このままだと湖があるせいで、水蒸気爆発が発生する。その勢いは、ドッカーンじゃ済まされないだろう。


「そろそろ、冷やしますね」

「任せた」


俺は一歩前に出る。そして手を前に突き出し、また一言。


「『コールド・ゲヘナ』」


空気が変わる。

実際に空気も変わっている。

空気中の主成分である窒素や酸素、二酸化炭素、アルゴンは物理法則を錬金術というものを経由することで無視し、液体に代わった。全てが摂氏二百度に近いマイナスの温度だ。

あたりは一帯はまさに絶対零度。物質は全て停止し、凍りついた。


「―――冷たき地獄を受けるがいい」

「・・・もう撃ったのだが?」

「・・・NOOOOOO!!!オーマイガ――――――ッ!!!」

「それよりも・・・これを凄惨という言葉で片付けていいものなのか」


俺は頭を両手で抱えてうめいていたのを止めて、目の前の光景を見た。雪景色や銀世界という言葉があるが、残念ながらにもその表現は出来ない。言うならば死の世界か・・・。


「あとは俺に任せてくれ。処理する」


空気が歪み、揺れ、振動する。

音というものは身近に合って、下手すると恐いものであったりする。

物体は固有の振動を浴びせられると、壊れてしまう。科学のテレビなんかであるコップを特殊な機械で破壊する、あれだ。


無残なまでに凍りついたケロベロスの生き残りは簡単に砕け散ったという。

えーと、コカトリス戦、次に持ち越しとなってしまいました。すいません

こんなものでも読んで下さりありがとうございます。

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