お約束過ぎるだろ?
「俺って魔力無いんだよな?」
「そうなんですよねー。多分その変なチカラだと思うんですけど・・・。」
「変言うな。」
「でも、使えるんだから良いじゃないですか!」
「アバウトだなおい。まーお前が解らんのに俺に解るわけねーし。いっか!」
「ですよ!」
うん。我ながらお気楽だな。クレアもどっこいだが。
「ところで、お前ってツノとか翼とか無いのか?」
「へ?無いですよ、そんなモノ。」
「じゃー、魔族って人間と同じ姿なのか?」
「見た目はおんなじですね。」
「どーやって見分ける?」
「うーん・・・私たちは魔力量で見分けますけど、人間には見分けられないみたいです。」
「魔力って、見えるのか?お前らには。」
「見えるわけじゃ無くて、うーん・・・上手く言えないけど、感じるんです。」
「ふーん。」
”気”とか、そんな感じなのかもな。師匠の剣気とか、やっぱ凄かったしな。
「で、俺のは違う、と?」
「違いますね。上手く説明出来ないんですけど、とにかく魔力とは全然違うチカラです。」
「なのに魔法は使えるのか・・・やっぱ謎だなー。」
「ですねー。」
待てよ?
チカラって事はエネルギーみたいなモンなんだろうな。
って事はだ・・・。
燃やすモノが違うだけかも。
魔力=石油として、俺のチカラ=ロケット燃料、とか。
燃料が違うんだから燃やし方も違う。熱効率とかメンドイのは置いといて。
熱を発生させるって結果は同じわけだ。
そうか、燃料と考えれば解り易いのか。
この世界のモノは魔力用エンジン。俺のは俺専用の何か?用エンジン、って事だな。
で、出力重量比が同じなら結果も同じになる、と。
ふむふむ。
こっちの人間の燃料タンクは小さいから、大馬力エンジンは使えない。
魔族はバカでかいタンク持ってるから、それに見合った馬力が出せる、と。
おーけー、理解した。・・・多分。
「むー・・・いつまでダンマリなんですかー?」
「お?おーすまん。ちょっとチカラについて考えてたんだ。」
「何か解ったんですか?」
「いや、コレが何かはサッパリだけど、なんで俺が魔法使えたかは何となく。」
「えっ!ホントですか?教えてくださいっ!」
「あー、つまりな、チカラを燃料だと考えてみたんだ。」
「燃料ですか?」
「うん。」
説明は簡単だった。エンジン云々は流石に解らんだろーと思ったんで、湯沸しに例えてみた。
燃やすのが油だろーが薪だろーが、水がお湯になるのは一緒だろ?みたいな事言ったら、理解しやがった。
やっぱこいつ頭良いや。
いや、バカにゃそもそも魔法なんて使えんか・・・。
「そいやさ、魔法属性とかってあるのか?」
「ありますよ。私は無いですけど。」
「無い・・・ってか万能なんだろ?魔族だから闇得意とか光苦手とかも無いのか?」
「無いです。そもそも魔族って呼び名も、”魔法に向いた種族”って意味ですから。」
「あー、そーなんだ・・・何か色々覆されてくな・・・。」
「?」
「あ、でもよー、淫魔とか居るんだろ?」
「彼らは・・・その・・・性魔術が得意な魔族、です。///」
「性魔術・・・。」
「あーっ!やっぱり反応したっ!」
「待て待て。興味が無いとは言わんが、今訊きたいのは種族についてだ。」
「淫魔ですか?」
「そいつらも、魔法が得意なだけなのか?」
「そうですよ。それと身体能力以外人間と変わりません。」
「身体能力?」
「あ、言い忘れてました。魔族は人間より身体能力が遥かに高いんです。」
「どんぐらい?」
「えーっと・・・下級魔族でも人間の数倍・・・。」
「お前だと?」
「比べた事無いですけど・・・これぐらいです。」
足元にあった拳大の石を、人差し指と親指だけでバリバリ砕いていくクレア様・・・。
うん。押し倒した時に反撃されてたら、ミンチ確定だったわけね俺。
いや待て俺。
初めてのアレしてる時、女の子が手加減とか無理だよなフツー?
「なぁクレア。」
「はい?」
「もしかして俺、昨夜下手するとヤヴァかったんじゃ?」
「・・・」
「目を逸らすなぁっ!」
「だ、だってぇ・・・。」
「あー、怒って無いから。始めたのはこっちだし・・・(痛かったんだろうし)。」
「・・・ごめんなさい・・・私、その、あの。///」
「いや、俺平気だから・・・って、なんで無事なんだ俺?」
「わ、解らないですけど・・・向こうの人はこっちだと強くなる・・・とか?」
「あー、多分それだなー。他に考え付かんもんなー。」
まーお約束連発してるもんな。これで当たりだべなー。
やっぱチート性能なんだなー俺。
しかしあれだぞ。
クレアの親父さんはクレアより強かったハズだよな?
それを倒すって事は・・・
イヤンな悪寒。
「クレア、辛い事思い出させて悪いけど・・・。」
「・・・はい。」
「親父さんと闘ってたのは、勇者か?」
「・・・はい。”異世界より召喚されし勇者”です。」
ビンゴ。